Windows Phoneは、OSの機能の1つという考えでWord、Excel、PowerPoint、OneNoteの基本機能を包括したOfficeスイートをプリインストールする。IS12Tは、Office 2010を含むこれらオフィススイートアプリケーションで作成したファイルの表示はもちろん、編集も可能。このOfficeソフトウェア群の中で特に利便性の高いソフトウェアが、実は「OneNote」だという。
OneNoteは、“人と情報をつなぐ電子ノート・メモソフトウェア”という位置付けで、PC向けとしてはOffice Home and Business 2010以降のエディションに同梱される。2010年6月に発売されたOffice 2010は多くの国内メーカー製PCに標準搭載され「日本では、すでに700万台くらいのPCにプリインストールされている」という。
OneNoteは電子メモツール。ただ、Webのある情報をチェックし、きちんとメモなりブックマークして残す人はまだ50%ほどしかおらず、普段からOfficeを使うユーザーもOneNoteをガンガン活用する例はまだ少ないようだ。「Windows Phoneと同じく、OneNoteも“使っていただくとその便利さが分かってもらえる”ソフトウェア」(日本マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部Office製品マーケティンググループの松田誠エグゼクティブプロダクトマネージャ)。範囲指定で切り取る画面キャプチャー機能でURL情報付きで手軽にスクラップとして保存できる機能のほか、手書き/写真内文字列もOCR機能で文字列検索できる機能、音声録音しながら入力した文字列を時間軸で連携表示する機能など、特にリポートや議事録作成に向く機能を備えている。
さらに、作業中のファイルをクラウド上で自然に一括管理するWindows Live ID+SkyDriveの活用で、「いつでもどこでも、使用デバイスを問わず」に最新情報へアクセスできるようになる。「保存」という概念のないOneNoteは、作業を止めた段階でSkyDrive上のデータが更新される(履歴バックアップも可能)ため、Windows Phoneでも即座にその最新のデータを参照できる。この保存場所=使う場所やデバイスをユーザーが深く意識せず、“いつでも、どこでも”を実現できるのがポイントだ。
「こういった便利なシーンを自然に実現するのが、OneNote+Windows Liveサービス+Windows Phone+PC(Office)の組み合わせ。デバイスの価値を最大化できるソリューションだと思っています」(日本マイクロソフトの松田氏)
Windows Phoneは「“慣れる”と気持ちよく使えるようになってくる」とIS12Tを販売するKDDIの田中社長が述べた。発売から約2カ月が経過したが、販売の現場でも「機能や特徴を説明し、触れていただくと、なるほどとよさを分かってもらえる」という。
ただ、“はい、これ”と渡されても、よさにピンと来ない。これが先行するiPhoneやAndroidスマートフォンとは少し違う、現時点のWindows Phoneの現状だ。それが認知されれば──。そのための「第一歩」を築いてもらうべく、かつ、同コンセプトのユーザーインタフェースを採用すると言われる次期Windows(Windows 8)への布石とする意味も含めて、日本マイクロソフト側でもPR活動を強化する考えだ。
「確かに、大きな波を起こすにもまだユーザーが少ない。ただ、体験コーナーやワークショップなど、きちんと説明すれば興味を持ってもらえるようになる実力をWindows Phoneは持っています。ユーザーに直接説明する機会をどれだけ用意できるか。こういった“第一歩”のPR活動を日本マイクロソフトとしても腰を据えて行っていきます」(日本マイクロソフトの横井統括本部長)
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