ちなみに、VERコマンドを実行すると、「DOSBox version 0.74. Reported DOS version 5.00」と、DOSBoxとエミュレートするDOSのバージョンを表示する。また、LHといったコンベンショナルメモリ領域を確保するためにUMBを利用するコマンドも用意しているが、DOSBoxで標準状態におけるメモリ領域を「MEM」コマンドで確認すると、632Kバイトと、何もする必要がないほどに確保されていた。
DOSBoxでは、データストレージのドライブを“フォルダをマウントする”ことで認識する。「MOUNT (ドライブレター) C:/(フォルダ名)」というコマンドで、指定したフォルダがドライブレターで指定したドライブとして認識される。例えば、Androidデバイスで動いているDOSBoxのコマンドプロンプトで、「MOUNT C D:/Game」と入力すると、DOSBoxはD:/GameフォルダをCドライブとして認識する。
DOSBoxは、MOUNTコマンドでドライブを“マウント”しないと、ユーザーが使えるデータストレージが存在しないので(起動した状態のDOSBoxは、RAMドライブを生成し、そこにCOMMAND.COMやAUTOEXEC.BAT、CONFIG.COMなどのコマンドを展開する)、まずは、MOUNTコマンドを実行する必要があるが、aDosBoxもAnDOSBoxも、起動のタイミングで、/sdcardをcドライブにマウントするので、ユーザーは、デバイスに差したmicroSDカードをHDDのCドライブのような“感覚”で利用できる。MOUNTコマンドによって特定のフォルダを光学ドライブととして認識させることも可能だ。
ここまでくれば、androidデバイスで使っているmicroSDカードにDOSゲームをインストールすればいい。DOSゲームでは、インストールディスクのイメージをフォルダに展開するだけの場合がほとんどなので、PCにDOSゲームをインストールして、できたフォルダをmicroSDカードにコピーするだけで済む。このあたりの手軽さが、ゲストOSで使うドライブ全体を専用のファイルイメージにしなければならなかったVirtual PCと違って、Androidで使っているデータストレージをそのまま認識できるDOSBoxの優位点といえる。
後は、「CD」コマンドでインストールしたフォルダというかディレクトリに降りていって、ゲームを起動するバッチファイルなり実行ファイルを起動すれば、ARMを搭載したAndroid携帯端末でDOSのゲームが動き出す。DOSゲームが動くか動かないかは、DOSBoxに依存するので、aDosBoxでもAnDOSBoxでもゲームが動く可能性は変わらない。
DOSBoxにおけるゲーム起動と互換性については、DOSBox Wikiで用意している「List of Games and Applications」で確認できる。ここをみると、かなりの数のDOSゲームで検証が済んでおり、そのほとんどが起動することになっている。DOSBox 0.74における検証では、410タイトルで検証が行われ、動かないのが13タイトル、起動するがプレイには耐えられないのが6タイトルとなっている。また、DOSBox 0.70では、940タイトルの検証を行い、21タイトルが動かなかったという。
それ以外のタイトルは、かなりマイナーなタイトルまで広く検証していて(Action Station!は当然として、アバロンヒルの“Gulf Strike”や、Turcan Reserchの“DREADNOUGHTS”も検証してあるなど、ウォーゲーマーとしてはちょいっとうれしかったりする)問題なく動作する。
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