写真の出来栄えを左右する“ディスプレイ色環境”にこだわるプリントとWebでは正しい色が違う!?(3/3 ページ)

» 2011年03月14日 10時00分 公開
[ITmedia]
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ここまでカラーマッチングが順調に進んだのはなぜか?

EIZO EasyPIXのフォローがなければ、正確な色合わせはままならなかっただろう

 今回のカラーマッチング/キャリブレーションがスムーズに行えたのは、やはりFlexScan SX2762W-HXとEIZO EasyPIXを組み合わせたことが大きいので、この点についても少し触れておこう。

 世の中には汎用のカラーキャリブレーションツールが数多く存在する。しかしこのEIZO EasyPIXはEIZOディスプレイの中でも対応機種をある程度絞り込んだ「専用」のツールだ。この差はどういうことなのか。

 汎用の「ソフトウェア」キャリブレーションツールは、主にPC内蔵のGPUで色調整を行う。つまり、PC内部のビデオ出力をグラフィックスドライバなどで差し引きながら、色を制御することになる。これでは大体の色が合っても、中間の階調が間引かれてしまい、微妙な色再現ができない部分が出てきてしまうことも考えられる。

 これに対して、EIZO EasyPIXはあまり大きな声でアピールしていないが、れっきとした「ハードウェア」キャリブレーションツールだ。液晶ディスプレイ内の回路をEIZO EasyPIXを使って直接制御できる。ソフトウェアキャリブレーションで発生してしまうPC側での中間階調の間引きがなく、もともと階調特性に優れた液晶ディスプレイで利用するため、良好な調整結果が得られる。

 FlexScan SX2762W-HXの例を挙げると、PCから出力されたRGB各色8ビット(1677万色)の映像信号を液晶ディスプレイ内部でいったん多階調化し、RGB各色16ビットものLUT(約278兆色!)から、最適なRGB各色8ビットの色に割り当て直して表示できる。膨大な数の色見本から最適な色を選び出して表示しているため、色再現の精度が高い。経年変化によって色がずれることも考慮し、当初マッチングさせた状態で再調整できる機能もあるので、数カ月に1回は調整し直すとよいだろう。

 このように、ナナオがカラーマネジメントディスプレイを長年手がけてきたノウハウが、一般向けの製品にも生かされているのだ。それがメーカーとしての強みであり、信頼が置けるところなのである。

カラーマネジメントができてこそのデジタルフォト

 前回の記事で、僕は「あなたの、RAW現像した写真の色は本当に正しいのか?」という疑問を提示した。同じように今回は「あなたがWebにアップした写真は、多くの人にとって正しい色で世界に伝わっているか?」と問いかけたい。カラーマネジメントの手段を持たずに漫然と写真を処理している人は、この問いに自信を持って答えられないはずだ。

 フィルムの時代を知っている世代は、特にこの部分が曖昧(あいまい)だったりするのではないだろうか。そのころは、写真を意図した通りに撮影したとしても、フィルムの現像やプリントの段階での後付けの変化がかなりあったからだ。また、写真は化学反応による産物だったから、現像時のちょっとした温度変化や薬品の疲弊加減によって、色や粒状性が変わるのが当たり前だった。そのため、写真作品の色再現にこだわる人は、一定のルールに従って色管理を行っているプロラボなどにフィルムを持ち込んでいたのだ。

 しかし、その曖昧さをデジタルの世界に持ち込んではいけない。環境さえ整えれば、プロラボなどのサービスに頼ることなく、誰でも同じ結果が出せるのがデジタルフォトのよさなのだ。フィルム時代の後付けによる変化は、RAW現像ソフトやフォトレタッチソフトでもっと正確にコントロールでき、キャリブレーションされたディスプレイはそれをきちんと映し出してくれる。

 とはいえ、ほんの数年前まではカラーキャリブレーションなどというものはプロカメラマンの世界や印刷業界にだけ導入される高価なものだったから、ハイアマチュアでも、おいそれと購入できるものではなかった。

 しかし、このEIZO EasyPIXは必要十分、しかもありえないぐらい安価なのだ。ナナオの直販サイト「EIZOダイレクト」から、ディスプレイとセットならプラス5000円からという「おまけ」感覚で手に入る。これはぜひ購入を検討すべきだろう。

 写真は楽しい趣味だ。僕はそれを仕事にしてしまったけれど、それでも写真は変わらずに面白い。さまざまな写真へのアプローチはあるだろうが、このデジタルフォトの時代に「色」にこだわりを持つ人は、カメラやレンズと同じように、カラーマネジメント環境にも投資することを強くおすすめしたい。デジタルフォトのためにきちんと整えた色環境がなければ、どんな写真作品も自信を持ってプリントやWebで発表することなどできないのだから。

実物をイメージ通りに撮影したら、正確にキャリブレーションした液晶ディスプレイで、プリントやWeb公開用の画像を確認、必要に応じて加工する。デジタルフォトを扱ううえで、正確な色環境を構築できるハイグレードな液晶ディスプレイとカラーマッチングツールは欠かせないものだ

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提供:株式会社ナナオ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2011年3月31日