自宅PCとルータの設定が完了したら、リモートアクセス/デスクトップ用アプリケーションで接続先を「ホームIPロケーション名」(あるいはダイナミックDNSサービスのアクセス用ホスト名)を入力すれば準備は完了だ。WOLで自宅PCの電源を入れれば、スマートフォンやタブレット端末で自宅のPCを操作できるようになる。
このほか、自宅のPCがWindows 7 Home Premium(など、リモートデスクトップサーバ機能非搭載エディション)でもリモートデスクトップ対応にできる「TeamViewer」というアプリケーションもある。こちらはサーバ側となる自宅のPCにも専用ソフトをインストールし、専用IDで認証して利用する仕組み。ダイナミックDNSも不要のため、なかなか手軽に扱える。ルータ機能としてはWOL機能を有効活用したい。
また、バッファロー「WZR-HP-AG300H」のようにVPNサーバ機能とWOL機能サポートする製品だと、VPN接続を利用してスマートフォンからルータにアクセスし、同じようにリモートデスクトップを利用できる。この場合、リモートデスクトップ対応アプリの接続先は操作される側のPCの、LAN内におけるIPアドレスになる。ちなみにiPhoneはすべて、Android端末でも多くがVPN接続(PPTP)には対応しているが、例外もあるので注意してほしい。
1つ、WOLでリモート起動するPCは原則として有線LAN接続しなければならないのが注意点だ。ただ、どうしても無線接続で利用したいなら、有線LANを無線LANに変換するイーサネットコンバータセットを使う手はある(第2回 「5GHz帯」の速度チェック+「テレビを無線LAN対応」にする方法 を参照)。
今回は各メーカーの最新5GHz帯対応無線LANルータと5GHz帯を有効活用した、“いまどき”の利用シーンに触れてみた。
ひと昔前の家庭向けブロードバンドルータは、複数のPCを無線LANで接続してインターネット接続を共有するのが目的であり、製品の売りとなる機能も無線LANの対応規格やルータとしてのスループット値など主に基本スペックについて述べられていた。しかし、PC以外にも無線LANを利用できる機器が増え、いつでも・どこでも利用できるスマートデバイスが普及しつつある現状、そして多様化するユーザーニーズにより、家庭用無線LANルータの役目も変わりつつある。「これまでできなかったことが、できるようになる」のは、最新無線LANルータの導入でもかなり簡単に実現できるのが分かっていただけただろう。
なお、無線LAN対応機器の急増や利用シーンの拡大に応じて、5GHz帯の重要性はより増してきている。セキュリティ性の確保はもちろん、インターネット上の大容量コンテンツやAV機器間でのハイビジョンコンテンツの共有などで高速な通信速度を確保するという点で、無線LANでの「2.4GHz帯と5GHz帯の使い分け」は自身が快適になることは当然、さらに“(分散させることで)みんなも快適に”にもつながってくると思う。
今後、より無線LAN対応機器は増えて行くだろう。ハイビジョン映像を扱えるネットワーク対応AV機器も、5GHz帯の無線LANを積極サポートしていくだろう。このため、少なくともこれから無線LAN環境を本格導入する人、そしてこれまでの(IEEE802.11g世代クラスの)無線LAN環境をアップグレードしようと計画する人は、ほんの少しだけ奮発して、“5GHz帯/2.4GHz帯の両方に対応”する無線LANルータを選んでおくことをお勧めしたい。
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