プライベートで活躍するオールインワンPCとして、大画面のノートPCとともに人気なのが液晶ディスプレイ一体型デスクトップPCだ。ノートPCに比べてボディが大きく、設置場所は限られる半面、画面サイズやスペック、機能面で見比べると費用対効果が高い。
ひとくちに液晶一体型PCといっても、昨今はデジタル放送対応のテレビチューナーをはじめ、マルチタッチ対応のワイド液晶ディスプレイや、3D立体視機能など、さまざまな付加価値を備えた製品が投入されているが、2010年12月に発売されたASUSTeK Computer(ASUS)の「All-in-One PC ET2400XVT」(以下、ET2400XVT)は、その“極めつけ”といえる高機能なモデルだ。
光学式タッチパネルおよび120Hz駆動によるNVIDIA 3D Visionをサポートする23.6型フルHD液晶ディスプレイ、3波デジタル放送に対応したテレビチューナー、BD-ROM/DVDスーパーマルチドライブ、そしてASUS独自のオーディオ技術まで搭載し、いわゆる“全部入り”的な構成に仕上がっている。それぞれの機能を持つ製品はほかにも多数存在するが、これらすべてを1台にまとめた製品となると見かけない。それでいて、価格は20万9800円と高すぎず、高機能なオールインワンPCを求めるユーザーにとって要注目の1台といえる。
ボディデザインは最近の液晶一体型PCによく見られる、大きめのフォトフレームを思わせる外観だ。ボディは光沢ブラックで統一されており、液晶ディスプレイ下部の両端に飛び出した2本のフットスタンドと背面のチルトスタンドの3点で支える構造となっている。画面のチルト角度は12〜25度に調整可能だ。
スタンドを除いた本体サイズは582(幅)×90(奥行き)×495(高さ)ミリで、豊富な機能を盛り込んでいる割にはコンパクト。背面にスタンドが伸びるため、利用時は20〜30センチほど奥行きが欲しいが、同じ画面サイズの液晶ディスプレイ単体製品に近い省スペース性を確保している。重量はスタンド込みで約9.5キロと、室内でのちょっとした移動も問題ない。
液晶ディスプレイは白色LEDバックライト搭載の23.6型ワイドパネルを採用し、解像度は1920×1080ドットのフルHDに対応する。液晶パネルの表面は光沢仕上げなので、設置場所によっては周囲の様子が映り込みやすい。映り込み対策としてチルト角度の調整などを行う必要があるが、筆者としてはテレビ番組などの映像コンテンツを全画面表示で視聴している場合、それほど気にならなかった。
2D表示での画面輝度やコントラストは十分だが、特に広色域ではなく、TN方式ゆえに上下方向の視野角は少し狭く感じる。総じて、最近店頭でよく見かける低価格フルHD液晶ディスプレイと同じような印象の表示品質だ。
冒頭で述べた通り、ET2400XVTはNVIDIA 3D Visionによる3D立体視が楽しめる。120Hz駆動のフルHD液晶ディスプレイ、3D Vision対応のGPUと赤外線エミッタを内蔵し、専用のアクティブシャッター式3Dグラスも標準添付されているので、購入したらすぐに3D立体視を体験できるのがうれしい。BD-ROM/DVDスーパーマルチドライブを備えており、Blu-ray 3Dや3Dゲームなどの立体視や、DVD-Videoをはじめとする2D映像の3D変換に対応した再生ソフト「PowerDVD 9」も搭載する(2DのBlu-rayタイトルを3D変換することはできない)。
3D Visionはアクティブシャッター式の3D立体視機能なので、国内の大手メーカー製PCに採用例が多い偏光式と比べて、立体視利用時に解像度が落ちない利点がある。シャッターを交互に開閉する仕組み上、見た目の輝度は偏光方式よりぐっと下がり、目に負担がかかりやすく感じるが、ある程度暗い部屋で高解像度の3D映像コンテンツをじっくり視聴するようなシーンでは優位に立つ。
また、GPUはDirectX 11に対応したNVIDIA GeForce GTX 460M(グラフィックスメモリ1.5Gバイト)なので、3D Visionを使えるのはもちろん、少し前までの3Dゲームであれば、余裕でプレイできる描画性能を確保している。また、NVIDIA CUDAや動画再生支援もサポートする。液晶一体型PCでは、CPU/チップセット内蔵グラフィックス機能を採用していることが多く、GPUのアップグレードなどもできないため、GeForce GTX 460Mの搭載は実に頼もしい。
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