“Ivy Bridge”でUltrabookは美しくなるIDF 2011(2/4 ページ)

» 2011年09月16日 19時00分 公開
[本間文,ITmedia]

大幅なグラフィックス強化が施される「Ivy Bridge」

Ivy Bridgeは、“Tick+”と位置づけられるほどに、グラフィックスとビデオプロセッシングが強化された

 時計の振り子のように、半導体のプロセスルールを移行するTick(チック)と、プロセスルールが安定したところでアーキテクチャに変更を加えるTack(タック)を繰り返すIntelのCPU開発計画において、Ivy Bridgeは、第2世代のCore iシリーズである“Sandy Bridge”のプロセスルールを微細化するTickの段階にあたる。

 しかし、エデン氏が「Ivy Bridgeは、22ナノメートルプロセスルールにより、14億8000万トランジスタを集積する」と明らかにしたとおり、Sandy Bridgeの11億6000万トランジスタと比べ、半導体レベルでも大幅な強化が加えられている。エデン氏は、「Ivy Bridgeは、プロセスルールの微細化だけでなく、大幅な機能強化も図られた“Tick+”というべきCPUだ」と位置づける。

 エデン氏は、その機能強化の大半がグラフィックス機能に割り当てられたと述べ、「ほぼ、スクラッチビルドによってグラフィックスコアを再設計し、大幅なパフォーマンス向上を果たした」と明かしている。そのアーキテクチャの詳細はIDFのテクニカルセッションで詳しく解説された。

 まず、DirectX 11に対応するために、フロントエンドに「Hull Shader」と「Domain Shader」のステージを追加するとともに、ハードウェアテッセレータを統合、ビデオ再生機能も、画質やパフォーマンスを向上すべく強化している。Quick Synckによるトランスコード処理でも大幅な性能向上を実現する。

 演算ユニット(EU)も強化され、その指標として「その性能は、Sandy Bridge世代の約2倍に向上し、エントリーモデルでグラフィックスコアの性能は、現在のGT2(Core i7-2600Kなどに搭載されている上位版)と同等となる」と、米Intel グラフィックスアーキテクチャ開発担当のトム・ピアザ氏は説明する。ピアザ氏は、Ivy Bridge世代ではグラフィックスコアを使った汎用並列演算処理もサポートすることを明らかにし、「演算する内容にもよるが、Sandy Bridge世代と比べると、最大で20倍の並列演算性能を実現し、CPU全体の演算性能を大幅に引き上げる」とアピールする。

Ivy Bridgeが現行Sandy Bridge世代を踏襲した部分(写真=左、中央)と、Ivy Bridgeで新たに強化されたポイント(写真=右)

Ivy Bridgeで統合するグラフィックスコアのマイクロアーキテクチャでは、DirectX 11をサポートすべくテッセレーションユニットを追加し、演算ユニットの性能も強化した

グラフィックスコアを利用した汎用演算も強化され、DirectComputeをサポートする(写真=左)。Ivy Bridgeのグラフィックスアーキテクチャを説明するマーク・ピアザ氏(写真=右)

 Ivy BridgeではCPUコアの機能も強化する。その大きな変更点が、SSEの命令セット強化やデジタル乱数生成機能などのハードウェアセキュリティの強化、そして、半精度(16ビット)浮動小数点演算フォーマットへの変換機能のサポートなどの追加だ。

 また、22ナノメートルプロセスルールでは、3Dトライゲートトランジスタ技術の採用で、省電力性能が向上した上、COMPUTEX TAIPEI 2011でも紹介された、PCベンダーのハードウェア設計に応じて、CPUの熱設計をある程度自由に設定できる「コンフィギュアブルTDP」のサポートや、低消費電力駆動モードなども追加される。

 その一方で、デスクトップPC向けCPUや高性能ノートPC向けCPUでは、CPUコアだけでなく、グラフィックスコアやメモリのオーバークロック性能も向上する。特に、メモリは最大DDR3-2800MHz相当の動作も可能という。

Ivy Bridgeの命令セット拡張(写真=左)。セキュアな通信環境の実現に利用することが多いデジタル乱数を生成する機能もIvy Bridgeに実装する(写真=中央)。オーバークロック性能も向上し、CPUのみならず、メモリやグラフィックスコアをより高速に動作するようになる(写真=右)

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