Logitechは10月17日、創立30周年を記念してプレスカンファレンスを開催した。Logitech International S.A.が設立されたのは1981年10月2日。同年に光学式マウスを発売して以降、同社はキーボードやWebカメラ、ヘッドセット、イヤフォン、ゲームコントローラと、多岐に渡る製品を発売してきた。2008年にはマウスの累計出荷台数が10億台に達するなど、世界50カ国以上で展開する大手周辺機器メーカーとしての地位を不動のものにしている。
同イベントには“Logitechの父”(本人的にはLogitechの祖父)こと、同社創立メンバーのダニエル・ボレル(Daniel Borel)氏が登壇。スイスにある人口800人ほどの小さな村、Apples(アプレ)の牧場でスタートを切った同社が、さまざまな危機を乗り越えながら成長してきた30年の歴史を振り返った(ちなみに“Apples村を代表する会社”だったLogitechは、1987年に米Apple Computer(現Apple)のマウスをOEM供給している)。
ボレル氏は「この30年間を振り返って、我々は常に、人とテクノロジーの間にあるインタフェースに注力してきた。人がやろうとしていることと、テクノロジーのギャップを埋めること。さらに、この部分はコードレスに、この部分は色を変えたい、あるいはジョイスティックを使いたい、といったように、パーソナルコンピューターをよりパーソナルに変革してきたからこそ、ここまで生き残ってこられたのだと思う」と語る。
その一方で、「私たちの世界には前提として常に変化が存在する」とも述べ、ニーズに対応する柔軟性が必要であることも強調した。「今日のグローバルな世界ではそのスピードがより速くなった。例えば、ラジオが発明されてユーザーが5000万人に達するまでには38年かかった。テレビは13年。iPodは3年。そしてiPadは1年半。一方、Google+はわずか3カ月だ」とボレル氏。
また、かつて日本企業が大きな位置を占めていたコンシューマーエレクトロニクスの分野では、その後ソフトウェアやインターネットと融合したiPodやiPhone、iPadを作り出したAppleが市場を席巻していった例を挙げて、「2011年以降、世界はインターネット、クラウドに移行している」と続け、「これまで(Logitechが)コンピューターをよりパーソナルにしてきたように、これからはデジタルワールドを、毎日のライフスタイルをパーソナルにしていく。その中でテレビはまだどこもタッチしていない領域だ。今後はテレビを使ったビデオコミュニケーションをもっとソーシャルなものに変えていく」と述べ、大画面テレビを通じたリビングルームソリューションなど、同社が今後注力していく新しい方向性を示した。
この業界において生き残るために最良の方法はイノベーション――そう語るボレル氏は、「30年前、ピエルルイジとジャコモ・マリーニの3人で会社を立ち上げた当時、私たちはみな若く、ハンサムだった。今はもう若いとはいえないが、それでも未来は私たちの前に広がっていると思う」と語り、Logitechが常に未来へ向けて革新を求める企業であることをアピールした。
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