第7回 海外利用サービスで広がる「いつでも・どこでもブロードバンド」のさらなる可能性(前編)本田雅一のハイスピード・ワイヤレス・チャンネル

» 2011年02月04日 10時00分 公開
[本田雅一,PR/ITmedia]
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WiMAX、2010年末に契約数が大躍進

photo UQ WiMAX契約者の推移と純増数(出典:TCA) 2010年11月、12月にグッと純増数が増えたことが分かる

 WiMAXを使い始め、すでに1年半が経過しようとしている。当初はその大きな可能性がうまく伝わらずにいたWiMAXも、どこかで急速に普及してくるしきい値を超えたのだろう。

 2010年12月の単月純増数はなんと8万9200契約。同年12月末時点での累計契約数は52万4400契約なので、この12月だけで一気に約20%ものユーザーが増加したことになる。では、この急増でネットワークの混雑状況が激変したかというと、全くそんなことはない。年末の慌ただしい時期の都心部でも、常に快適に自宅と変わらない高速なネットワーク環境を維持してくれたのはさすがに次世代(日本では3.9Gと言われているが、米国ではもっとシンプルに4G、すなわち第4世代モバイルネットワークと呼ばれている)の技術基盤といったところだろうか。

 契約者急増の背景や、トラフィック増加に対して、UQコミュニケーションズがどのような計画をもって対処しようとしているのかなどは別途解説したいと思う。今回は海外利用の可能性について話をしたい。

 3Gネットワークの普及は、いつでもどこでもインターネットにつながることの利便性を我々に実感させ、スマートフォンなど新たなタイプのモバイル機器や利用シーンを生み出すに至った。これがさらに広帯域な次世代環境になるとどんな新しい体験を得られるかは、まさに今、我々が体験しているところ。さらにそれが“世界中で使える”となると、モバイル端末の利用スタイルも大きく変化してくる。

やっと広がってきた、海外のWiMAX事情

photo 2012年の商用化を目指す「WiMAX2」 通信速度は理論値最大330Mbpsまで高速化される

 意外と思うかもしれないが、次世代のワイヤレスブロードバンド環境は今のところ日本がもっとも進んでいる。

 次世代ワイヤレスブロードバンドとしては、携帯電話網に必要な仕様も盛り込まれたLTE(Long Term Evolution)サービスも始まったが、実はWiMAXも信号処理の世代では同じ「OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多元接続)方式」を用い、機能的な面を評価しなければ両者は同クラスの高速ネットワークを実現できる。

 LTEは高速という一般的な印象は、LTEが数100Mbpsの広帯域化を目指していると当初から喧伝(けんでん)されていたからかもしれない。ただ、WiMAXは実用化が早かった分スタート時点での最大値がそれより低かっただけで、次世代WiMAX「WiMAX2」(2012年サービスインを目指す)では、理論値最大330Mbpsへと超高速化されていく。帯域拡大の可能性という点においては、どちらのサービスも同じである。

 つまり、(LTEを含めた)広帯域の新世代ワイヤレスネットワークという枠組みでは、UQ WiMAXが現在、世界でもっとも成功している事例なのである。なにしろ、2010年12月だけで契約者がそれまでの2割増と、驚くべき普及ペースへと乗ってきたことからもそれが伺える。KDDIが3G対応端末とWiMAXを組み合わせた端末の発売を検討していると話したことも、この流れを勢い付かせるだろう。

 ”いつでもどこでもインターネット”を加速させた3Gサービスに対し、より高速で快適に使える”いつでもどこでもブロードバンド”がWiMAXで広がってくると、それまで想定していなかった利用シーンが生まれ、仕事のスタイルまで変化してくる。もちろんそれは海外でも同じだ。

 日本が先行していたWiMAX環境だが、北米でのWiMAX環境も、ここのところ急速に広がっていることを今回は体感した。ニューヨーク、ラスベガス、ホノルル、シアトル、シカゴなど米国内65の都市で利用できる。実際に体験した海外出張でのWiMAXの海外利用サービスは、それまでのワイヤレスブロードバンドアクセスの常識を覆すほど快適なものだったのだ。

ラスベガス ─ ロサンゼルス、WiMAX紀行

photo Clearに接続するとユーザー登録画面が出てくるが、必要な情報を入力して登録すれば、UQのユーザーであることを自動的に認識して無料で接続される

 2011年1月、International CES取材のため、いつものようにラスベガスへ到着した瞬間、そこには快適なWiMAX環境が広がっていた。

 北米でのWiMAXサービスはClearwire(クリアワイヤー)という通信事業者業者が提供している。ClearwireはWiMAX専業ではなく、3Gサービスおよび今後のLTEネットワークを用いたサービスの提供も予定するワイヤレスブロードバンドの事業者だ。

 ラスベガスはClearwireが先行してWiMAXの整備を進めてきた都市で、2010年1月の時点ですでに主要地域でのWiMAX利用は可能であった。WiMAX内蔵パソコンを持っていけば、現地で登録をすることでWiMAXの高速サービスが利用できたのだ(当時はClearwireのキャンペーン中だったため、10日間無料で利用できた)。WiMAXは海外利用のしやすさも含め、広域で利用可能な無線LANのような環境となるよう枠組みが作られてきたので、本来的に海外利用サービスを実現させやすかった背景もあるだろう。

 それが本年2011年はもっと環境が整っていた。UQコミュニケーションズは「WORLD WiMAX」という名称で海外利用サービスの「WiMAX1日利用サービス」を展開。2010年9月にはUQコミュニケーションズとClearwireが相互連携し、ローミングアクセスできるようになった。WiMAX内蔵パソコンを所持するUQ WiMAXの利用者なら、Clearwireのサービスエリアで利用登録料:無料/通信料:無料で使えるのだ(「WORLD WiMAX」の対象者は、WiMAX搭載パソコンにて、UQまたは日本国内のWiMAX提供会社に契約中の方となります。データ通信カード、WiMAX Speed Wi-Fiなど、WiMAX搭載パソコン以外の機器ではご利用いただけません)。うれしいことに、サービス料金は無料だ(当初の無料期間は2011年3月末までだったが、期間が延長され、2011年4月以降も無料となった)。

 なお、UQコミュニケーションズは積極的に海外での利用環境を整えており、米国以外にも1月14日から韓国KTでの提供を開始している。韓国ではソウル、プサン、インチョン、テジョン、クァンジュ、テグ、ウルサンなど25の都市で利用可能だ。このほか、アジアのWiMAX事業者と密に連絡を取り合っているとのことで、今後も提携エリアは拡大していくだろう。

 海外での利用といっても使い方は簡単。現地でWiMAX内蔵PCのWiMAX接続ユーティリティでWiMAXネットワークを検索すると「Clear」という事業者が見つかる。そこに接続するだけだ。本来ならばここでアクセス料金の確認などが行われるのだろうが、現在は無料サービス期間中なので、Clearwireの利用条件にOKの意志を答えれば、そのまま手間なく高速・快適なWiMAX通信が利用できるようになる。


photo CES期間中のラスベガスで計測したClearwireのWiMAX通信速度

 なお、筆者は現地ではParis Las Vegasに滞在していたが、同じく日本より訪れた同業者・出張者も、このWiMAX利用者は多かったようだ。アクセス速度も、見ての通り素晴らしい結果が出た。ラスベガスのほとんどのホテルにはインターネットアクセスサービスも用意されるが、ハッキリ言って速度は期待できない。普段は最大1Mbpsぐらいは出るようだが、CESの期間中は世界中からIT業界の関係者が集まるためか、500kbpsも出れば御の字という状況に陥る。さらにはもっと低グレードのホテルだと本当に接続されているのか訝(いぶか)しむほど満足に使えない状況に陥ったこともある。それを横目にしながら、下り5.63Mbps/上り1.02Mbps/PING 67msの快適速度だ。この速度は、おそらくその関係者らが大量にインターネット通信を利用しているであろうCES期間中の夜に測定したものだ。

 こうして2011年は、自宅で仕事をするのと同じインターネット接続環境を得て、ラスベガスからロサンゼルスへと移動しながら、WiMAXのアクセスを活用しながらの旅を12日間に渡って行った。接続速度がそれまでより桁違いに向上し、さらには出先でも接続できるようになったことで、ついには仕事のやり方にも変化が出てきた。

 ラスベガス以外の都市での接続環境、そして利用シーンがどう変わったか、後編で改めて解説する予定だ。

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提供:UQコミュニケーションズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2011年2月10日

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