スマートフォンへの道を歩むWindows 8BUILD(2/2 ページ)

» 2011年09月18日 13時30分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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Windows Phone “8”とWindows 8

日本でもKDDIがWindows Phone 7.5搭載スマートフォン「IS12T」を2011年8月25日に発売したばかり

 ご存じのようにMicrosoftはスマートフォン向けにWindows Phone 7.5をプロモート中だ。Windows Phoneは現行版の後に、小改良を加えた“Tango”といわれるバージョンを出荷後、メジャーアップデートとなる“Apollo”を用意している。

 Microsoft内部でも、Windows Phoneに関する詳しい予定について正確に把握している人間は少ないとのことだが、ApolloがWindows Phone 8と呼ばれることは間違いないようだ。

 Apolloは現在のWinodws Phoneにない、企業向けにリモート管理や業務で必要なアプリケーションを配布する機能などを備え、実行アプリケーションの面でWindows 8とのマッチングが取られるという。

 現在のWindows Phoneは、アプリケーションをSilverlightで作ることになっている。一方、Windows 8のMetroスタイルアプリケーションは、開発コードをほぼ共有できるとはいえ別の枠組みだ。おそらく、ApolloではMetroスタイルアプリケーションの実行をWindows Phoneの中でサポートするようになるだろう。

 さて、ここで少し話の方向を変えてみたい。

 一部にはWindows Phone 8はWindows 8をベースに作られるといううわさがある。しかし、Apolloが登場する2012年、Windows 8そのものと同時期にリリースするとは考えにくい。まずはWindows 8とWindows Phoneの間にある開発モデルの整合性をApolloの世代で取り、その後にカーネルを含めた両プラットフォームの統合へ向けての開発が進むといったプロセスを踏むことになるだろう。まずは枠組みを整えることから始めるはずだ。

 なぜなら、Windows 8の段階では互換性なども重視する必要があるため、OSの核となる部分(いわゆるカーネル)やサブシステムに大きな変更を加えづらいためだ。Microsoftが示した図を見ると、カーネルサービスの上に従来システムと新しいWinRTが横並びに併存することになっているが、実際には従来のAPIの上に、Metroスタイルのアプリケーションを動かすためのランタイムが載っている形だ。

 Windows PhoneをWindows 8ベースにするのであれば、少なくともデスクトップアプリケーション用の各種APIを整理し、システム全体をスリム化しなければ、目的を達成できなくなる。現状、WinRTがカーネルの上に直接載っていないということは、まだ両プラットフォームのアーキテクチャ統一は先(あるいはやるつもりがない)と考えるべきだと思う。

 Windows 8が、スマートフォンを発信源とするトレンドを捕まえるため、そのシステムを大きく様変わりさせようとしていることは間違いないが、果たしてスマートフォンにまでWindowsの世界を広げようとしているかどうか。おそらく、この世代での統合はないと思うが、まだ断言できるほどの情報はない。

 しかし、長期的な視野に立つならば話は変わってくる。“Metroスタイルアプリケーション”の実行環境は、間違いなくWindows Phoneにも入っていくだろう。またWindows PhoneとWindowsの境目も、従来以上にあいまいになっていくに違いない。

 そうしたとき(おそらく2〜3年後になるだろう)、両OSのアーキテクチャの違いをことさらに意識する必要はなくなっているはずだ。

追伸――Windowsの実行環境をUSBメモリで持ち出せる“Windows To Go”

 BUILDでは、「Windows To Go」という機能に関するセッションが開かれたが、参加希望者多数で締め切られてしまった。この機能はWindowsの実行環境をUSBメモリに保存し、USBメモリから起動して利用する機能だ。

 参加者にはWindows 8をTo Goで使うために最低限必要な32GバイトのUSB 3.0対応メモリが配布されていた。このUSBメモリを用いると、簡単に出先のPCでも自分だけのWindows 8を起動できる。To GoのためのUSBメモリ作成は、バックアップ機能のイメージバックアップから行えるという(筆者はすでに評価PCを返却したため、帰国まで試すことができない)。

 わざわざテストマシンを1台作らなくとも、いつでも好きなPCでWindows 8を起動できるのはなかなか便利。UBSメモリが抜けてしまった場合にもシステムがハングアップしないよう、USBメモリを抜いて1分間はそのままの状態を保持、再び挿入すると続きから動作する。1分以上経過すると、コンピュータは自動的にシャットダウンされる。

 ユーザーデータはUSBメモリに保存されるので、使っているコンピュータには何のデータも、履歴も残らない。ネットカフェのPCなど、あらゆるPCを使って、いつでも自分の環境を開けるのだから、なかなか便利そうだ。

 このTo Go用メモリにはマシンごとに固有の情報が保管されるので、動かすPCのハードウェア構成が変化しても、いちいちドライバの組み直しが行われることなどはない。開発者向けプレビュー版を試している方は、To Go用のUSBメモリ作成に挑戦してみてはいかがだろうか。

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