新型「VAIO S」徹底検証(前編)――VAIO初“Sandy Bridge”モバイルの出来栄えは?第2世代Core i+GPU切り替え+クアッドSSD+フルフラットボディ+長時間駆動(3/5 ページ)

» 2011年03月09日 11時45分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

VAIOモバイルノートで初めてSandy Bridgeを搭載、チップセットはB3ステッピング

CPU-Zの情報表示画面。標準仕様モデルの上位機(VPCSB19FJ/B)は、CPUに第2世代のCore i5-2410M(2.3GHz)を搭載。Turbo Boost 2.0に対応しており、高負荷時には最大2.9GHzまで動作クロックが上昇する

 基本スペックにも最新テクノロジーが満載だ。CPUには第2世代のCore iシリーズを採用しており、上位機(VPCSB19FJ/B)はCore i5-2410M(2.3GHz)、下位機(VPCSB18FJ/W)はCore i3-2310M(2.1GHz)を搭載する。

 いずれもCPUコアを2つ内蔵しており、Hyper-Threadingにより4スレッドの同時実行が可能で、3次キャッシュ容量3Mバイト、TDP(熱設計電力)は35ワットというスペックだ。高負荷時に動作クロックを上昇させるTurbo Boost 2.0には上位機が搭載するCore i5-2410Mのみ対応しており、最大2.9GHzまで上昇する。

 なお、VAIOオーナーメードモデルではより高速なCPUのCore i7-2620M(2.7GHz/最大3.4GHz/3次キャッシュ4Mバイト)やCore i5-2520M(2.5GHz/最大3.2GHz/3次キャッシュ3Mバイト)も搭載可能だ(Core i5-2410Mとの差額はそれぞれ+2万5000円、+1万円)。これらも2コア、4スレッド、TDP 32ワットといった仕様になっている。

 これらのCPUと組み合わせるチップセットには、Intel HM65 Expressを採用している。Intel 6シリーズのチップセットは、Serial ATA 3Gbpsポートに不具合が見つかって問題になったが、この新型VAIO Sではすべて対策済みのB3ステッピングで出荷されるということなので心配はない。

 また、高速化という面では、「Quick Boot」という高速起動のための技術も採用されている。BIOSやOS起動時のタスクを最適化することで、Windows 7の起動を高速化しているのだ。ソニーのデータによると、VAIOオーナーメードモデルのSSD選択時で約20秒以下、HDD搭載の構成でも約30秒という高速起動を実現しているという。これについては、後編で実際に試して比較する。

CPU内蔵グラフィックスと外部GPUの切り替え機能を搭載

 CPUにはグラフィックスコアのIntel HD Graphics 3000も内蔵するが、新型VAIO Sではこれに加えてAMDのDirectX 11対応GPUであるRadeon HD 6470M(グラフィックスメモリ512Mバイト)も搭載しており、キーボードの左奧にあるパフォーマンス・スイッチで2つのグラフィックスを切り替えて使うことができる。

 スイッチには「SPEED」と「STAMINA」の2種類のモードが用意されており、SPEEDモードにするとRadeon HD 6470が使われ、電源プランも「ハイパフォーマンス」になる。STAMINAモードではCPU内蔵のIntel HD Graphics 3000が使われ、電源プランも「バランス」に切り替わる。VAIO Zのような「AUTO」モードはない。

 この電源プランは変更も可能で、それぞれのモードでの動作中に一度変更すれば、そのまま各モードの設定として保持される。例えばSPEEDモードでの動作中に電源プランを「省電力」に設定すれば、STAMINAモードに切り替えた後、SPEEDモードに戻した場合にもまた「省電力」の電源プランが自動的に適用される。

 ACアダプタに接続した状態では、電源プランの「ハイパフォーマンス」と「バランス」との性能差はほとんどないが、「ハイパフォーマンス」ではデバイスのタイマー設定などをほとんど無効にするため、バッテリー駆動時間は大きな差がでる。バッテリー駆動時にもRadeon HD 6470を使いたくてSPEEDモードにするのならば、電源プランは「バランス」にしておいたほうがよいだろう。

キーボードの奥には、グラフィックスと省電力設定を切り替えるパフォーマンス・スイッチが設けられている(写真=左)。スイッチを操作すると、このような確認画面が表示され、OKを押すと、画面が何度が瞬間的にブラックアウトしてから設定が切り替わる(写真=中央)。グラフィックスと電源プランの設定はタスクバーに常駐している2本の矢印アイコンをポイントすると確認できる(写真=右)

 ちなみに、グラフィックスの切り替えには「Muxless Hybrid Graphics」という技術を使っている。Radeon HDはCPU(グラフィックスコア内蔵)にPCI Expressで接続されており、SPEEDモードではRadeon HDの描画結果をCPU(のディスプレイ出力ユニット)経由でディスプレイ出力するようになっている。この接続形態はNVIDIAのOptimusと同等だ。ただし、Optimusのようにグラフィックスドライバでアプリケーションごとに使うGPUを切り替えるのではなく、本体装備のスイッチからRadeonのオン/オフを行うことで強制的に切り替えることができる。

 Intel HD Graphics 3000もCPU内蔵グラフィックスコアとしてはかなり高性能になっており、動画を高速にエンコードできるハードウェアエンコード機能(Intel Quick Sync Video)なども備えている。それぞれのグラフィックスの3D描画性能の違いやエンコード性能などについては、レビュー後編で検証しよう。

GPU-Zの情報表示画面。SPEEDモードでは、外部GPUとして搭載するAMD Radeon HD 6470M(グラフィックスメモリ512Mバイト)がグラフィックスを担当する(写真=左)。DirectX 11に対応し、160のユニファイドシェーダを装備するミドルレンジクラスのGPUだ。HD動画再生支援機能のUVD3も搭載する。STAMINAモードでは、外部GPUが無効となり、CPU内蔵のIntel HD Graphics 3000で動作する(写真=右)。DirectX 10.1に対応しており、CPU内蔵グラフィックスコアとしてはかなり高い3D描画性能を持つほか、HD動画のハードウェアデコード/エンコード機能「Intel Quick Sync Video」も装備する

 なお、VAIOオーナーメードモデルは、より高性能な外部GPUのAMD Radeon HD 6630M(グラフィックスメモリ1Gバイト)を搭載する。標準のRadeon HD 6470Mは、CPU内蔵グラフィックスコアより高性能とはいっても、その3D描画性能でプレイできるゲームはかなり限定されるので、3Dゲームのプレイも考えているならば、VAIOオーナーメードモデルも検討したいところだ。

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