ロードテストということで、とりあえず回線速度を測ってみたものの、あまり「すごい!」というような感覚になれませんでした。iPhoneユーザーの妹に自慢しようにも微妙な反応が返ってきそうです。私自身も「通信速度は分かったけど、それで何がすごいの?」と思いました。EVO WiMAXの1ユーザーという立場からすれば、通信が速いことで、実際の利用シーンでどんなメリットを得られるのかが重要です。というわけで、自分がスマートフォンで普段使っているサービスが、3G回線とWiMAXそれぞれでどんな差が出るのかを調べてみました。
まずは、Twitterに貼ってあるブログのエントリや記事のリンクへとジャンプするときです。ツイート内にあるリンクのURLをタップしてから、記事が表示されるまでの時間を計ってみました。記事によっては広告の表示の時間も含めているので、実際に文章を読み始めることができる時間はもう少し早いです。回線速度の測定と同じ場所で、Twitterから特定の3つの記事にリンクし、その平均表示時間をまとめました。
リンク時間測定 | |||
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場所 | 測定時刻(24h) | 3G回線 | WiMAX |
横浜市の筆者自宅 | 11時頃 | 13.71秒 | 12.39秒 |
バス内 | 12時頃 | 19.13秒 | 10.63秒 |
鶴見駅ホーム | 12時半頃 | 17.85秒 | 14.23秒 |
京浜東北線電車内 | 12時半頃 | 17.74秒 | 11.9秒 |
東京駅丸の内地下中央改札 | 13時頃 | 13.98秒 | 12.02秒 |
大手町のオフィス自席 | 14時頃 | 15.6秒 | 15.51秒 |
電波状況が悪いところではあまり時間は変わりませんでしたが、屋外、特にバス内と電車内で特に大きな差が出ました。この結果は広告の表示時間まで含めているので、文章のみの表示時間はもう少し短くなります。続いて、Dropbox内にアップロードしているファイルのダウンロードにかかる時間を計測しました。ファイルサイズは小(約2Mバイト)・中(約20Mバイト)・大(約70Mバイト)の3種類、東京駅丸の内地下中央改札前で13時頃に測定しました。
Dropboxダウンロード時間測定 | ||
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ファイルサイズ | 3G回線 | WiMAX |
1.9MバイトのPowerPointファイル | 17秒 | 9秒 |
21.6MバイトのWordファイル | 2分20秒 | 40秒 |
72.2MバイトのPDFファイル | 9分 | 2分10秒 |
ファイルサイズが小さければ、あまり気にならない差も、ファイルサイズが大きくなればどんどん広がっていきます。ファイルを開く時間を考えると、WiMAXの場合は10Mバイトぐらいまではあまりストレスを感じずにファイルを開けそうです。ただし、電車の中などでは速度が安定しないため、大きなファイルの取り扱いには向かないと思われます。ダウンロードの際は速度が出やすい場所を選んだ方がいいでしょう。
このように、場所を選ぶもののWiMAXを使えばインターネットへの接続が速くなり、Webサイト閲覧のストレスが減ることや、大容量のファイルのダウンロード、アップロードが実用的なスピードで行えることが分かります。しかし、個人的に最大のメリットは別にあると思っています。それは「安定性」です。WiMAXが切れても3Gにすぐに切り替えてくれるので、インターネットにつながりにくくなることは、ほとんどなかったです。
屋外ではWiMAX、電波の入りにくい屋内では3Gといったように、“武器”が2つあるからこそ、快適な通信環境が実現しているのだと思います。試しにWiMAXを封印して1日を過ごしてみましたが、電車の中など通信が安定しない場面がしばしばありました。あの“宿敵”iPhoneはどうでしょうか。私はiPhoneを使ったことがないので、自分の周りのiPhoneユーザーに聞いてみました。
池田 「iPhoneどうですか?」
妹 「つながりにくくなることがたまにある」(iPhone 4)
同期M「つながらないときは電源切るよ」(iPhone 4)
同期S「Safariを開かなくなるくらい普段から遅い」(iPhone 3GS)
先輩M「回線が切れてからの復帰が遅い。地下鉄とかだと致命傷」(iPhone 4)
先輩Y「人がたくさんいるとつながらなくなるよ」(iPhone 4)
池田 「えっ」
先輩M「駅構内とかつながりにくいな」(iPhone 4)
上司T「アンテナが立ってるのにつながらない、よくあること」(iPhone 4)
日常生活でiPhoneがたまにインターネットにつながりにくくなると感じる人がほとんどです。これはiPhoneだからとか3Gだから、というよりもソフトバンクモバイルの通信環境による部分が大きいと思いますが、ユーザーの感覚としては、速さよりも安定感の方が求められているように思います。これがWiMAXの一番良いメリットなのではないでしょうか。
ただし、WiMAXを封印するメリットもあります。それはバッテリーの持ちが良くなったことです。次回はEVOユーザー、というよりも多くのスマートフォンユーザーが苦しむバッテリーの持ちについて調べ、どうやったらバッテリーが長く持つのかを調べてみようと思います。お楽しみに。
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