3コアのFusion APUってどうなのさ? 「A6-3500」で確かめるイマドキのイタモノ(2/3 ページ)

» 2011年09月22日 19時00分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

CPU性能はコア数と動作クロック相応なれどグラフィックスはA6-3650とほぼ同等

 今回の評価では、Fusion APUで初めて登場したトリプルコアモデルということもあるので、既存のクアッドコアAシリーズと比較して、その“立ち位置”をベンチマークテストの結果から考察することを目的としたい。ベンチマークテストは、システム全体の総合性能としてPCMark VantageとPCMark 7、CPUの処理能力としてCINEBENCH R10、また、3D性能では3DMark Vantageと3DMark 11、DiRT3をそれぞれ用いて測定している。

 比較用の機材には「A8-3850」と「A6-3650」をそろえ、マザーボードにMSIの「A75A-G35」を用意した。システムメモリは、AシリーズAPUのサポート上限に相当するDDR3-1866メモリを使っている。Fusion APUは、メインメモリをグラフィックスにも利用するシェアードメモリ方式で、かつ、比較的高性能なグラフィックスコアを統合するだけに、メモリ帯域が性能を左右する。幸い、多くのPCパーツショップでメモリの実売価格が安くなっているので、Aシリーズを使ってPCを自作する場合は、上位規格、あるいは、オーバークロック対応メモリを選ぶのもいいだろう。こうすることで、グラフィックスコアに起因するボトルネックは最少になる。

マザーボード MSI A75A-G35
チップセット A75
システムメモリ G.Skill F3-14900CL9Q-16GBXL(DDR3-1866 4Gバイト×2)
HDD Intel SSD 510(120Gバイト)
OS 64ビット版 Windows 7 Home Premium Service Pack 1

PCMark Vantage(その1)
PCMark Vantage(その2)

PCMark 7(その1)
PCMark 7(その2)

3DMark Vantage
3DMark 11:3DMarks
3DMark 11:Graphics

3DMark 11:Physics
3DMark 11:Combined
CINEBENCH R10

DiRT3(DirectX 11:Ultra)
システム全体の消費電力

 PCMark Vantage、および、PCMark 11で測定したA6-3500の結果は、PCMarksで、A8-3850の10890、A6-3650の10294に対して、1万を切り8215となった。テストの細目をA6-3500とA6-3650で比べてみると、A6-3500のスコアはA6-3650に対して約8〜9割にとどまる。クアッドコアモデルのスコアに対するトリプルコアの成績としては良好といえるが、総合的なGPU性能やストレージパフォーマンスなどの要因が影響することに加え、Turbo CORE Technologyの効果の違いなどもあって、コアの数ほどにはスコアが低下しないようだ。

 CINEBENCH R10の結果では、シングルCPU測定でA6-3650の85%、マルチCPU測定で約63%となった。シングルCPU測定のスコアでは、動作クロックが大きく影響するが、ベースの動作クロックがA6-3650の2.6GHzに対してA-3500は2.1GHzと約81%になる一方で、Turbo CORE Technologyが有効になった状態の最大クロックは、A6-3650で2.6GHzに対してA6-3500が2.4GHzと約92%になる。CINEBENCH R10の測定結果は、それぞれのおよそ中間の値に相当する。マルチCPU測定の結果は、コアの数が4分の3であることを考えると予想通りの結果といえる。なお、3DMark 11のCPU関連テスト項目(Physicsテスト)でもA6-3650比で約66%となった。

 3DMark Vantageと3DMark 11で測定したGraphicsテストのスコアは、搭載するRadeon Coreが400基、グラフィックスコアの動作クロックが600MHzのA8-3850が突出するが、ともにRadeon Coreが320基で動作クロックが443MHzのA6-3500とA6-3650の差はほとんどない。とはいえ、GraphicsスコアとCPUテストのスコアを総合した3DMarksでは、トリプルコアが影響したのか、A6-3500がA6-3650の95%程度という結果になっている。

 DiRT3は比較的負荷が軽いゲームタイトルとはいえ、DirectX 11に対応する“Ultra”設定でベンチマークテストを測定すると、ゲームを行うには厳しい結果だった。A8-3850が最も良好で、A6-3500とA6-3650はほとんど差がない。3DMarkシリーズの結果と同じく、グラフィックスコアの性能評価では、Radeon HD 6530Dを統合するA6-3650とA6-3500はほぼ同等となる。

 TDP 65ワットのA6-3500は、実際に計測した消費電力でも低い値になった。アイドル状態で測定したシステム全体の消費電力は、TDPが100ワットのA8-3850とA6-3650が32ワット程度に対し、A6-3500は28ワットに収まっている。高負荷条件では、A8-3850とA6-3500の消費電力は50ワット以上の差となり、A6-3650に対しても38ワットの差になった。また、グラフィックスコアの高負荷条件における消費電力は、A6-3650との差が28ワット、A8-3850とでは39ワットの差をつけた。

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