4月後半、ジャンル全体の売れ行きが好調だったのはエントリークラスのグラフィックスカードだ。4月第3週にNDIVIAのローエンドGPU「GeForce GT 520」がリードテックとZOTACから登場し、5000円弱から6000円弱で出回った。「GeForce 210の後継的な位置付けですが、標準で1GバイトのDDR3メモリを搭載しているので、最新の動画再生支援などとあわせて、デュアルディスプレイ環境でも快適に使えます」(フェイス秋葉原本店)と、各店の評判は上々だ。
続いて、第4週にはAMD陣営からもエントリークラスのGPU「Radeon HD 6670/6570/6450」を搭載したグラフィックスカードが一斉にデビューした。HD 6670カードは1万円前後から1万2000円前後、HD 6570カードは9000円弱から1万円強、HD 6450カードは5000円前後から7000円弱だ。こちらも売れ行きは好調だ。
3GPUとも標準構成で補助電源は不要。HD 6670カードはGDDR5メモリを1Gバイト搭載し、HD 6570カードはGDDR5とDDR3版が用意され、ともに容量は1Gバイトとなる。HD 6450カードはGDDR5とDDR3メモリに対応し、それぞれ1Gバイトと512Mバイト版がラインアップされる。また、メーカーの独自仕様でメモリを増強したモデルもみられる。
エントリークラスのグラフィックスカードは、登場からしばらく時間をおいて売れ出すパターンが多いが、今回は各ラインアップが初回から好調に売れているのが特徴だ。その理由を、パソコンハウス東映は「Sandy Bridgeの内蔵GPUが優秀だったぶん、NVIDIAもAMDもローエンドGPUの性能を底上げしてきた感がありますね。再生支援機能などはハイもローも同様の仕様ですし、相対的に1世代前よりもエントリークラスのカードの価値が高まっているのは確かです。これまで買い換えを控えていたユーザーが数年スパンで購入するという動きもあると思います」と分析していた。
ミドルレンジのGPUも4月初旬にAMDから「Radeon HD 6790」がデビューしている。GDDR5メモリ1Gバイトを搭載し、HD 6850を上回るコア/メモリクロックを備えるが、ストリームプロセッサ数を160個少ない800個に抑えている。消費電力は最大150ワットで、価格は1万4000円前後から1万7000円前後となる。
エントリークラスとは対照的に、HD 6790カードの評判はいまひとつの様子。某ショップは「最大129ワットのHD 6850よりも消費電力が高いので、価格が1万円台前半に落ち着いてもヒットは厳しいでしょう。HD 5830以来の“やっちゃった感”があります」と切り捨てていた。
ミドルレンジ以上のグレードでは、Radeon HD 6000がふるわず、人気はGeForce 500ファミリーに集中していると語るショップも多い。ハイエンドクラスの人気について、クレバリー1号店は「前世代からの上がり幅はどちらの陣営もそこそこなのですが、単体でのベンチマーク結果からGeForce GTX 580を選ぶ人が多かったです。ただ、最近は1つ下のGTX 570が3万円台半ばとかなり安くなっているので、そちらに人気が移行している感はありますね」と語った。
とはいえ、Radeon HD 6000シリーズの評価も低くはないようだ。ドスパラ パーツ館は「Radeon HD 5000が劇的に優秀だったので、買い換えを選ばない人が多かったのは確かでしょう。ただ、Radeon HD 4000からの買い換えなら、6000はコストパフォーマンスにも優れていますし、完成度も増しているのでオススメできます。これから新規で組む方が増えたらシェアも伸びるのかなと思いますよ」と予想していた。
実際、4月初旬に登場した、MSI独自クーラー「Twin Frozr III」搭載の「R6970 Lightning」も、同時発売の「N580GTX Lightning」とともに一定の人気があった。ツートップ秋葉原本店は「どちらのカードもオーバークロック幅が大きいので、シングルGPU最強を目指す人に支持されると思います。デュアルGPUタイプも出回っていますが、ハイスペック志向の方はシングルGPUカードの複数枚差しを選ばれる場合が多いですしね」とコメントしている。
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