勝てるのか日本! 「MOA 2011」APAC決勝!!赤道直下でガンガン冷せ(4/5 ページ)

» 2011年07月08日 16時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

1万台を出したのにぃいぃぃぃぃ!

 SuperPI 32Mが終了後、そのまま3DMark11レースが始まった。各国チームともグラフィックスカードにGPU用の円筒形液冷ユニットを装着し始めるが、Team “KATANA” JapanはCPUのセッティングを続けている。CAL930氏とGyrock氏は、このときの作戦を試合後に「SuperPIの残り時間30分で、私はあと1秒は縮められると思ったが、CAL930はもう3DMark11のことを考えたCPUのセッティングを始めていた」(Gyrock氏) 「SuperPI 32Mでは、タイムよりトップとの差が重要になる。3秒差なら3DMark11で十分追いつけると思っていた。そのため、3DMark11に向けたCPUのベストセッティングを探すことが大事だと考えていた」(CAL930氏) ほかのチームがGPUクーラーユニットの取り付け作業で動き回る中、Team “KATANA” Japanは、冷静にCPUのベストチューニングを探す作業を続けていた。

 3DMark11レースが始まって30分も経たないうちに、韓国が9837を出して総合トップに、続いてマレーシアが9049で2位にたった。SuperPIトップの台湾は6347で3位と振るわない。続いて、SuperPI 32Mを6分42秒824と低調だったインドネシアが9307で3位に浮上した。この時点でTeam “KATANA” Japanも最初の記録を申請する。スコアは9695で、一気に3位となる。「このGPUは……、当たりだ……」とTeam “KATANA” Japanは一気に追い上げにかかる。そして、ついに9931を出したTeam “KATANA” Japanは総合トップを奪った。しかし、残り時間は2時間45分も残っている。ほかのチームのチューニングが進む可能性は高い。油断することなく日本はトライを続ける。

ついに総合トップにたった日本。しかし、油断はできないスコアだ(写真=左)。きのうの友、インドネシアのオーバークロッカーも決勝に参加していた(写真=中央)。おおお、試合にあると真剣な顔になる……(写真=右)

 そして、ついにTeam “KATANA” Japanはその日初めてとなる1万台超をたたき出した! しかし、公式記録として認められるには、CPU-Z、GPU-Zの画面も出して、スクリーンキャプチャを残さなければならない。ここで、Team “KATANA” Japanのマシンにトラブルが発生した。GPU-Zを起動するときに画面が暗転し、なんとか、再表示されたものの、グラフィックスドライバの設定がリセットされて、3DMark11で示されるGPUのコアクロックとGPU-Zで表示されるGPUコアクロックの値が一致なくなったのだ。ルールにより、10051の記録は認められない。ただ、審判長の采配で、同じクロックで3DMark11が完走した場合、そのスコアが低くても、10051を公式記録として認めることになった。しかし、これも困難な条件だ。

 楽勝ムードから一転して、苦しい戦況に追い込まれたTeam “KATANA” Japan。しかし、どうしても3DMark11が完走しない。それどころか、起動すらしなくなってきた。状況は悪化する一方だ。残り時間は1時間50分を切った。ここで、彼らは、この戦いで最も重要な決断を下す。いったんマシンを解体して、再度組みなおした後に、もう一度セッティングすることにした。解体と組みなおし、セッティングをして記録を出すことを考えると、1時間50分というタイミングはぎりぎりだったという。Gyrock氏は後に「あの決断は、データとか数値とかそういうもので判断できるものではなかった。これまでの実戦経験で“そうするのがいいのではないか”という感覚で決めた。同じ戦歴のCAL930も、同じタイミングで同じことを考えていたので、すばやい判断ができた」と語っている。

やった! MOA APAC決勝で初めての1万台をTeam “KATANA” Japanがたたき出した(写真=左)。しかし、その直後に画面が暗転。再び表示された画面のGPUコアクロックの値は3DMark11とGPU-Zで異なっている。これでは公式記録として認められない(写真=中央)。審判団と交渉した結果、10051のスコアは保留とされ、同じ設定で3DMark11を完走させた場合に記録として認めることになった。かなり困難な条件をクリアしなければならない(写真=右)

 システムの解体といっても、液体窒素で凍結しているスロットやジャケットを解凍するところから始めなければいけないので時間がかかる。Team “KATANA” Japanはクーラーユニットを予備に切り替えて、再度マシンの組み立てを始めた。残り時間1時間37分。インドネシアが9901を出した。ライバルも9900台までチューニングを進めている。Team “KATANA” Japanがシステムを動かして10051を出したセッティングで3DMark11を完走できれば日本が逃げ切り、完走できなければ9900台を出しつつあるライバルに追いつかれる可能性がある。時間は1時間以上残っているが、作業内容を考えると、またしてもぎりぎりの争いになってきた。(記事掲載当初、インドネシアの3DMark11の値の誤りがありました。おわびして訂正いたします)

再度挑戦するものの、どうしても3DMark11は完走しない。それどころが起動すらままならなくなってきた。Team “KATANA” Japanは残り時間1時間50分で「システムの解体と組みなおし」という大きな決断を下した(写真=左)。解体といっても液体窒素の冷却で凍結しているシステムをドライヤーで回答する作業から始めなくてはならない(写真=中央)。クーラーユニットを予備に切り替えて、マシンを組みなおす(写真=右)

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