では、改めてPCとしての仕様とパフォーマンスをチェックしよう。
CPUはAtom Z600で、Intel SM35 Expressチップセット搭載のシステムを採用する。AtomはNetbookやミニノートPCでおなじみのCPUだが、Zシリーズは主にMID(Mobile Internet Device)向けのとして、これまでにもUMPCで利用されてきた。CPU-Zで確認すると、Z600そのものは最大12倍の1.2GHz駆動だが、F-07Cにおいては動作クロックが600MHzに制限されている。動作クロックを半分とすることで、消費電力や発熱を抑えているものと考えられる。
メインメモリは1Gバイトだ。CPU-Zからは動作クロックなどを確認できなかったが、Atom Z600の仕様からするとDDR2メモリを採用していると思われる。グラフィックス機能もAtom内蔵のIntel GMA 600を使用する。このほか、デバイスマネージャーからオーディオ機能はRealtek製チップを、ネットワークアダプタはAtheros製「AR6003 WLAN Adaptor」(IEEE802.11b/g/n準拠)、ストレージには「Fujitsu 11 MMC32G SCSI Disk Device」(32Gバイト)および「DOCOMO FOMA F07C USB Device」、そしてモデムには「FOMA F07C Modem」というものが認識されている。
ノートPC的に表現すると、FOMAハイスピード対応モジュールを“内蔵”し、FOMA網を用いた下り最大7.2Mbps/上り最大5.7Mbpsの3Gデータ通信が行える。OSは32ビット版Windows 7 Home Premium(SP1)だ。
ストレージ(32Gバイトフラッシュストレージ:Cドライブ)は、Windowsエクスプローラ上で21.6Gバイトと認識されていた。ストレージ容量はかなり少なめだが、microSDを用いて内蔵ストレージ容量を若干拡張することも可能だ(32GバイトのmicroSDHCまで利用可能)。
SDメモリーカードは専用ユーティリティツールを用いてマウントしなければならないのが、ケータイモードとスロットを共用するための“本機独特のお作法”で、さらにある程度の時間が経過するとアンマウントされてしまうことに注意したい。こちらは消費電力削減のためのようで、それなら仕方ないと思う半面、何らか気を使って運用する必要が生じるのが少し面倒だ。
Windowsエクスペリエンスインデックスは、プロセッサ1.1、メモリ2.6、グラフィックス2.9、ゲーム用グラフィックス2.4、プライマリハードディスクは4.6という値となった。ストレージは比較的高い値だが、それでもよくあるHDDよりは低めとなっている。
なお、そのほかいくつかのベンチマークプログラムの実行を試みたが、実行中にレスポンスがなくなるなどの症状が出て、評価時間内で満足のいく計測ができなかった。端的だが、PCMark05 1.2.0はPCMarks(測定できず)、CPU541、Memory944、Graphics(測定できず)、HDD1174。FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3は“Error Code=2000”で動作せず。CINEBENCH R10のRendering xCPUスコアは167だった。
こうした理由から、パフォーマンスに関してはあくまでも筆者が試した中での体感的な記述となることをお断りするが、ひとことで言えば動作は“超もっさり”である。マウスカーソル操作で微妙にカクつきを感じ、Windowsエクスプローラ(マイコンピューター)を開こうとしてワンテンポ、アプリケーションを開こうとしてツーテンポ、ブラウザでサイトを閲覧しようとページが表示されるまでにスリーテンポ……。Netbookとそれ以外のPC、両方でその体感速度を経験したことのある人はある程度予想できると思うが、Atom自体、レスポンスに課題の残る傾向があるCPUなのに、それを600MHzという低クロックで動作させているのだから……、速さを求めるのはさすがにかわいそうである。
救いとしては、ブラウザで一度データを読み込んでしまえば比較的スムーズにスクロールし、意外に普通に操作できることだ。ディスプレイの解像度も1024×600ドットというNetbookと同等なので、PC用にレイアウトされたサイトはきちんとそのまま表示できるし、ストレージ容量の少なさについては、昨今に置いてはPC向けのクラウドサービスなどを併用すればある程度カバーできると思う。言うまでもないが、Flashの扱いも普通のWindows 7搭載PCと同じだ。
最後にケータイモードとWindowsモードの切り替え時間を確認しよう。基本的にF-07CはケータイモードのSymbian OSは裏で常時起動しており、Windowsモード→ケータイモードの切り替えは瞬時だ(Windowsモード作業中に電話着信があると瞬時にケータイモードに切り替って呼び出し音が鳴り、通話が可能だ)。その逆は、モードを切り替えた直後なら2、3秒、一定時間が経つと再起動というか復帰に秒針読みで75秒ほどかかる。
参考までにシャットダウン状態からの起動時間を計測してみたところ、画面が消えてから110秒したところでWindows起動音が鳴り、130秒後にデスクトップが表示され、ホーム画面である「タッチコンソール」が表示されるまでには180秒を要した。
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