前回は、ビジネスプリンタを選択するうえで知っておきたい最近の市場動向と製品選びのチェックポイントを紹介した。今回からはそれらを踏まえて、実際の製品を見ていこう。
現在販売中のビジネスプリンタは、数年前に登場した製品まで含め、その数は膨大だ。そこで今回は、以下の3つの条件でピックアップした。
1. SOHO/SMB向けの製品であること
2. 実売価格が10万円を切ること
3. 2010年以降に発表されていること
まずは当然ながら、SOHO/SMB向けの製品であること。次に全額経費としても償却できる10万円を切る価格で購入できることに着目した。この金額は、量販店やWeb販売を含めて複数の店舗で、一時的な特別価格やキャンペーン価格などではなく、平常時に10万円を切る価格で購入できるかを確認した。そして、古い機種を省くため、2010年以降に発表された製品という条件を付けている。
なお、2011年3月11日の東北関東大震災に伴う計画停電をはじめ、全国的な節電意識の高まりから、今後はより省電力を重視した製品が求められるようになるだろう。
少し例を挙げると、A3カラーページプリンタで最小クラスのTEC値(実際の運用に近い条件において、1週間の消費電力量を測定・算出した値)をうたう、富士ゼロックスの「DocuPrint C3350」やエプソンの「LP-S8100」、省エネと高速起動を両立した独自のオンデマンド定着方式をウリとするキヤノンの「Satera」シリーズ、あるいはインクジェット方式のビジネスプリンタなど、節電効果の高い製品にも注目したい。
仕事で多用するモノクロ文書を高速に印刷したい(カラー文書は印刷しない)、しかも価格は抑えたいというユーザーは、モノクロ専用のレーザー/LEDプリンタをまずチェックしよう。
特にA4モノクロの単機能モデルは、1万円台〜5万円程度の予算でも豊富な製品から選べる。高価なモデルのほうが印刷速度が高速だったり、給紙容量が多かったり、オプション類や保守サービスの種類が豊富だったり、といった違いがあるが、安価なモデルでもSOHO向けとしては侮れない性能・機能を備えているので要注目だ。低価格モデルは、仕事を自宅に持ち帰ることの多いビジネスパーソンが、家庭用インクジェットプリンタ/複合機とは別に、文書印刷専用機として導入するのもおすすめだ。
それではA4対応のモノクロレーザー/LEDプリンタ単機能モデルから紹介しよう。
国内でプリンタ事業をメインとしているメーカーといえば、エプソンを思い浮かべる人は多いだろう。同社初の製品となる「EP-101」から「EP(Electric Printer)の息子(SON)を作り出す」という意味でEPSONを社名とするほど、プリンタとは縁が深い。事実インクジェットプリンタに関しては、キヤノンとトップシェア争いを繰り広げている。
そんなエプソンがビジネスプリンタ市場でもシェア拡大を図るべく投入した「Offirio(オフィリオ)」シリーズでは、SOHO/SMB向けにレーザー/インクジェット方式のプリンタを多数ラインアップする。
今回紹介する「LP-S210」と「LP-S310」は、価格を抑えつつも、LP-S210で30枚/分、LP-S310で35枚/分の高速印刷が可能だ。A6用紙や220グラム/平方メートル紙までの厚紙への印刷にも対応する。オプションでは複数セットできる増設カセットや内蔵メモリが用意されており、スペックを強化ができる。いずれもネットワークはオプション扱いだが、有線LAN搭載の上位機種として「LP-S310N」もある。
LED方式を採用したビジネスプリンタで老舗のOKIデータは、「5年間無償保証」が特徴の「COREFIDO(コアフィード)」シリーズを展開している。
今回ピックアップしたのは「B411dn」と「B431dn」の2モデルだ。B411dnは30枚/分の印刷速度を確保し、自動両面印刷と有線LANまで標準で装備する。上位モデルとなるB431dnは、38枚/分という高速印刷が自慢で、PostScript 3エミュレーション機能によるDTPソフトからのPostScript印刷も可能だ。
両モデルともボディの高さは245ミリと低く抑えているほか、内蔵メモリの増設に対応し、オプションの増設用給紙カセットを装着することで、最大給紙枚数を大幅に増やせる(B411dnで861枚/B431dnで970枚)など、スペックを強化できる。
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