“ほぼ全部入り”の地デジPC──「dynabook Qosmio D711」実力チェック低消費電力、地デジ対策もOK(3/3 ページ)

» 2011年04月08日 11時00分 公開
[岩城俊介(撮影:矢野渉),ITmedia]
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“Sandy Bridge”世代の最新CPUを搭載、PCとしての仕様はかなり豪華

 PCとしての仕様はなかなか豪華だ。CPUは“コードネーム:Sandy Bridge”世代のデュアルコアCore i5-2410M(2.3GHz/最大2.9GHz/Hyper-Threading Technology対応)を採用し、Hyper-Threading Technologyにより4スレッドの同時処理が可能だ。動作クロックは定格最大2.3GHz、Intel Turbo Boost Technology有効時で最大2.9GHzで動作する。

 本機はデスクトップPCだが、Intel HM65 ExpressチップセットとCore i5-2410MによるノートPC向けプラットフォームを採用する。同世代のデスクトップPC向けプラットフォームよりパフォーマンスの絶対値は劣るが、PCとAV機能を快適に扱えるパフォーマンスはしっかり確保しつつ、消費電力を抑え、環境負荷を低減する特徴がある。

 消費電力を積極的に抑える「ecoモード」も健在で、「TOSHIBA ecoユーティリティ」でどのくらい効果があるかをグラフで視認できるのも、節電を心がけたいと思うユーザーにうれしい機能だ。ecoモード/アイドリング動作時の消費電力参考値は約35ワットほどだった(参考:手元の2003年製造某19型液晶ディスプレイは50ワット)。

photophoto キーボードに専用の「eco」キーがあり、ワンタッチでecoモードに切り替えられる。TOSHIBA ecoユーティリティで具体的な数値や推移とともに節電具合もチェックできる

 メインメモリは4Gバイトで、64ビット版Windows 7 Home Premiumとともに家庭内用途であれば十分な量を確保する(最大8Gバイトまで搭載可能)。なお、OSは64ビット/32ビットのセレクタブル仕様で、初回起動時に32ビット版のWindows 7 Home Premiumも選択できる。

 同シリーズではじめてBLXL対応のBlu-ray Discドライブも採用する。BDXLはこれまでの1〜2層の最大50Gバイトを超える、100Gバイト(3層メディア使用時)ないし128Gバイト(4層メディア使用時)の容量を記録できるBlu-ray Discの新たな規格だ(下位互換性があるので、これまでのBlu-ray Discメディアももちろん使用できる)。Blu-ray Discは、最大6倍速BD-R、最大4倍速BD-R DL(2層)、最大2倍速BD-R TL(3層)/BD-R QL(4層)/BD-RE/BD-RE DL/BD-RE TLでの記録をサポートする。

 なお、BDXLメディアの記録や読み込みにはBDXL対応機器が必要だ。メディア単価もまだ高価な傾向だが、すでに多数の家庭用レコーダーで積極的に採用されていることもふまえ、今後、PC分野でもより普及が進むとも思われる。約12時間分の地デジ番組をそのままの画質でBDXL対応メディア1枚に保存できるようになる特徴を生かし、ドラマを1クールまとめてアーカイブ化・録画した映画を続編も含めて1枚にまとめるといった活用も自在にできそうだ(HDDと比べてデータ消失のリスクが低いことをメリットに、PCデータ保存用途としてもなしではない)。



 さて、デザインこそ2010年夏モデルのdynabook Qosmio DXと同じだが、dynabook Qosmio D711のPCとしてのパフォーマンスは比較するとやはり相応に高く、各種ベンチマークテストのすべての結果で旧モデルを上回った。仕様としてそれほど進化していないHDDスコア以外、特に世代が違うCPUやメモリ、グラフィックス系のスコアでかなり差が付いた。

photophoto PCMark05 1.2.0(左) PCMarkVantage 1.0.2.0(右)の結果
photophoto 3DMark06(左) PFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3(右)の結果
photophoto Windowsエクスペリエンスインデックスの結果

 グラフィックスはCPU統合のIntel HD Graphics 3000を用いる。高度な3D描画性能を要求する最新3Dゲームタイトルをグリグリ動かすには力が足りない。もちろん、Webベースのカジュアルゲームなら問題なく楽しめる。

 ちなみに、(PCにおいてそれほど流行の兆しがないのは残念だが)3Dメガネをかけて観る3D立体視は対応しない。3D立体視の機能を望むなら、NVIDIA 3D Vision対応のノートPC型「dynabook T551」か、他社の液晶一体型デスクトップPCが選択肢になる。蛇足だが、東芝はPC向けにも“グラスレス3D”を開発中としているので、次期以降のdynabook Qosmio Dシリーズへの搭載に期待したい。

 最後に、静音性は非常に優秀だ。普段の利用において、ファンやHDD動作音はほぼ聞こえない。高負荷時はファンの風切り音が少し大きくなり、真夜中に予約録画がはじまる音に気がつくことはあるかもしれないが、多くの場合で気にするレベルには達しないと思われる。ちなみに録画中は本体前面の“録画中”インジケータが赤く点灯するが、設定によりオフにすることもできる。こういった細かい配慮も、プライベートルームへの導入を見込む本機ならではだろう。

photophotophoto デバイスマネージャ画面の一部 評価機のBDXL対応Blu-ray Discドライブはパイオニア「BDR-TD04」というモデルが使われていた

PC機能とテレビ・レコーダー機能を高い次元で融合した地デジPC

photo

 地デジPCは、21.5型クラスの手ごろなボディサイズを生かし、寝室や書斎、子ども部屋などプライベートルームへの“複数台目の地デジ化”に最適だ。

 dynabook Qosmio D711は、地デジPCとして東芝独自の特徴となるSpursEngineの存在がキラリと光っている。録画番組の変換やBlu-ray Discメディアへの記録といったテレビ・レコーダー系機能以外に、既存の映像コンテンツの利用にも超解像化や高速エンコードによる恩恵も受けられるメリットは、数ある地デジ搭載液晶一体型PCの中でどれにするか迷った時に差が付くポイントになると思う。

 やはり家族用やプライベートルーム用としての導入、あるいは新生活でひとり暮らしをはじめた人の「PC+テレビの一括導入」のニーズに合う。2011年7月24日のアナログテレビ放送停波(※)の準備も含め、特に「テレビ」を軸にPC購入を考える人に勧められる1台だ。

 (※なお、4月7日に「総務省は東日本大震災の被害が大きかった岩手、宮城、福島の3県は2011年7月の地デジ完全移行を当面延期する可能性がある」と報道があった)


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