勝手に想像! 開催直前でWindows 8に期待することBUILD(3/3 ページ)

» 2011年09月12日 22時17分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]
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Windows 8におけるエディション構成と提供モデル

ARMデバイス開発で紹介されたパートナー企業。この組み合わせで構成するARMハードウェアでARM版Windows 8をサポートする可能性が高い。

 Windows 8では、従来と同じくハードウェアにOSがプリインストールされた形で提供することが前提となり、OS単体のパッケージ販売が占める比率は低いとみられる。また、台湾のパートナーイベントで、Windows 8を導入するARM搭載デバイスは、登場当初において特定のハードウェアベンダーと特定のベンダーが供給するARMの組み合わせに限定するとMicrosoftが示唆している。

 この通りになるとすると、従来のように、CPUやデバイスベンダーの組み合わせをユーザーが自由に選ぶことはできなくなる可能性が高い。これは、Apple製品のように、ソフトウェアとハードウェアがセットになった「より完成品に近いスタイル」を目指すためと思われる。

 これまで明らかになっている情報から、Windows 8では、“Vista”や”7”のように、多数のエディションが提供されないと推測される。まず、ARM版についてはハードウェアが限定されており、OSのエディションを複数作る理由がない。一方、x86版については「機能をオンラインストアからパーツ単位で購入して拡張が可能」という情報もあるが、これが、従来の“Anytime Upgrade”を進化させた機能になるだろう。これが事実ならば、あえて多くのエディションを用意してユーザーに提供する必要はない。

 Windows 8は「64ビット版」のみの提供となる可能性もある。その理由の1つが、“Hyper-V”の標準搭載だ。従来まで64ビット版のサーバOSのみに提供されていた「ハイパーバイザ機能」が、クライアントOSまで含めたすべてのWindowsに提供されるようになる。ハイパーバイザとは仮想化環境の一種で、OSよりさらに下の階層に位置してメモリやCPU、I/Oなどのリソースを適時OS間で割り当てて仲介する機能だ。OS上でOSが動作する従来の仮想化環境に比べ、パフォーマンスや互換性が向上するといわれている。

 もし、Hyper-V搭載が必須要件となるならば、64ビットをサポートしないCore Duo以前のCPUにWindows 8を導入できない可能性がある。また、現状のARMは32ビット環境しかサポートしていない。Hyper-Vの性格から考えてもARMに搭載する必然性は少ない。MicrosoftがクライアントへのHyper-V標準搭載で何を実現しようとしているのかは非常に興味深いところだが、これがWindows 7で搭載された「XP Mode」をさらに拡張するものであるならば、Windows 8における“PC版”アプリケーションのサポートに対する考えが見えてくるようで興味深い。


 以上、これまで得られた情報を整理して、BUILDで明らかになると期待したい項目をまとめてみた。いずれにせよ、価格や正確な発売日以外の主要な情報は、BUILDで明かになるはずだ。そもそも、新OSの名称が「Windows 8」なのか?といったことでさえ不明であったりする。まずは、次世代OSの正式名称がBUILDで明かされることになるだろう。PC USERでも、明らかになったWindows 8の最新情報をリポートする予定だ。

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