グラフィックスカード関連では、ミドルレンジクラスに新GPUが登場し、あまり目立たないながらもじわじわと世代交代を進めていた。
5月前半にデビューしたのは、AMDの「Radeon HD 6770」と「同 HD 6750」を搭載したグラフィックスカードだ。価格はHD 6770カードが1万2000円弱から1万7000円弱で、HD 6750カードは1万円弱から1万2000円前後。Radeon HD 6770とHD 6750はそれぞれHD 5770とHD 5750の後継という位置づけで、クロックや消費電力などの仕様は前世代に近いが、HDMI 1.4aやBlu-ray 3Dのサポートといった改良点が加えられている。
マイナーバージョンアップ的な印象が強いために初動に勢いはなかったが、PC DIY SHOP FreeTは「前世代をリネームして若干の変更を加えただけという意見も聞きますが、まあ、初回からバリエーションが豊富ですし、価格と性能の両面でグラフィックスカードの売れ筋のストライクゾーンに入っています。前世代からの載せ替え需要は期待できませんが、これまで主力だったHD 5770あたりから徐々に移行していくのではとみています」と話していた。
ライバルのGeForceも前世代で主力だったGeForce GTX 460の後継ともいえる「GeForce GTX 560」搭載カードが月中旬に登場している。GeForce GTX 560はすでに出回っているGTX 560 Tiの下位モデルで、CUDAコア数やテクスチャユニット数を抑えた仕様になっている。搭載カードの価格も3000〜5000円ほど低く、初回から1万8000円前後から2万2000円前後の値がつけられていた。
こちらも各ショップで反響は少ないながらも、主力候補としてじっくり見守る声が多かった。フェイス秋葉原本店は「すでにGTX 560 Tiが登場しているので、GTX 460のように絶対的な売れ筋になるのは厳しいかもしれないですね。それでも、画質にこだわらなければ大抵のゲームが快適にプレイできる性能を持っているので、リーズナブルな価格も相まって、ゆっくりと売れていく可能性は感じます」と期待を寄せていた。
1月9日0時1分に販売解禁となったSandy Bridgeから4カ月後、5月21日0時にもPCパーツショップで深夜販売が実施された。対象となったのは、マイクロソフトの家庭用サーバOS「Windows Home Server 2011 日本語版」(以下、WHS2011)のDSP版で、USBインタフェースカードとのセット価格は1万3000円弱。メインストリームからややそれるサーバOSということもあり、クレバリー1号店の1店舗のみで深夜イベントが行われた。
WHS2011は、企業でも使われるサーバOS「Windows Server 2008 R2」をベースにしながら、前OS「Windows Home Server」と比べてデバイスの拡張範囲が広く、ビデオストリーミング機能の改良やDLNAクライアントの互換性の向上なども図っている。「ユーザーフレンドリーという意味ではWindows 7により近くなったOSです。64ビットOSですし、前作に比べて使い道も広がっています」(クレバリー1号店)という。
そうした大幅な改良などによってユーザーからの支持も順調に増やしており、販売解禁後は複数のショップで「サーバOSとしてはかなり順調に売れています」(PC DIY SHOP FreeT)といった声が上がっている。そして、クレバリー1号店の深夜販売にも、店員氏の予想や願望を大幅に超えるユーザーが集まった。関係者を除いて、60人以上のユーザーが深夜に集まり、新しいOSを購入している。
出足の好調ぶりは月末まで続いているとのことで、6月初旬にクレバリー1号店は「数100Gバイトを扱うことが普通になって、複数のマシンにファイルを分散することが増えたという変化もあり、個人でもサーバを使いたいというニーズが増えているのが大きいでしょう。そのうえでWHS2011の使いやすさが評価されているのかなと思います。セカンドマシンやサードマシンをサーバ化する人も少なくないようで、こうした使い道がどんどんメジャーになっていってくれれば、自作PC市場の先行きもちょっとずつ明るくなるかなと思いますね」と、うれしそうに話していた。
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