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» 2011年03月09日 11時45分 UPDATE

第2世代Core i+GPU切り替え+クアッドSSD+フルフラットボディ+長時間駆動:新型「VAIO S」徹底検証(前編)――VAIO初“Sandy Bridge”モバイルの出来栄えは? (1/5)

VAIOの2011年春モデルで唯一のモバイルノートPCが新型「VAIO S」だ。ボディの内と外を刷新し、VAIO Zに肉薄するパフォーマンスモバイルへと進化を遂げている。

[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

華麗に生まれ変わった「VAIO S」

 既報の通り、VAIOノートの2011年春モデル第2弾が登場した。1月発表の春モデル第1弾では見送られていたSandy Bridgeこと第2世代Core iシリーズの採用が共通の特徴だ。そして、VAIOのモバイルノートPCで初めてSandy Bridgeを搭載してきたのは、意外にも「VAIO S」だった。

tm_1103vaios_r_01.jpgtm_1103vaios_r_02.jpg 第2世代Core iシリーズ搭載の新型「VAIO S」。標準仕様モデルの実売価格は、上位機「VPCSB19FJ/B」が20万円前後、下位機「VPCSB18FJ/B・W・P」が16万円前後の見込み

 VAIO Sは、13.3型ワイド液晶ディスプレイと光学ドライブを搭載したスタンダードなモバイルノートPCだ。かつての「VAIO type S」時代から、バランスのよさ、完成度の高さでは定評があったものの、カタログスペックやデザインは冒険しない傾向があり、ほぼ同じ画面サイズで高級志向を追求したフラッグシップノート「VAIO Z」や、極薄軽量ノートの「VAIO X」、ポケットスタイルの「VAIO P」など、強烈な個性や飛び抜けた先進性を備えたシリーズに話題性を奪われてしまいがちな、とこか損な役回りだったと思う。

 そんなVAIO Sが、今シーズンは華麗に生まれ変わった。「VAIOのテクノロジーをすべての人に」をテーマに、デザイン、パフォーマンス、スタミナ……それぞれにVAIO Zを筆頭とするモバイルPCで培ってきたテクノロジーのすべてを注ぎ込み、VAIO Sならではのバランス感覚を引き継ぎつつ、グレードアップした魅力を備えたモバイルマシンに仕上げている。

 今回は店頭販売向けの標準仕様モデル上位機「VPCSB19FJ/B」(ブラック)を中心に、下位機「VPCSB18FJ/W」(ホワイト)やハイスペックな構成のソニーストア直販VAIOオーナーメードモデル「VPCSB1AGJ」(ブラック)、さらには従来機「VPCS149FJ/P」(ピンク)などと比較しながら、新しいVAIO Sの性能や使い勝手をじっくり検証していこう。

 なお、試用したのは発売前の試作機なので、実際の製品とは異なる場合がある。発売日は標準仕様モデルが3月19日、VAIOオーナーメードモデルが3月30日の予定だ。

機能追求から生まれた「ヘキサシェル」構造のフルフラットボディ

tm_1103vaios_r_03.jpg 厚さ23.9ミリのフルフラットボディを採用

 従来機との違いは一見して明らかだ。しばらくVAIOノートのアイデンティティであったシリンダーフォルム(バッテリーや電源ボタン、DC入力など、電源機能を集約した円柱状の大きなヒンジ部をデザインの柱とするフォルム)ではなく、新たにシャープなイメージのフルフラットなボディを採用している。「VAIOノートの平均点」的なスタイルだった先代もそれはそれで悪くなかったが、新型のフルフラットのスタイルはより新鮮で魅力的に映るはずだ。

 前面から背面まで厚さが23.9ミリと均一なフルフラットボディは、新しいVAIO Sにおける大きなこだわりだ。バッグの中に収めやすく、無駄なスペースを取らないフルフラットボディこそが、モバイルノートPCとして真に使いやすいフォルムという考えである。

 この考えには、個人的に強く共感できる。ブリーフケースタイプのビジネスバックへの収まりがいいのはもちろん、大型のカメラバッグやスーツケースなどに他のいろいろなものと一緒にPCを収める場合、前後で大きく厚さが違うノートPCは扱いに困ることが多い。最近はバックパックタイプでもノートPCを収納できるものが増えているが、そういったものに用意されるスペースもやはりフラットボディが前提とされており、アンバランスな形状は収まりが悪い。地味に思える要素だが、実用上のメリットは決して小さくない。

 そして、新しいデザインのアイデンティティとして、マグネシウム合金のシャシーを上下から包むように組み合わせ、側面が六角形に見える形状の「ヘキサシェル」構造を採用した。前後からだけでなく横から見ても六角形に見えるようカットされており、軽量化と高剛性化を実現するとともに、全体に引き締まったイメージを与えている。実際、手に持ってみてもヤワな感じはなく、カチッと作り込まれているのが分かる。

tm_1103vaios_r_04.jpgtm_1103vaios_r_05.jpg 天面と底面はマグネシウム合金製でシンプルなデザインだ

tm_1103vaios_r_06.jpgtm_1103vaios_r_07.jpg 側面はエッジを六角形のヘキサシェル構造にして、堅牢性を確保している

 また、液晶ディスプレイを開いた際にヒンジの継ぎ目が正面から見えず、デザインにシームレスに溶け込んだ「コンシールドヒンジ」も特徴的だ。ヒンジを背面中央部に置いたことで、奥行きのスペースが減り、パームレストを広く確保できるようになっている。アルミニウムの1枚板から成形したという剛性感の高いパームレスト(キーボードベゼルと一体化)も実に美しい。キーボード周辺の直線的にカットしたような傾斜も個性的で、キーボードを入力しやすくする効果も併せ持つ。

tm_1103vaios_r_08.jpgtm_1103vaios_r_09.jpgtm_1103vaios_r_10.jpg ヒンジを背面の中央部に置いたコンシールドヒンジにより、画面を開いた際には液晶ディスプレイ部と本体部の継ぎ目が見えない(写真=左/中央)。キーボードベゼルと一体化したパームレストはアルミニウムの1枚板で成形されており、キーボードに向かって直線的な傾斜を付けることで、デザインのアクセントとしつつ、キーボードを入力しやすくしている(写真=右)

 これらのデザインは単に美しさを優先したものではなく、あくまでも耐久性、堅牢性、使いやすさといった機能面の追求を前提にしたうえで生まれたものだ。「形態は機能に従う」というデザイン哲学のもとに、モバイルノートPCとしての機能を追求した結果だという。

 なお、ボディカラーはブラック、ホワイト、ピンク、ブルーの4種類が用意される。ピンクは標準仕様モデルのみ、ブルーは直販モデルのみのカラーだ。標準仕様モデルの上位機はブラックのみで、下位機はブラック、ホワイト、ピンクの3色から選べる。前述のようにシャープなラインだが、ゴツいイメージはなく、ブラックは精悍(せいかん)に、ホワイトは上品に、ピンクはどことなく優雅に、とカラーリングによってずいぶん印象が変わる。

tm_1103vaios_r_11.jpgtm_1103vaios_r_12.jpgtm_1103vaios_r_13.jpg 標準仕様モデルの下位機は、ブラックのほか、ホワイト(写真=左)とピンク(写真=中央)のカラーを用意。VAIOオーナーメードモデルでは、限定カラーのブルー(写真=右)に加えて、ブラックとホワイトが選べるが、ピンクは用意されない

tm_1103vaios_r_14.jpgtm_1103vaios_r_15.jpg オプションで用意される専用の本革キャリングケースはブラック(写真=左)とブラウン(写真=右)を用意。後述の拡張バッテリーを付けたまま収納できる

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