「VAIO S(SA)」徹底検証――直販限定×高級志向の13.3型モバイルノート待望の高解像度化、外装もグレードアップ(5/6 ページ)

» 2011年06月09日 11時30分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

最新ハイパフォーマンスモバイルノートの実力は?

 今回の評価機は、Core i5-2520M(2.5GHz/最大3.2GHz)、Radeon HD 6630M(1Gバイト)、8Gバイトメモリ、256GバイトクアッドSSD(64Gバイト×4)、1600×900ドット表示の液晶、Blu-ray Discドライブ、無線WAN(b-mobileパックなし)、64ビット版Windows 7 Ultimate(SP1)という構成だ(直販価格は24万5300円)。最速の構成というわけではないが、かなりのハイスペック構成であり、これでベンチマークテストを実施した。

 テストによっては、VAIO S(SB)の2011年春モデル「VPCSB19FJ/B」(標準仕様モデル上位機/ブラック)と「VPCSB18FJ/W」(標準仕様モデル下位機/ホワイト)、13.1型ハイエンドモバイルノートであるVAIO Zの2010年春モデル「VPCZ11AFJ」(VAIOオーナーメードモデル)のスコアも参考までに併記した。

 もっとも、2011年春モデルではVAIO S(SB)のVAIOオーナーメードモデルでVAIO S(SA)に近い構成を選ぶことが可能で、前回のVAIO S(SB)のレビュー時には液晶ディスプレイの解像度を除き、ほぼ同じ構成でテストしていた(2011年夏モデルではCTOメニューが簡略化されたので、ここまでハイスペックな構成は選べない)。

 そのため、当然ながら今回のテストではそれと似たスコアが出ており、VAIO S(SA)だけの目新しい要素はない。

今回テスト結果を比較したVAIOノート
シリーズ名 VAIO S(SA) 2011年夏モデル VAIO S(SB) 2011年春モデル VAIO S(SB) 2011年春モデル) VAIO Z (2010年春モデル)
モデル名 VPCSA2AJ VPCSB19FJ/B VPCSB18FJ/W VPCZ11AFJ
販売チャネル VAIOオーナーメードモデル 店頭向け標準仕様モデル(上位) 店頭向け標準仕様モデル(下位) VAIOオーナーメードモデル
CPU Core i5-2520M (2.5GHz/最大3.2GHz) Core i5-2410M (2.3GHz/最大2.9GHz) Core i3-2310M (2.1GHz) Core i7-620M (2.66GHz/最大3.33GHz)
CPU内蔵グラフィックス Intel HD Graphics 3000 Intel HD Graphics 3000 Intel HD Graphics 3000 Intel HD Graphics
外部GPU Radeon HD 6630M (1Gバイト) Radeon HD 6470M (512Mバイト) Radeon HD 6470M (512Mバイト) GeForce GT 330M (1Gバイト)
メモリ PC3-10600 8Gバイト (4Gバイト オンボード+4Gバイト) PC3-10600 4Gバイト (4Gバイト オンボード) PC3-10600 4Gバイト (4Gバイト オンボード) PC3-8500 4Gバイト (2Gバイト×2)
データストレージ 256GバイトSSD (64Gバイト×4、RAID 0) 500GバイトHDD (5400rpm) 500GバイトHDD (5400rpm) 256GバイトSSD (64Gバイト×4、RAID 0)
光学ドライブ Blu-ray Disc Blu-ray Disc DVDスーパーマルチ Blu-ray Disc
液晶 13.3型1600×900ドット 13.3型1366×768ドット 13.3型1366×768ドット 13.1型1920×1080ドット
OS 64ビット版Windows 7 Ultimate (SP1) 64ビット版Windows 7 Home Premium 64ビット版Windows 7 Home Premium 64ビット版Windows 7 Home Premium
オフィススイート Office Home and Business 2010 Office Home and Business 2010
発売時の実売価格 24万5300円 20万円前後 16万円前後 31万6800円

256GバイトのクアッドSSD(64Gバイト×4、RAID 0)を搭載した構成で実行したCrystalDiskMark 3.0のスコア

 それでも総合的に優秀なスコアをマークしていることは確かだ。特にクアッドSSDのパフォーマンスは相変わらず素晴らしい。Windowsエクスペリエンスインデックスでは最高の7.9を記録しているほか、CrystalDiskMark 3.0ではシーケンシャルリードで892Mバイト/秒、シーケンシャルライトで659.9Mバイト/秒と、いずれもSerial ATA 6Gbpsの理論上限(600Mバイト/秒)を大きく超えるスコアを獲得した。

 PCMark05やPCMark VantageのHDD関連テストでも突出したスコアを出しており、これはサクサクとしたレスポンスのよい使用感に貢献している。

 そのほかのテストで特筆できるのは、SPEEDモードでの3D描画性能だろう。Radeon HD 6630M(1Gバイト)というモバイル向けとしてはかなり高性能なGPUを搭載しているため、3Dゲームも実用的に楽しめ、ストリートファイターIVなど比較的描画負荷の軽いゲームならば、フルオプションに近い高画質でも快適に楽しめる。

 また、Media Espresso 6.5を使って動画エンコードの速度も検証したが、やはりIntel HD Graphics 3000に備わったIntel Quick Sync Videoによるハードウェアデコード/ハードウェアエンコードがともに有効になるSTAMINAモードのほうが高速だった。

 なお、VAIO S(SA)はVAIO S(SB)と同様、「Quick Boot」という高速起動のための技術も採用している。BIOSやOS起動時のタスクを最適化することで、Windows 7の起動を高速化したものだ。実際に電源ボタンを押してからWindows 7のデスクトップ画面が出るまでの時間を何度か計測したところ、高速なクアッドSSDの搭載もあり、17〜8秒程度と非常に素早く起動できた。

Windowsエクスペリエンスインデックスの結果。SPEEDモードのスコア(写真=左)とSTAMINAモードのスコア(写真=右)で、グラフィックスの値が大きく変わる

PCMark05 1.2.0のスコア(グラフ=左)、PCMarkVantage 1.0.2.0 x64(1024×768)のスコア(グラフ=中央)、3DMark06 1.1.0(1280×768)のスコア(グラフ=右)。3DMark06 1.1.0はVAIO Zのみ1366×768ドット設定なので参考程度に見てほしい

FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のスコア(グラフ=左)、ストリートファイターIVベンチマークのスコア(グラフ=右)。ちなみにColinMcRae:DiRT2 Demoも実行したが、1280×720ドット(2xAA、HIGH)設定で30.1、1280×720ドット(2xAA、MEDIUM)設定で47.8のスコアだった

Media Espresso 6.5による動画エンコードの速度
モデル名 VPCSA2AJ (SPEED) VPCSA2AJ (STAMINA) VPCSB19FJ/B (SPEED) VPCSB19FJ/B (STAMINA) VPCSB18FJ/W (SPEED)
動画の変換時間 36秒 31秒(高画質)/29秒(高速) 36秒 34秒(高画質)/30秒(高速) 40秒
備考 ハードウェアデコードのみ有効 いずれもハードウェアデコード・エンコード有効 ハードウェアデコードのみ有効 いずれもハードウェアデコード・エンコード有効 ハードウェアデコードのみ有効
※2分間のAVCHDムービー(1280×720ドット/約15Mbps/2分)をスマートフォン向けの動画(Apple汎用/640×360/H.264/MP4)に変換

バッテリー駆動時間のテスト結果は?

バッテリー駆動時間のテスト結果

 バッテリー駆動時間のテストは、BBench1.01(海人氏・作)で行った。BBenchの設定は「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」および「10秒間隔でのキーストローク」だ。無線LANでインターネットに常時接続し、WebブラウザはInternet Explorer 8(32ビット版)を指定している。VAIO S(SA)の設定はSTAMINAモード(電源プランはバランス、ディスプレイ輝度は40%)で行なった。

 テスト結果は約6時間1分と、公称値の約8〜9.5時間には及ばないものの、十分な駆動時間を示した。これにオプションの拡張バッテリーを装着すれば、2倍近くまで駆動時間を延ばせるだろう。ヘビーなモバイル環境でも運用できるスタミナといえる。

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