付属するソフトウェアに用意されたレイヤー機能は、慣れるまで使うのが難しい。そもそも、この製品のメインユーザーと想定しているビジネスマンには、Photoshopなどでレイヤーワークに慣れていないとイメージしにくいのではないだろうか。新規レイヤーを作成したあとは、作成済みのレイヤーに書き込みできない。
会議のメモとしてレイヤーを導入する用途はそれほど多くないはずで、どちらかといえばイラストやアイディアフローのメモに利用するといったところだろうか。付属の「Inkling Sketch Manager」上で管理したり、Illustratorへの書き出しを考えると、イメージをスケッチし、レイヤーを追加してメモ書きを加えるという用途が考えられる。ビジネス用途とアート用途でその活用は大きく異なるのではないだろうか。
デジタルペンの感触は、通常のボールペンと大差ない。直径15ミリとやや太いがグリップポイントは細いのでグリップ感がいい。注意点としては、書き出し前に軽く線を引くなどして、電源ボタンとレイヤーボタンの間にあるLEDが点灯するかを確認しておきたい。ペンの頂点部のLED点灯でOKのサインだが、ユーザーの視点では認識しにくい。また、評価機ではデジタルペンの頂点部が点灯していても、描いた線を認識していないこともあった。
ペンタブレットやデジタルペンは、PCユーザーにはメジャーな存在となったが、一般的には、まだ少数派というのは否定できない。ビジネスユーザーをターゲットにした「Inkling」は、デジタルペンを利用する初めての製品として接するユーザーも少なくないはずだ。
そのようなユーザーに対する「ハードルの高さ」を確かめるため、「撮影のお仕事」とだけ連絡した以外は前情報ナシの状態で、“高校の生徒会で会長を務めている”というモデルさんに試用してもらった。
紙のセットでは、クリップの存在に気が付かず、レシーバを紙の上に載せていた。このあたり、本体サイドにアイコンを用意するなどで、マニュアルフリーにできるのではないだろうか。本体のスイッチはシンプルでアイコンもあるため、なんとなく操作していた。ただ、やはり「すぐに書いてOK」というイメージが先行しやすいようで、本体側のLEDサインをもう少し分かりやすくしてほしいところだ。
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