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» 2011年06月24日 15時41分 UPDATE

もし、在宅業務することになったらどうするか:PCフリーライターが普段実践する、モバイルオフィス環境──「通信環境の確保」編 (1/2)

ノートPCで実践するモバイルオフィス環境の構築には、インターネット接続も欠かせない。それぞれの通信サービスをどうとらえるか、まずはどれから導入すればいいか、“はじめの1歩”を考察する。

[石川ひさよし,ITmedia]

「通信環境」がなければ、業務効率は低下する

 前回の「電源」に続き、「通信環境」も昨今のPC業務には必要不可欠なものだ。

 PCフリーランスライターである筆者は、普段の出先でのPC業務時はもちろん、メーカーの製品発表会やイベント取材において「現地で情報収集→その場で原稿に仕上げて納品する」をするには何が必要かを考え、通信環境を整えた。それは多分、ビジネスユーザーが出先で企画書・提案書を修正してすぐ送らなければならないシーン、総じてモバイル環境でも同じように業務を行いたいと思うシーンに置き換えても大きくは変わらないと思う。もちろんインターネットに接続していなくてもできる作業はあるが、それは普段会社や自宅で行う場合とは違う イコール 効率が下がると考える。

 モバイル環境での通信手段は無線ネットワークサービスを活用することがほとんどだ。これを安定して確保することがモバイルオフィス環境計画の成功の鍵を握ると言ってもよいだろう。今回はいくつかある通信手段を段階的・複合的に導入すると想定し、それぞれのメリットとデメリットをおさらいしよう。

【手段.1】「公衆無線LANスポット」を利用する

photo 公衆無線LANサービス対応店舗の告知一例

 まずは「公衆無線LANサービス」を考察する。公衆無線LANサービスは、インテル Centrinoモバイル・テクノロジが発表され、ノートPCには“無線LANを標準搭載”の流れができてきた2003年ごろより導入が進み、以降、ファストフード店や喫茶店、ホテル、空港、商業施設、駅など、人が集まる場所を中心にサービスエリアが広がっている。

 有名なところでは、NTT系列の「フレッツ・スポット」「ドコモ公衆無線LANサービス(Mzone)」「HOTSPOT」、KDDI系列の「au one net公衆無線LANサービス」「Wi2 300」「UQ Wi-Fi」、ソフトバンク系列の「ソフトバンクWi-Fiスポット」「BBモバイルポイント」など、そのほか「livedoor Wireless」や「FREESPOT」「FON」といったサービスもあり、独自で無料の無線LANサービスを用意する店舗も存在する。

 公衆無線LANサービスのメリットは、初期コストをほぼ考慮せずに済む点だ。昨今のノートPCにはほぼ標準で装備されている無線LAN機能は、モバイルオフィス環境においても活用できる。

 契約方法も、(サービス別に違いはあるが)そこそこ簡単に行える。例えばNTTドコモユーザーの筆者はかつて、ドコモのISPサービスである「mopera U(315円/月)+U無線LANコース(525円/月)」を出先の喫茶店その場でiモード携帯の操作で契約したのを覚えている。このほか、自宅用に加入するISPの無線LANオプションプラン(プラス数百円ほどである場合が多い)にあらかじめ入っておいてもいいし、無線LANエリア内で該当サービスに接続するとそのままオンサイトで契約できるサービスも多く存在する。

 また、1カ月単位での継続契約以外に、“1日単位”で利用できるプランを設けるサービスも存在する。このうちの1つ、HOTSPOTの「1DAY PASSPORT」は1日500円だ。使いたい時だけ利用するスタイルの人に使い勝手がよいだろう。

 さらに、通信速度も無線ネットワークサービスの中では高速だ。主流は最大54Mbps(IEEE802.11g)で、利用場所のバックボーンやネットワーク混雑度合いに応じて速度に変化はあるものの、後述する3Gデータ通信サービスより体感値も含めて快適に利用できるメリットがある。ほかの無線ネットワークサービスではややためらいがちな大容量データの送受信も短時間で完了する。

photo 駅や空港など、特に人が集まる場所では、複数のサービスが同時に展開している例もある

 一方、サービスがかなりたくさんあるので、“どれを選べばよいか”をズバリ決めにくい。最近は、それぞれのサービスで利用エリアのローミング(相互乗り入れ)できる例もあるが、あるサービスはあるチェーン店の全店で対応──などといった得意分野が存在したりする。こちらは、自分の行動範囲に応じてどこにどのサービスの公衆無線LANスポットがあるかを確認してから契約する方法のほか、複数の公衆無線LANサービス(のエリア)を1契約で利用できる「ワイヤレスゲート」や「Wi2 300」などを選択するのも手軽かと思われる。

 もう1つ、公衆無線LANサービスは利用可能範囲が狭いのもデメリットだ。基本的に「ある喫茶店の店内」といったエリアがところどころに点在するイメージのため、屋外でもすぐ通信しなければならないシーンが多かったり、移動しながら利用したい場合には向かない。

 ただ、今回のテーマである“PCで実現するモバイルオフィス環境”の範囲においては、利用場所はほぼ屋内で、席についてPCを利用する使い方になると思う。行動範囲がやや制限されることにはなるが、利用場所をある程度決めてしまうならばデメリットにはつながらないという考え方もできる。


  【手段.1】公衆無線LANスポットを利用する
省電力 ☆☆☆☆(電力量がピークとなる時間帯にはバッテリー動作させよう)
初期コスト ☆☆☆☆(機器は基本的に必要なし。サービスによって初期登録料が発生する場合がある)
ランニングコスト ☆☆☆☆(月額0円〜315円から利用できるサービスもある)
重量 ☆☆☆☆☆(重量増はなし)
速度 ☆☆☆☆(最大54Mbpsで低遅延、実測数十Mbpsは出る)
エリア ☆☆(スポット単位のため、範囲は限られる。駅/チェーン店別など、スポット検索はそれほど困難でないシーンも多い)
(※星が多いほど効果あり/良好 を示す。満点:☆☆☆☆☆ ※あくまで筆者感覚値です。ある条件化では大きく異なる可能性はあります)


【手段.2】「WiMAXサービス」を利用する

photo WiMAX対応デバイスは、ポータブルルータ型が人気だ。また、モバイルノートPCにはWiMAXモジュールも“標準搭載化”もかなり進んでいる

 WiMAXは、2011年現在急速にユーザーを増やしている新世代のデータ通信サービスだ。下り最大40Mbpsとかなり高速な通信速度が望めるうえ、例えば使い放題で3880円/月(UQ Flat年間パスポートの場合)からとなる比較的安価な月額料金プランがあるほか、600円/24時間の1日利用プランも用意する。

 このWiMAXサービスは、通信速度とエリアにおいて無線LANと3Gサービスの中間となる仕様であると考えると比較しやすい。通信速度は下り最大40Mbps/上り最大10Mbpsで、都市部の良電波エリアなら実測値でも下り20Mbps前後を記録する。サービスエリア内であれば3Gデータ通信より快適に通信できるシーンが多く、携帯電話やスマートフォンより大容量のデータを活用するノートPCでの利用にも適する特徴がメリットの1つに挙げられる。

 一方、サービスエリアがまだ狭いのが弱点だ。WiMAXは本サービス開始から2年、サービスエリアは都市部を中心に日々広がってはいるものの、例えばNTTドコモのFOMA網にはかなわない。また、サービスエリア内であっても、店舗の窓際なら利用できるが奥の席では利用できないこともある──といったように、屋内での利用には少し気を使わなければならない面もある。

 とはいえ、大都市圏のサービスエリアはかなり充実してきており、都心部を主な活動範囲とする筆者は「WiMAX内蔵PC1台でだいたい大丈夫」というところまで来た印象はある。また、地方都市でもかなり使えるようになっているようで、人口20万人に満たないある市の駅前でも利用できたのには驚いた。


photo ルータ型を選ぶと、PCはもちろん、スマートフォンやタブレットデバイスなどでも回線を共有して利用できる

 PCを主とする今回のモバイルオフィス環境の構築計画としては、まず「WiMAX内蔵PC」の導入を勧めたい。

 WiMAXサービスは、一度契約すれば“接続作業なし”に利用できるようになるのが特に便利だ(WiMAXモジュールに契約情報が記録される仕組みにより自動化される)。WiMAX内蔵ノートPCであれば、ディスプレイを開いてスリープから復帰すると、ほぼ同時にインターネットにも接続されている──つまり、自宅の無線LAN環境がそのまま外出先にも広がったような感覚で活用できるようになる。

 もう1つ、「ポータブル無線LANルータ型」のWiMAX端末も応用範囲が広い。これは、WiMAXの回線を複数台の無線LAN機能搭載デバイスで共有できる機能を大きな特徴とし、PCはもちろん、スマートフォンやタブレットデバイス、家庭用携帯ゲーム機なども同時に高速なインターネット接続を利用できる。PCのほかにこれらのネットワーク接続デバイスを携帯して使いこなす人にはよい選択と思われる。これは後述する3G通信対応のポータブルルータにも当てはまる。

 また、WiMAXサービスと同じく新世代の通信インフラであるNTTドコモのLTEサービス「Xi」も始まり、USB接続/ExpressCard型/ポータブルルータ型など、デバイスの選択肢も増えている。サービスエリアはまだWiMAXより狭いが、高速な通信速度を実現する点で、こちらの手段の別の1つとして考慮してもよいだろう。


  【手段.2】「WiMAXサービス」を利用する
省電力 ☆☆☆(電力量がピーク時間帯にバッテリー動作させれば効果あり。ただ、ルータ型はバッテリーの充電がそれ用に別途必要)
初期コスト ☆☆☆(UQ WiMAXの場合、初期登録費は2835円。ルータ型は単体購入だと1万円台後半だが、契約と同時購入で0円〜6000円前後で購入できる)
ランニングコスト ☆☆☆(600円/1日、あるいは定額3880円/月から。無料で公衆無線LANサービスのUQ Wi-Fiも利用可能)
重量 ☆☆☆☆(ルータ型は100グラム前後、WiMAX内蔵PCならなし)
速度 ☆☆☆☆(下り最大40Mbps。エリア内であれば、下り数M〜数十Mbpsは出る)
エリア ☆☆☆(3Gサービスと比べるとまだ狭い。ただ、駅前や都市部ではかなりエリアが拡充されてきている)
(※星が多いほど効果あり/良好 を示す。満点:☆☆☆☆☆ ※あくまで筆者感覚値です。ある条件化では大きく異なる可能性はあります)


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