BN-SDCMP3でUHS-Iの高速転送を利用するには、専用の“USB高速化ドライバ”をOSに導入する必要がある。この作業は、カードリーダ本体を接続しない状態で付属のCD-ROMをドライブにセットしてセットアップユーティリティを起動して行う。セットアップユーティリティの画面が進んで、「USB高速化ドライバのインストール確認」という画面が出てきて、「USB高速化ドライバを有効にする」のチェックボックスが用意されている。初期状態でチェックが外れているので、UHS-Iの高速転送を利用するユーザーは自分でチェックをしておく必要がある。
前モデルのBN-SDCLP3もUHS-Iに対応していたが、USB 2.0対応であったため、その性能はUSB 2.0の制約の中で利用するしかなかった。USB 3.0で利用するUHS-Iはどの程度の性能が出せるのだろうか。パナソニックはBN-SDCMP3のパッケージで「90Mバイト/秒」を訴求しているが、実測はどこまでその値に迫れるか。
性能検証として、BN-SDCMP3と前モデルのBN-SDCLP3を用意し、それぞれに、ノーブランドのmicroSDカード(容量2Gバイト)、SDHC対応の「Sandisk ExtremeIII」(容量8Gバイト)、そして、UHF-I対応の「パナソニック製SDHCカード」(容量8Gバイト)を挿入して、CrystalDiskMark 3.0とHD Tune Pro(こちらはReadテストのみ)の測定結果を比較した。なお、接続するPCは、レノボ・ジャパンのThinkPad X1量販店モデル(Core i3-2310M、2.1GHz、メモリ2Gバイト)を使った。
USB 2.0(BN-SDCLP3) | USB 3.0(BN-SDCMP3) | |||||||
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microSDHC 2GB(ノーブランド) | SDHC 8GB(Sandisk ExtremeIII) | UHF-I(パナソニック製SDHCカード) | microSDHC 2GB(ノーブランド) | SDHC 8GB(Sandisk ExtremeIII) | UHF-I(パナソニック製SDHCカード) | |||
CrystalDiskMark 3.0(100MB) | Read | Seq | 10.94 | 21.4 | 37.81 | 10.4 | 22.72 | 84.26 |
512K | 9.602 | 18.52 | 31.15 | 9.832 | 19.29 | 59.99 | ||
4K | 2.618 | 3.597 | 2.724 | 1.984 | 2.903 | 2.432 | ||
4KQD32 | 2.587 | 3.82 | 3.262 | 1.934 | 2.992 | 2.74 | ||
Write | Seq | 5.979 | 17.3 | 26.36 | 6.185 | 18.4 | 71.58 | |
512K | 1.088 | 3.627 | 4.272 | 1.073 | 3.678 | 4.398 | ||
4K | 1.202 | 0.035 | 0.075 | 1.069 | 0.034 | 0.075 | ||
4KQD32 | 0.475 | 0.044 | 0.077 | 0.424 | 0.046 | 0.078 | ||
HD Tune Pro 4.61 | read 64K | Mini | 8.2 | 17.8 | 32.7 | 9.4 | 20.8 | 75.4 |
Max | 10 | 18.3 | 37.9 | 10.1 | 20.9 | 83.7 | ||
Average | 9.5 | 17.8 | 33.4 | 10 | 20.8 | 80.6 | ||
read 512K | Mini | 8.6 | 19.9 | 33.4 | 9.8 | 21.2 | 77.4 | |
Max | 10.5 | 20.5 | 35.9 | 10.5 | 21.3 | 84.1 | ||
Average | 10 | 20.1 | 33.8 | 10.4 | 21.3 | 80.6 | ||
read 8M | Mini | 9.5 | 18.5 | 33.3 | 10.5 | 21.3 | 76.1 | |
Max | 10.2 | 18.7 | 35.8 | 10.6 | 21.7 | 83.5 | ||
Average | 10.2 | 18.5 | 33.8 | 10.6 | 21.4 | 81.1 | ||
BN-SDCLP3で測定した場合、UHS-Iに対応しないSDHCカードのシーケンシャル読み込みの転送速度が20Mバイト/秒前後であるのに対して、UHS-Iに対応したSDHCカードは35Mバイト/秒前後の結果を出しているので、UHS-Iの効果は確かにある。しかし、BN-SDCMP3で測定すると、同じUHS-I対応のSDHCカードは、シーケンシャル読み込みの転送速度が80Mバイト/秒前後まで跳ね上がる。その一方で、UHS-Iに対応しないSDHCカードでは、USB 2.0でもUSB 3.0でも、ベンチマークテストの結果に明らかな違いは確認できない。
BN-SDCMP3は、前モデルからボディサイズがコンパクトになったものの、隣接するインタフェースに干渉することは変わらない。延長ケーブルは長くなって背面からの取り回しは楽になったものの、ノートPCの側面からの利用ではちょっと長い。そして、UHS-Iに対応しないメディアカードの転送速度はほぼ同じレベルだ。いずれも、BN-SDCMP3を積極的に勧めるポイントとはならない。
しかし、UHS-I対応のメディアカードを所有していて、かつ、UHS-I対応のメディアカードスロットを搭載しないPCユーザーにとって、BN-SDCMP3は必ず用意したい周辺機器だ。BN-SDCMP3を持たずして、UHS-Iを使う意味はない、と思わず言い切ってしまうほどに、その効果は絶大だ。
対応機器がまだまだ少ないUHS-I対応周辺機器だが、そういうこととは関係なく、HDDに迫る転送速度を持ったSDカードの利用環境を構築する場合、BN-SDCMP3は必ず用意しておきたいカードリーダといえるだろう。
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