ようやく「Llano」登場──“Sabine”ノートで実力をチェックイマドキのイタモノ(1/4 ページ)

» 2011年06月14日 13時01分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

まず登場したのはノートPC向けプラットフォーム

 今回、性能を検証するシステムは、Llanoを搭載するノートPCだ。COMPUTEX TAIPEI 2011ではLlanoをサポートするデスクトップPC向けマザーボードが数多く展示されていたが、現時点でデスクトップPC向けLlanoは発表されていない。

 Llanoは、CPUコアにK10「Stars」コアを用いており、クアッドコア、または、デュアルコアで構成される。2次キャッシュは最大4Mバイト(2コアあたりで2Mバイトの計算)。ただし、省電力機能としてC6ステート、そしてパワーゲーティングも追加されている。また、Turbo CORE機能も備えており、45ナノプロセスルール版Phenom IIと同様に、熱設計の余裕のなかでAMD公式のオーバークロック動作を行う。メモリはDDR3-1066〜1600に対応。デュアルチャネルに対応しているほか、DDR3-1333までなら1.35ボルトの低電圧版もサポートしている。

 グラフィックス機能は、A8であれば400コア、A6であれば320コア、A4であれば240コアとAシリーズのグレードによって異なる。SIMDエンジン数はそれぞれ5基、4基、3基となる。ベースとなるのはRadeon HD 5500/Radeon HD 5600で用いられた“Redwood”コアだ。当然DirectX 11に対応する。ただ、Redwood世代と比べて、UVDは第3世代、メモリが統合グラフィックスコア向けに最適化されている点、CPUコア部分と同じ32ナノメートルプロセスルールになる点などが異なる。動作周波数はそれぞれ444MHz、400MHz、444MHzに設定されている。

 UVD3に関して補足すると、UVD2までのVC-1、H.264、MPEG-2(IDCT)に加え、MPEG-2、MPEG-4(DivXとXvid)、Blu-ray 3DなどのMulti-View Codecがサポートされている。このことから、3D性能もさることながら、メディア性能も強化されていることが分かる。

 Sabineを構成するFusion Control Hub(FCH)には2つのバージョンが用意される。「AMD A60M」と「AMD A70M」だ。基本的な機能としては、PCI Express x1が4基、PCI、Serial ATA 6Gbps、USB 2.0などをサポートし、A70MではUSB 3.0もサポートする。

 なお、AシリーズのTDPは35ワット、または、45ワットとされる。TDP算出方法に違いがあるものの、インテルの“Sandy Bridge”でノートPC向けモデルに当てはめると、35ワットならCore i5、45ワットならCore i7のレンジに相当する。

Sabineノートをチェック

Sabineプラットフォームの評価機。至って普通のノートPCで英語キーボードに英語OS。ボタン類も電源のみで、グラフィックス切り替えボタンなどはない

 今回、Sabineの性能評価で使うのは、AMDのリファレンスデザインを採用するノートPCだ。具体的な製品名はなく、メーカーロゴも見当たらない。A8-3500Mを搭載していることなど、仕様に関してはある程度情報があるという程度だ。搭載する液晶ディスプレイのサイズが14型ワイドで、モバイルというよりはデスクトップ代替ノートPCに相当する。

 本体左側面にかなり大きな排気スリットがある。評価機が搭載するA8-3500MのTDPは35ワットと、この程度であれば一般的なデスクトップPC代替ノートPCと同様だが、ディスクリートGPU(dGPU)としてRadeon HD 6630Mも搭載しているので、グラフィックスコアも含めた冷却を考慮しているのだろう。まずまず静かではあるが、dGPUをオンにした状態で動作させるとファンの風切り音がよく聞こえるレベルまで上昇する。

本体左側面には青いUSB 3.0ポートも確認できる。最近では追加チップを搭載することでUSB 3.0に対応したノートブックも登場してきているが、評価機はAMD A70M FCH(チップセット)を採用しているため、この機能を利用している。チップセットレベルでサポートされることで、USB 3.0の普及が促進されるだろう。そのほかHDMIやD-Sub、LAN端子などが確認できる。

右側面のインタフェースは至って普通で、USB 2.0×2、オーディオ入出力、そして光学ドライブ(Blu-ray)。こちら側にSabineの特徴的な構成は無い。そのほか前面にはメモリカードがある。

左側面にはアナログRGB出力、有線LAN、HDMI、そしてUSB 3.0を備える。やや大きめの排気スリットが目立つ(写真=左)。右側面にはオーディオ入出力、USB 2.0×2、光学ドライブ、セキュリティロックスロットがある(写真=右)。なお、正面にはメディアカードスロットも搭載していた

 搭載するAPUのA8-3500Mは、グラフィックスコアとして「Radeon HD 6620G」を統合する。評価機材にはこれとは別にディスクリートのグラフィックスコアとしてRadeon HD 6630Mも搭載していた。この2種類のグラフィックスコアを搭載するシステムでは、「AMD Dual Graphics」と呼ばれる機能が利用できる。これは、内部的にCrossFireXを構成してグラフィックス性能を向上させる。

評価機材が搭載する2種類のグラフィックスコアについてGPU-Zで、その仕様を確認する

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