多彩なラインアップを擁するASUSのノートPCラインアップのすべてが、日本で出荷されているわけではない。これは、ASUSだけに限った話ではなく、MSIやAcerなど、台湾ベンダーのノートPC全般にいえることだ。世界中に製品を出荷する彼らは、それぞれの国の経済状況や所得水準に合わせて出荷するモデルを選択している。所得水準が高く、同時に、性能に対する要求が高い日本市場では、Netbookのラインアップが絞られる一方で、所得水準が低く、とにもかくにもノートPCが欲しい、というユーザーが多い国では、性能より価格重視のモデルを投入する。
AMDのFusion APU搭載モデルも、価格重視の市場に向けたモデルとしてEee PCで用意されている。このうち、E-350搭載で12.1型ワイド液晶ディスプレイ採用(解像度1366×768ドット)の「Eee PC 1215B」は日本でも出荷しているが、同じFusion APUでTDP9ワットの“Ontario”C-50を搭載する「Eee PC 1015B」は、日本で扱っていない。ASUSのC-50搭載ノートPCでは、K53UシリーズのSXC50が日本で購入できるほか、日本エイサーも、11.6型ワイド液晶ディスプレイ搭載(1366×768ドット)モデルの「AO722」を日本市場向けに発表しているだけで、C-50搭載でクラムシェルタイプのノートPCはほとんどない。
このクラスのノートPC(Netbook)の需要は、性能を重視する日本のユーザーにおいてそれほど多くなく、もう少し高くても、E-350、もしくは、低価格のCore i3クラスのCPUを搭載したモデルを購入することが多い。そういう日本向けでC-50搭載モデルを投入するのは、PCベンダーにとっても得策ではないと判断するのかもしれない。
しかし、先進国といわれる国以外で事情は異なる。例えば、インドネシアの首都ジャカルタにあるショッピングモール「MANGGA DUA」の電脳街エリアでは、Atom搭載のNetbookやE-350、そして、C-50を搭載したノートPCが主力だ。その、C-50を搭載したASUSの「Eee PC 1015B」が、「240万ルピア!」で多くのショップに並んでいた。PCショップのスタッフは、どこでも「これは、インドネシア限定モデルだ」と説明するが、とりあえず、Amazon.com(Amazon.co.jpでないことに注意)でも購入できる。
インドネシアの通貨単位のルピアは、1ルピアが約0.01円に相当する。缶ジュースが日本円にして1本100円相当で購入できる。ただ、現地の価格にすると100円のジュースが1万ルピアに、日本円で300円程度の食堂のメニューが3万ルピアになってしまうので、自動販売機やメニューに「10,000」「30,000」という数字が並んで経済感覚が軽くおかしくなる。そういうときは、右の人差し指と中指をそろえて立てて、末尾の「0」を2つ隠せば、なんとか、日本にいるときの経済観念が戻ってくる。
そういうわけで、240万ルピアの下二桁の0を指で隠すと、実は2万4000円相当であったりすることに気が付く。Androidを搭載したタブレットデバイスよりだいぶ安い。そんな、超高額、ならぬ、超低価格のEee PC 1015Bだが、四隅のカーブをはじめとする丸みを帯びた外観や、最薄部23ミリの小型サイズなど、そのボディは日本で出荷されているEee PC 1015 Sea Shellシリーズと同じデザインを採用する。本体のサイズは262(幅)×178(奥行き)×23.6〜36.4(厚さ)ミリ、重さは、標準の6セルバッテリー搭載状態で約1.3キロだ。
キーボードは、アイソレーションタイプで、評価機材はASCII配列では、ほぼすべてのキーが均等ピッチを確保する。キーピッチは実測で約17.5ミリ、キートップサイズは、実測で約9(横)×8(縦)ミリになる。ポインティングデバイスにはタッチパッドを備え、80×38ミリのパッドエリアの下に一体化したクリックバー(80×10ミリ)を備える。
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