今回の性能評価では、AMD FX-8150のレビューで行ったベンチマークテストと同じシステム構成を利用する。ただし、MediaEspressoを用いたトランスコードテストに関しては、今回、変換用の動画ファイルを変更し、すべてのCPUで再測定した。
ベンチマークテストシステム構成 | |||||
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CPU | FX-8150 | AMD FX-6100 | AMD FX-4100 | Phenom II X6 1100T | Core i7-2600K |
マザーボード | Crosshair V Formula | Crosshair V Formula | Z68A-GD80(G3) | ||
チップセット | AMD 990FX+SB950 | AMD 990FX+SB950 | Intel Z68 Express | ||
Memory | G.Skill F3-14900CL9Q-16GBXL(4GB×4) | CFD W3U1333Q-4G(4GB×4) | |||
GPU | Radeon HD 6970 | ||||
HDD/SSD | WD5000AAKS(500GB/7200rpm/16MB) | ||||
OS | 64ビット版 Windows 7 Ultimate Service Pack 1 | ||||
PCMark 05は同時に走るスレッドが最大でも4本のベンチマークテストであるため、FX-6100とFX-4100の差はほとんどない。スコアはFX-6100がFX-4100を上回っている。CPUテストのみをピックアップすると興味深い傾向がみられる。それは、シングルスレッドとマルチスレッドテストの違いだ。シングルスレッドに対応したテストでは、すべてのテストでFX-6100がFX-4100を上回っている。シングルスレッドの場合、定格の動作クロックではなく、Turbo CORE Technologyでもなく、おそらくMAX Turboが有効になる局面が多いと思われる。FX-6100はFX-4100より定格の動作クロック、Turbo CORE Technology有効時の動作クロックともに低いが、唯一、MAX Turbo有効時でFX-4100をクロックで上回る。
一方、マルチスレッド対応テストを見ると、FX-6100はFX-4100に対し2勝4敗と分が悪い。各項目の結果を詳しく確認すると、2スレッド対応のテストでFX-4100が2勝しているが、その差は“誤差”ともいえる程度でFX-6100が上回ることもある。また、4スレッド対応テストは2勝2敗となっている。マルチスレッドでは、FX-4100が優位となるTurbo CORE Technologyが有効になる状態が中心となっていると考えられる。なお、グラフィックテストのスコアがFX-4100で突き出ているが、この理由は分からない。
PCMark 7でも、FX-6100とFX-4100でほとんど差がつかない結果となった。ただ、全体的に見てFX-6100優位となっているため、4スレッドを超えた負荷や、MAX Turboが有効になるシングルスレッドなど、FX-6100が有利になるテストが多いためだろうと推測できる。
SandraのCPUテストはコアの数が反映されたスコアとなった。特にFX-4100はFX-8150と比較するとほぼ半分で、それに動作クロックが低い分も差し引かれるという数値を示している。メモリ関連テストも妥当な結果だが、特徴的なのはCache and Memory Benchmarkの16MB BlocksでFX-8150のスコアと比べてFX-6100やFX-4100が落ち込んでいることだろうか。16MBだと、FX-8150の場合うまくすれば2次キャッシュメモリと3次キャッシュメモリになんとか入り込む。一方で、FX-6100は2次キャッシュメモリが6Mバイトに3次キャッシュメモリが8Mバイト、FX-4100は2次キャッシュメモリが4Mバイトに3次キャッシュメモリが8Mバイトでどちらもあふれることとなる。
CINEBENCH R11.5のシングルCPUテストで、FX-6100がFX-4100を上回っているのは、PCMark 05と同様に、MAX Turboが効いているものと思われる。トランスコードテストも妥当なスコアだ。コアの数が減っただけ、処理に要する時間も長くなっている。
3DMark 11は、GraphicsテストでFX-6100とFX-4100がFX-8150を上回っている。これは、PCMark 05でも同じ傾向が確認された。おそらく何らかの原因でFX-8150のスコアが抑えられてしまったか、FX-6100とFX-4100の動作クロックが大幅に上昇した可能性が考えられる。CPUの影響が大きいPhysicsテストは、妥当な結果に収まっている。
なお、3Dゲームのテストでも、LostPlanet 2はコア数に応じた結果になった一方で、Crysis 2では3DMark 11のようにFX-6100とFX-4100がFX-8150を上回ってしまった。なお、LostPlenet 2ではFX-6100とFX-4100の結果に比較的大きな差が生じ、コアの数がスコアに影響する傾向が見られ、一方でCrysis 2ではほとんど差がない。Crysis 2の同時処理が4スレッドに収まっているという印象を受ける。
システム全体の消費電力を見ると、アイドル状態でFX-8150と同様、約90ワットと低く抑えられており、一方、全コアに負荷をかけても約166ワットと、FX-8150が出した225ワットから比べると十分に低い値だ。これはPhenom II X6 1100T(TDPは125ワット)と比べても低い。また、シングルスレッドにおける消費電力もTDP 125ワットクラスの2製品と比べて15〜20ワットほど低い値を出している。なお、AMD FXシリーズの特徴なのか、FX-6100よりもFX-4100がコアの数が少ない分消費電力が低くなりそうだが、実際にはほとんど変わらない値を示している。
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