連載
» 2011年11月06日 01時14分 UPDATE

5分で分かった気になるアキバ事情:さまざまな“特需”をHDDショックが上書きした10月のアキバ (1/2)

10月のアキバは、新CPU「AMD FX」シリーズの登場や「バトルフィールド3」特需など、盛り上がるトピックが多かった。しかし、それ以上にタイ洪水によるHDDの価格高騰と品薄の衝撃が大きかった。

[古田雄介(ぜせ),ITmedia]

「年末商戦のダメージはわりとデカいと思います」――アキバで急激にHDDの価格が高騰

og_akibam_001.jpg 10月中旬に撮影したツートップ秋葉原本店のHDD価格表。注意書きの通りに、10月後半からは1日単位の値上がりが続いている

 10月初旬から続くタイの大規模洪水により、HDDの値上がりや品薄傾向が深刻化している。

 タイにはHDDメーカーの主力工場やHDD関連の部品工場が集まっており、そのうちの多くが水害によって生産を停止、10月末時点で復旧の見通しさえ立ってない工場も少なくない状況に陥った。このため、現在は世界レベルでHDDの生産ペースが激減しており、テレビやレコーダー、完成PC、カーナビといったさまざまな業界がHDD不足に悩まされる事態となっている。と同時に、需要と供給のバランスや例外的に発生したコストによって、HDDの価格高騰も起きている。

 この異常事態の影響がいち早く表に出たのが、ほかの地域やジャンルに先立って10月中旬から内蔵HDDの値上げに踏み切ったアキバのPCパーツショップだった。PCパーツのHDDは、外付けHDDのようにボディを加える工程もないため、HDD工場から店頭に並ぶまでが早い。さらに、アキバはHDDの回転率がほかの地域よりも高く、普段は値下がりが激しいHDDを店舗レベルではあまり大量にストックしない傾向もある。生産工場レベルでの変動を吸収するクッションがほとんどないのだ。

 PC DIY SHOP FreeTは「アキバは構造的にこういう変動に敏感ですからね。同じ2TバイトのHDDを使っていても、値上がり済みの内蔵HDDより、まだ値動きのない外付けHDDのほうが安いという現象も起きるくらいです」と語る。

 ただし、そうした逆転現象は10月末には姿を消し、内蔵HDDの値上がりは1Tバイトや500Gバイト、320Gバイトあたりまで拡大した。2Tバイト以上のモデルはメーカー問わず品薄傾向が深刻化しており、売れ筋は500G〜1Tバイトモデルに移行しつつある。10月初旬と末の価格を比較してみると、3Tバイトモデルは最安で9000円弱から1万5000円前後に、2Tバイトモデルは5000円台から9000円弱にまで戻っている

 そして、今回のHDDショックは年をまたぐとの意見が大半だ。ソフマップ秋葉原本館は「タイ洪水の復旧には少なくとも半年程度はかかるとみられています。つまり来年の春先まではHDDが調達しにくい状況が続く可能性が高い。それまでに特にHDDが必要でないなら、復旧まで待つのがいいでしょう。しばらくは価格高騰と品薄な状況が続くと思いますから」と話していた。また、「年末商戦のときに、普通の構成でマシン一式おすすめできないかもしれないですから、我々も業界もかなり痛いですよ。SSDに換えがきく構成ならいいんですが・・・…」(某ショップ)と、すでに年末を心配する声も少なくない。

og_akibam_002.jpgog_akibam_003.jpgog_akibam_004.jpg フェイス秋葉原本店のHDD価格表に添えられたPOP。HDDの大量購入を控えるようお願いしている(写真=左)。ソフマップ秋葉原本館のHDDコーナー。中央は10月7日に撮影したもの、右は10月28日に撮影したものだ(写真=中央/右)

「8コア、早く単品で売って……!」――AMDファン待望のAMD FXシリーズがようやくデビュー

og_akibam_005.jpg TSUKUMO eX.に張られた発売前のAMD FXシリーズ用ポスター

 話題性ではHDDショックに隠れ気味になっても、自作PC市場にとって好材料となる動きもあった。PCパーツの新製品で注目度が高かったのは、新アーキテクチャを採用したAMDの新しいCPU「AMD FX」シリーズだ。コードネーム「Bulldozer」で知られていたCPUで、最上位の「FX-8150」は3.6GHz動作の8コアを内蔵している。

 10月中旬にラインアップが発表され、まもなくの発売がウワサされるようになった。ドスパラ秋葉原本店は「コンシューマー向けで初の8コアということで、マルチタスク処理が多い人におすすめです。また、保証外となりますが、オーバークロック体制が相当高いという評判もあるので、チューニングしてクロックアップを楽しみたいというマニアな方にも注目されていますよ」と話していた。

 期待の高さを示すように、10月16日にAMDが実施したユーザーイベント「AMD 秋のFX祭り」には大勢のユーザーが詰めかけ、今後の販売スケジュールやFX-8150搭載機を使ったオーバークロックデモに熱視線を注いでいた。しかし、イベント当日になってもまだ発売されない現状に「モノがないのにお披露目イベントするなんて、遠くからアキバに来た人には拷問に近いですよ。AMDにとっては何年来の注力CPUなのに、スタートからグダグダで見ていられません」(某ショップ)といった手厳しいコメントも少なくなかった。

 それでもイベントから1週間経った23日には、6コア/3.3GHzの「FX-6100」と4コア/3.6GHzの「FX-4100」が店頭に並んだ。価格は順に1万5000円前後と1万円弱で、ともにTDPは95ワットとなる。DDR3 1866をサポートしているのも特徴だ。

 クレバリー1号店は「6コアで1万5000円というのは、かなりリーズナブルだと思います。ただ、FXに関しては、まずは8コアを狙っている人が多いでしょうから、下位モデルは後からゆっくり売れてくれればと思っています」と話していた。

 実際、多くのショップで発売後の反応はいまひとつというコメントを聞いた。一方、8コアの最上位「FX-8150」を組み込んだショップブランドPCの売れ行きは好調という意見が多かった。その「FX-8150」と8コアで下位の「FX-8120」は11月4日に発売されている。

og_akibam_006.jpgog_akibam_007.jpgog_akibam_008.jpg カフェソラーレ リナックスカフェ秋葉原で実施された「AMD 秋のFX祭り」(写真=左)。AMD「FX-6100」と「FX-4100」(写真=中央)。PC DIY SHOP FreeTのAMD FXシリーズ組み込みマシン(写真=右)

       1|2 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.