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» 2011年05月17日 14時00分 UPDATE

元麻布春男のWatchTower:“X1”が導く「ThinkPadの先にあるもの」 (1/3)

ThinkPad史上最薄を重要なコンセプトとした、“X1”が登場した。X1と名づけた意図はどこにあるのか。大和研究所幹部が、X1の先にあるThinkPadの姿を語った。

[元麻布春男,ITmedia]

ThinkPad X1に課せられた使命とは

 1992年の誕生以来、ThinkPadシリーズは常にビジネスツールとじての有用性を念頭に開発されてきた。黒一色でスクエアなボディ、ビジネスで実用できる十分な性能と、長期間の利用に耐える堅牢性は、ThinkPadシリーズ(レノボ・ジャパンは“ThinkPad Classic”と呼ぶ)に共通する条件だ。

 しかし、だからといってThinkPadに“冒険をした機種”がないわけではない。折りたたみ式のバタフライキーボードを採用した「ThinkPad 701c」、2画面の液晶ディスプレイを備えた「ThinkPad W701ds」、そして、2スピンドルで極限の薄さを目指した「ThinkPad X300」など、保守的だと思われがちなThinkPadシリーズにも、大胆なチャレンジをしたモデルが存在する。こうした挑戦的な機種であっても、ビジネスツールとしての有用性を備えているところが、「ThinkPad」ブランドを掲げる大和研究所の責任のようにも思う。

 今回発表された「ThinkPad X1」は、ThinkPad史上最薄ボディを目指した「スタイリッシュ&プレミアムデザイン」を重要なコンセプトとする。これまで、質実剛健の象徴のようにユーザーが思っていたThinkPadシリーズ、しかも、その正統派となるThinkPad Classicの一員にThinkPad X1は属するという。しかし、その一方で、レノボ・ジャパンの開発者は「ThinkPad X1はスタイルを前面に押し出している」と語る。その意味で、ThinkPad X1は従来のThinkPad Classicとは一線を画すことになる。

 ThinkPadと聞いて多くのユーザーが連想するのは従来からのクラシカルなスタイルだ。その外見からの脱却は、2010年に登場した「ThinkPad Edge」シリーズに見て取れる。ThinkPadシリーズで黒以外のカラーバリエーションを用意し、アイソレーション(レノボ・ジャパンは“アイランド”と呼ぶ)タイプの6列キーボードなど、それまでのThinkPadシリーズでは考えられなかったデザインを取り入れている。

 ThinkPadの開発陣が、こうした新しいデザインを模索する大きな理由は、ユーザー層の変化にあるという。ThinkPadが対象とする企業のIT部門においても、ここ数年で機種選定にあたる担当者の“若返り”が図られており、今までとは異なったデザインを選択する傾向が増えている。また、Facebookに代表される急成長のIT関連新興企業では特に、ノートPCを選ぶ要素としてボディデザインの優劣を重視するという。

 ThinkPad X1は、こうした新しいユーザー層にアピールする、次世代のThinkPadを模索するコンセプトモデルといった性格も持っている。そのような、ThinkPad X1に課せられた“使命”を理解した上で、この“新世代”ThinkPadの特徴とその意義について、開発責任者のレノボ・ジャパン 常務執行役員 研究・開発 ノートブック製品担当の横田 聡一氏に聞いた。

kn_tpx1itvw_01.jpgkn_tpx1itvw_06.jpg レノボ・ジャパン 常務執行役員 研究・開発 ノートブック製品担当の横田 聡一氏(写真=左)。コンセプトに「スタイリッシュ&プレミアム・デザイン」とあるように、ThinkPad X1はスタイルを重視して開発が進められた。「ThinkPad史上最薄」はその結果といえる(写真=右)

とにかく薄く、そして、見ばえよく

 繰り返しになるが、ThinkPad X1の最大の特徴はThinkPad史上で最も薄いボディだ。その厚みは最薄部で約16.5ミリ、最厚部でも約21.3ミリだ。数字だけでは直感的に把握できないかもしれないが、これまでのThinkPadシリーズでも薄いボディを有するThinkPad T420sのベースユニット(液晶ディスプレイではない、キーボードやインタフェース、システムボードを収容するボディ側)と、ThinkPad X1のディスプレイを含めた厚さがほぼ同じといえば、その薄さが想像できるだろうか。

 この薄さとThinkPadとしての堅牢性を両立させるために、ThinkPad X1では、ボディ内部にマグネシウム合金を用いた骨組みともいうべき“ThinkPad Rollcage”を採用したほか、液晶ディスプレイとその回りにあるベゼルの全体を、強度と傷の付きにくさで評価されている“ゴリラガラス”で覆った。ThinkPad Rollcageは、ボディ内部を仕切るフレームと強度を確保する“柱”を一体化したもので、2008年に登場した薄型モデル「ThinkPad X300」でも採用されたものだ。

kn_tpx1itvw_02.jpgkn_tpx1itvw_03.jpg 左にあるThinkPad X420sで液晶ディスプレを開いた本体側と、右にある液晶ディスプレイを閉じたThinkPad X1の厚さは、ほぼ同程度になる(写真=左)。薄いボディでも堅牢性を確保するため、フレームと“骨組み”を一体化させたThinkPad Rollcageを導入する(写真=右)

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