「“自然に面倒なく”使える」3D──グラスレス3D対応dynabookの可能性そもそも専用メガネが面倒なので

» 2011年04月21日 02時00分 公開
[岩城俊介,ITmedia]
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グラスレス3D──「PCの1機能として当たり前になる機能」を目指す

photo グラスレス3D dynabook「dynabook Qosmio T851」を紹介する東芝 デジタルプロダクツ&サービス社の大角社長

 テレビやレコーダーなど家庭用AV機器の3D対応が進む中、AV系機能とも親和性が高いPCもそれに準じて3D対応が急速に進むと思われた。ただ、その兆しはまだそれほど見られない。

 偏光版方式で“ベースモデルとそれほど価格差なく”展開する地デジ搭載液晶一体型、フレームシーケンシャル方式のNVIDIA 3D Vision対応でこれまでとは異なる差別化を図るゲーム向けモデルなど、PC各メーカーが方式別にそれぞれラインアップを用意して幅広いPC利用者のニーズに訴求しており、実際、各社の3D対応モデルのラインアップはかなり増えている。ただ、やや割高、楽しむコンテンツがまだない、専用メガネをかけるのが面倒──など、テレビ以上に「今は特に必要ない。まだそれほど魅力は感じない」という評価となってしまう例は多いようだ。


photo 一般的なWebカメラとフェイストラッキング技術を組み合わせて視聴者の位置を認識。それに応じて適切な3D表示に自動調整するアクティブレンズを採用したディスプレイにより、裸眼3D表示を実現する。左上のウィンドウが(普段は表示されない)カメラ画面で、視聴者の顔を認識していることが分かる。中央の映像ウィンドウのみ3D表示で、それ以外は通常の2Dで表示する「部分3D表示」も行われている。なお、搭載ディスプレイはフルHD解像度だが、3D表示時の解像度は1366×768ドット相当となる

 東芝が今回投入するグラスレス3D対応dynabook「dynabook Qosmio T851」は、上記のネガティブな例から「面倒」の部分をスッキリ排除した点を大きな特徴とする。専用メガネは不要、さらに“普段のPC機能は2Dのまま/映像コンテンツは3Dで”と利用者が意識することなく使い分けられる「部分3D表示技術」を取り入れた。

 また、基本的に同時利用者は自分1人となるPCなだけに、グラスレス3Dレグザで採用する9視差式の専用LSIやレンチキュラーシート付き液晶パネルといったコストがかかると思われる部材を用いず「利用者1人だけ、きちんと3D効果が得られる表示調整ができればOK」とする仕様によい意味で割り切られている。昨今のノートPCにはほぼ標準機能として備わるWebカメラを利用し、視聴者の顔を認識・追尾・位置を把握するソフトウェアベースのフェイストラッキング技術と、光の平行を操作できるアクティブレンズを採用したディスプレイを搭載することで、2視差式ながら左右の映像を視聴者の位置から正しく3Dイメージに見えるよう自動調整する仕組みだ。

 もう1つの特徴とする2Dー3Dリアルタイム変換機能は、dynabookシリーズにかなり採用例があるメディアストリーミングプロセッサ「SpursEngine」を活用して実現する。基礎技術を確立したグラスレス3D dynabookは、SpursEngineとテレビチューナー、Webカメラ(とフェイストラッキングのための制御ソフトウェア)、光の平行を制御できるアクティブレンズを採用したディスプレイで実現できるようだ。「もちろん単にこれだけ載っていればよいわけでなく、細かく算出できるものでもないが、SpursEngine搭載モデルをベースにするとプラス数万円ほどで実現できる。これが“dynabookなら当たり前”となるまで普及するなら、差額はもっと減る。ベーシックモデルへの採用を含め、グラスレス3D対応PCの拡充は当然検討している」(説明員)という。

 ちなみにグラスレス3Dレグザは12V型「12GL1」が12万円前後、20V型「20GL1」が24万円前後。対して(と比較するものではないが)15.6型ワイドのdynabook Qosmio T851は実売23万円前後だ。10万円前後が売れ筋価格帯のボーダーラインとなっている昨今、20万円以上のPCとなるとやや高いかもと感じるが、こちらはPC+3波ダブルチューナー+AVC録画+BDXL対応Blu-rayレコーダーの機能込みであること、そしてPCとしての仕様がそもそもハイエンド志向なためだ。ラインアップが拡充され、普及価格帯のモデルにも搭載されるなら、それが標準搭載ならと考えるとより魅力が増しそうと言える。

photophotophoto AV機器のREGZAとPCのdynabookをこれまで以上に連携、融合して製品展開を行う。2011年度内発売予定の「レグザサーバー」をハブに、スマートフォン、タブレット、PC、テレビと映像コンテンツをいつでもどこでも楽しめるような連携体制も推進する
photo 20V型までのREGZA、dynabook以外に、今回発表されたREGZA Tabletや40V型以上の大画面モデルも順次グラスレス3D化する予定としている

 「なんだか面倒」の不満は、おそらく東芝のグラスレス3Dなら発生しない。残るは価格と、「3Dを積極的に利用したくなるコンテンツ」の増加・普及だ。普及価格帯モデルへの採用とともに、東芝が協賛する世界初の3Dオペラ『カルメン3D』といった良質な3Dコンテンツを含む3D映像タイトルの拡充や、東芝製品活用情報サイト「東芝プレイス」などでの訴求も含めた3Dコンテンツの拡充が進むならば、「グラスレス3D dynabookが、“PCでの3D”を一般層まで普及させる起爆剤の1つになると思う。テレビもPCも、3D方式の本命はグラスレス」(東芝 デジタルプロダクツ&サービス社の大角社長)と自信を見せるのもうなずける。2011年4月よりレグザブランドのAV機器を展開する映像事業と、PCのdynabookブランドを展開するPC事業を統合したことによるシナジー効果を期待しつつ、PCでの3Dも「dynabook全モデルの標準機能」とするほどの積極推進も期待したい。



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