そのIntel Capitalは、現在、ソフトウェアやサービス事業の強化のために6つのジャンルに注目している。
特に「クラウドサービスを有効に活用できる、マルチプラットフォーム向けのソリューションやサービスの整備が急務だ」とランバート氏は指摘する。その注目企業として、Intel Capitalが出資するKalturaとSwrve New Mediaを紹介した。
Kalturaは、PCやタブレット、スマートフォン、SmartTVなどのインターネットに接続されたデバイスごとに最適なビデオコンテンツを配信できる環境を、サーバ側だけでなくクライアント向けにも一貫して提供するソフトウェアベンダーだ。すでに同社の技術はディズニーやパラマウントスタジオ、ワーナーブラザーズ、Best Buy、HBOなどのコンテンツ配信に採用されているほか、米国で飛行機内の無線LAN接続やコンテンツ配信を行なっているGogoでも利用されている。
Kalturaは、Intel Capitalの出資を受け、現在クラウドサービスの約90%のトラフィックを占めるビデオ配信をよりセキュアなものにするとともに、携帯端末やホームエンターテイメント機器など、より幅広いプラットフォームサポートを実現すべく、Intelと協業していく考えだ。
一方、Swrve New Mediaは、ゲームコンテンツの動作検証コストを限りなくゼロにすべく、一般ユーザーからβテスターを募り、あらゆるプラットフォームでの動作検証を行なえる環境をゲームデベロッパに提供するだけでなく、クラウドと各端末のトラフィック状況やパフォーマンスを解析することで、PCのみならず、携帯端末やSmartTVなど、あらゆるプラットフォームで快適に楽しめるゲーム設定を見つけ、これまで注視してこなかった市場の可能性も探れる手段を提供する。これにより、これまでPCや専用機向けに開発してきたゲームデベロッパが、急拡大を続けるソーシャルゲーム市場などにも容易にゲームを移植することができるようになるという。
ランバート氏はまた、Intel CapitalがSwrve New Mediaを含む7社に対して総額2400万ドルの投資を行なうことを発表し、Intelアーキテクチャのソフトウェアエコシステムを広げるために、今後もソフトウェアやサービスに対する投資や企業買収を強化していく意向を示した。
さらにIntelは、9月13日にサンフランシスコで開幕する「Intel Developer Forum 2011 San Francisco」において、2011年2月に買収を完了したMcAfeeとともにハードウェアを生かすことで、より進化したセキュリティ機能をアナウンスするほか、MicrosoftとはWindows 8において、Intelが普及を図る新しいノートPCのカタチである“Ultrabook”で次世代のパワーマネジメント機能などを実装すべく協業していることを明らかにした。ソフトウェアとハードウェアが密接に連携することで、より優れた機能を実現するエコシステムを構築していきたい考えだ。
Intelにとっては、スマートフォンやタブレット端末の普及により、急速に拡大するコンピューティングデバイス市場においてイニシアチブを握るためには、ハードウェアだけでなく、ソフトウェアやサービスの充実は最重要課題であり、「近い将来、Intelといえば“ソフトウェア”というキーワードを思い浮かべるようにしたい」(フィッシャー副社長)と、ソフトウェアでコンピューティングデバイスに革新をもたらしていく意向を示した。
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