そのほかのポイントとしては、まず、“AVX”や“AES”といった拡張命令への対応が挙げられる。AVXに対応することで浮動小数点演算を用いた、主にマルチメディア系のアプリケーションでの高速化が期待できるほか、AESでは暗号化処理の高速化が期待できる。また、メモリのサポートもさらに拡大されている。FXシリーズではDDR3-1866までがサポート範囲となる。現在のところDDR3-1866はオーバークロック向けという位置づけで、安価なDDR3-1333や1600ほど入手性はよくないが、より高クロックなためメモリ性能を引き上げる効果はある。
最後にTDPに触れておこう。そもそもFXシリーズは、AシリーズやEシリーズといったAPUをラインアップするAMDにとって、統合GPUが不要な、エンスージアスト向けに設定された製品となる。そのため、出荷開始の時点では125ワットモデルと95ワットモデルというTDPが高めの製品に偏っている。AMDからの情報が流動的であるため変更される可能性があるものの、8コアの製品でも95ワット版は存在するようだ。そのほかに6コア、4コアの製品も用意されている。6コア以下の製品はほとんどが95ワットの設定だが、異なるのがFX-4170だ。4コアの製品だがTDPは125ワットで、ベースが4.2GHz、Max Turboが4.3GHzと飛び抜けて高クロックな設定だ。
では実際の製品を見てみよう。外観は、そもそもソケットがAM3+である時点でPhenom II X6などと変わらない。当然ピンを持つPGAパッケージだが、ピンの数はPhenom II X6から変更されている。AM3+であるため対応するチップセットはAMD 9シリーズとなる。ただしBIOSでの対応は必要であるようで、初めてAM3+マザーボードを買うというユーザーは、購入時にBIOSの対応を確認しよう。FXシリーズと9シリーズチップセット、Radeon HD 6000シリーズの組み合わせでScorpiusプラットフォームを形成する。
なお、FX-8150に関しては水冷クーラーが同梱される。評価キットに付属した水冷クーラーはAMDのロゴが付されていたもののAsetek製だ。メンテナンスフリー水冷キットでよく採用されているメーカーの製品で、ラジエータはその両面に12センチファンを搭載できるタイプになる。本製品にも2基の12センチファンが搭載されていた。また、3ピンのファン用電源コネクタのほか、マザーボード上のUSBヘッダピンにも接続し、ユーティリティから制御できる。
Bulldozerコアを採用したデスクトップPC向け“Zambezi”ことFXシリーズの性能をFX-8150で確認したい。比較するのは、Phenom II世代で最上位モデルの「Phenom II X6 1100T」と、インテルのSandy Bridge世代「Core i7-2600K」だ。マザーボードはAMD CPUでASUSのAMD 990FX搭載モデルの「Crosshair V Formula」を、Intel CPUはMSIのZ68A-GD80(G3)を用いた。
なお、メモリに関してはFX-8150がDDR3-1866、Phenom II X6 1100TとCore i7-2600KがDDR3-1333というように、サポートの上限に設定した。データストレージデバイスは機材の都合でSSDではなくHDDで計測している。実施したベンチマークテストに関しては、スケジュールの都合でSYSmarkを省き、アプリケーション系の測定は2つのバージョンのPCMarkで考察する。
ベンチマークテストシステム構成 | |||
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CPU | FX-8150 | Phenom II X6 1100T | Core i7-2600K |
マザーボード | Crosshair V Formula | Crosshair V Formula | Z68A-GD80(G3) |
チップセット | AMD 990FX+SB950 | AMD 990FX+SB950 | Intel Z68 Express |
Memory | G.Skill F3-14900CL9Q-16GBXL(4GB×4) | CFD W3U1333Q-4G(4GB×4) | |
GPU | Radeon HD 6970 | ||
HDD/SSD | WD5000AAKS(500GB/7200rpm/16MB) | ||
OS | h64ビット版 Windows 7 Ultimate Service Pack 1 | ||
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