インドネシアで使うプリペイドSIMカードはTelkomselとXLが無難、とはいったものの、どちらを選ぶかとなると難しい。Telkomselは、インドネシアでシェアと規模が最も大きい。インドネシアに暮らす、または、仕事や観光で訪れる日本人は、どこでも使えることを重視してTelkomselを選ぶケースが多い。一方、XLは後発の移動通信事業者で、インドネシアに詳しい日本人からは「後発だけに、Telkomselとの違いを出すためにデータ通信サービスに力を入れている」と評価されている。
ジャカルタで会ったベテランの自作PCユーザーで、かつ、同国でも知られるオーバークロッカーに「ジャカルタでインターネット接続に限定して使う場合、プリペイドSIMカードはTelkomselとXLのどちらがいいだろう」と質問したところ、彼は即座に「XLを勧める」と答えた。その理由として挙げたのが、通信速度の安定性とデータ通信プランの安さだ。
有効期間だけ考えれば、4泊5日程度滞在する旅行者は、有効期間が1日間のプランを連日更新することになる。
事業者 | 料金 | 通信速度 | 容量制限 |
---|---|---|---|
Telkomsel | 5000ルピア | 384Kbpsp | 30Mバイト |
Telkomsel | 1万ルピア | (たぶん)512Kbps | 60Mバイト |
XL | 2500ルピア | 512Kbps | 25Mバイト |
XL | 5000ルピア | 512Kbps | 50Mバイト |
こうして並べると、XLが提供する5000ルピアのプランを選ぶのが最も望ましいように思える。仮に、Telkomselの1万ルピアプランで通信速度が1Mbpsだった場合、通信速度を重視するユーザーで、日本円で1日当たり約50円高いコストを容認できるなら、こちらが適しているだろう。ただ、どちらにしても、容量制限が1日50Mバイト、もしくは60Mバイトというところに不安を感じるユーザーは少なくないと思う。PCを接続したデータ通信を考えているなら確実に少ない。
この場合、Telkomselの5万ルピアプランで300Mバイトか、両社ともに有効期間30日間で1Gバイト以上のプランを選ぶことになる。Telkomselの有効期間14日間のプランと有効期間30日間のプランで価格は5万ルピア、日本円にして約500円しか違わない。それで、容量上限は5万ルピアで300Mバイト、10万ルピアで1Gバイトなので、ここは、有効期間30日間のプランを選べばいいだろう。
有効期間30日間のプランをTelkomselとXLで比較すると、料金はほとんど変わらず、通信速度でTelkomselが有利になる。ただ、通信速度の1Mbpsが意味のある値かどうかが問題だ。インドネシア、特にジャカルタなどの都市部でプリペイドSIMカードを使ったデータ通信を利用するユーザーの多くは「とにかく重い!遅い!」という。実際に使ってみてもそのことは体感できた。
そこで、限られた時間ではあったが、TelkomselのFlash Unlimitedの1万ルピアプラン(通信速度は当時で384Kbps)と、XLの9万9000ルピアプラン(通信速度は当時で512Kbps)を使って、金曜日夕方の大規模ショッピングモールのほぼ中央でSpeedTest.net for androidを測定するとともに、土曜日夜のジャカルタ スカルノ・ハッタ国際空港でもPCに接続した状態でSPEED 2.5 (speed.rbbtoday.com)の測定を行った。
Speedtest.net for Android | ||||
---|---|---|---|---|
プリペイドSIMカード | Download | Upload | Ping | |
Flash Unlimited(384Kbps) | 349Kbps | 273Kbps | 473ms | |
XL(512Kbps) | 208Kbps | 72Kbps | 257ms | |
SPEED 2.5(speed.rbbtoday.com) | ||
---|---|---|
プリペイドSIMカード | 下り(ISP→PC) | 上り(PC→ISP) |
Flash Unlimited(384Kbps)(1回目) | 275Kbps | 170Kbps |
Flash Unlimited(384Kbps)(2回目) | 40Kbps | 86Kbps |
Flash Unlimited(384Kbps)(3回目) | 178Kbps | 74Kbps |
Flash Unlimited(384Kbps)(4回目) | 111Kbps | 79Kbps |
Flash Unlimited(384Kbps)(5回目) | 159Kbps | 105Kbps |
XL(512Kbps)(1回目) | 857Kbps | 60Kbps |
XL(512Kbps)(2回目) | 542Kbps | 61Kbps |
XL(512Kbps)(3回目) | 1130Kbps | 57Kbps |
XL(512Kbps)(4回目) | 1250Kbps | 55Kbps |
XL(512Kbps)(5回目) | 1080Kbps | 59Kbps |
ショッピングモールで行った同一ポイント同一時間におけるSpeedtest.netの測定は1パターンしか行っていないが、ショッピングモール内で時間と場所を変えて複数回行ったSpeedtest.netでも、Telkomsel、XLともに同程度の値となって、明らかに異なる通信速度とはならなかった。XLでは、公称値512Kbpsの速度を発揮した場面はなく、さらに、アップロードの速度はTelkomselを下回る。国際空港で行った夜の測定では、ダウンロードにおいて、XLが圧倒的に早い一方でアップロードの速度はTelkomselが上回っている。
以上の測定結果や、実際に撮影画像のアップロードやダウンロードを試してみた体感的に、ジャカルタで高速通信速度が生きてくる局面は、かなり限られるように思える。そういう意味で、ジャカルタでプリペイドSIMカードを購入するなら、料金と容量制限を重視して選ぶのがいいだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.