“X1”が導く「ThinkPadの先にあるもの」元麻布春男のWatchTower(3/3 ページ)

» 2011年05月17日 14時00分 公開
[元麻布春男,ITmedia]
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新しいユーザーをThinkPadへ迎えるために必要なこと

 性能と薄さ、堅牢性の確保に加えて、ThinkPad X1には、従来のThinkPadとは異なった特徴を“あえて”持たせている。その1つがキーボードだ。ThinkPad Edgeシリーズに使われていたのと同じ、6列配列のアイソレーションタイプを採用する。また、液晶ディスプレイはゴリラガラスと組み合わせたグレア(光沢)タイプとなり、内蔵スピーカーはステレオで、高音質化補正のためにドルビーホームシアター Ver.4を導入する。

 いずれも、コンシューマー向けのノートPCで採用される機能だが、最近では、こうしたコンシューマー向けの機能が企業向けのノートPCでも求められるようになっているのだという。それも、コストダウンのためでなく、企業ユーザーから求められたから導入したというのだ。内蔵オーディオの高音質化は、VoIPやプレゼンテーションなど、ビジネス目的にも活用できるが、ThinkPad X1ではあくまで副次的な効果で、主目的はプライベートシーンでの活用にあるとレノボ・ジャパンは説明する。

 大企業のIT環境をターゲットとした従来のThinkPadは、どちらかといえば保守的なデザインを踏襲し、また、それが既存のユーザーに支持されてきた。このようなThinkPadを育ててくれたユーザー層は既存のThinkPad Classicで大事にしながら、これまでThinkPadを選んでこなかったユーザーにもアピールしたい、というのがThinkPad X1に課せられた最も重要な任務になる。ほかのThinkPad Classicモデルがアルファベットに続く3桁の数字を型番にするのに対し、これまで例のない、1桁の数字を型番としたのには、そのような、“これまでとは違う”という意味が込められている。

 “ThinkPadの既存ユーザー”としては、このチャレンジの成否を見守ると同時に、かつてThinkPad X300シリーズがThinkPad T420sへとフィードバックされたように、X1によって培われた技術が、次世代のThinkPadに反映されることを期待したい。

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