先の速報(「Microsoftが本気だ! Windows 8のユーザーインタフェースを公開」)でも紹介したように、米Microsoftは本国でWindows 8のユーザーインタフェース(UI)が初めて公開されたのに合わせ、台湾で開催されているCOMPUTEX TAIPEI 2011と併設する形でパートナー向けの新OSプレビューイベント「Microsoft Partner Preview COMPUTEX 2011」を開催した。
速報では写真中心のリポートでお伝えしたが、本記事ではより詳細なWindows 8情報を紹介していこう。
Windows 8では、タブレットデバイスを意識して操作体系に大幅な変更が加えられている。
従来のWindowsはマウスやペン、あるいはキーボードショートカットによる細かい操作を基本としていたため、「指でタッチ操作」するいわば大ざっぱな操作と相性がよいとは言えなかった。これまで、2011 International CESでARM SoC(System on Chip)上で動作するWindows(関連記事:「ARM対応ですべてのデバイスにWindowsを──Microsoft基調講演」)を、MIX11ではWindows 8の中心となるInternet Explorer 10(IE10)のデモストレーションを公開(関連記事:「IE9を超えてパワフル!──「Internet Explorer 10」の本気を動画で見る」)したが、UIに関する情報公開はまだだった。
今回行われたパートナー向けイベントでのポイントは、Windows 8のUIプレビューをはじめて一般公開したこと、そして“Windows on ARM”を実現するうえで重要なパートナー情報が発表されたことの2点にある。まずはWindows 8のUIについてじっくりと紹介し、残りの後半でパートナー戦略やアプリケーションの実行環境、今後の課題について考察していく。
Windows 8について説明を行うのは、2011 International CESで行われた米Microsoftのスティーブ・バルマーCEOのキーノートセッションでWindows on ARMを紹介したWindowsプランニング ハードウェア&エコシステム担当コーポレートバイスプレジデントのマイク・アンギウロ(Michael Angiulo)氏だ。
同氏は「Dell XPS Workstation」という名称の、ボードとディスプレイのみで構成された開発用のリファレンスモデルでデモンストレーションを行った。名称とデモの流れから察するに、x86系プロセッサを搭載したマシンだと思われる。待機状態のWindows 8はスマートフォンの待受ウィジェットのような、時刻などが表示された「ロックスクリーン」の状態であり、画面をタップすることでホーム画面が表示される。ホーム画面のUIはタイル式デザインで、ここにSNSや電子メール受信などの最新アップデート状況が逐次表示される仕組みだ。Windows Phone 7のUIに似たものである。
アプリケーションを呼び出す方法は2種類あり、まず画面上に表示されているタイルをタップして該当アプリケーションを起動する方法、もう1つがスタートボタンなどのシステムメニューからアプリケーションを選択する方法だ。例えば、画面の天気情報が表示されたタイルをタップすると、天気アプリケーションが起動する。一週間分の天気情報が表示される後方には、雲がアニメーションで動作している。
同氏によれば、このアプリケーションはすべてHTML5、CSS、JavaScriptで記述されており、Windows 8におけるプログラミングはすべてWebベースになると述べている。以前、バルマーCEOが「Microsoftの社運をHTML5にかける」と述べたのも記憶に新しいが、つまりWin32 APIやネイティブコードを排し、今後はWebプログラミングへとデベロッパーを誘導していく意向なのだと思われる。Webアプリケーションの動作に特化したChrome OSのようなプラットフォームの出現もあり、この点は昨今における大きなトレンドの変化の1つと言えるだろう。
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