“ビックE”登場!──6コアな新世代ハイエンドモデル「Core i7-3960X」を全力で走らせるイマドキのイタモノ(1/3 ページ)

» 2011年11月14日 17時00分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

3次キャッシュ、メモリ、PCI Exress──大きく変わったSandy Bridge-E

 Core i7-3000シリーズは、Sandy Bridgeをベースとしたハイエンドセグメント向けCPUだ。インテルの開発フェーズとして定着した、新しいプロセスルールを採用する“TICK”、新しいアーキテクチャを採用する“TOCK”モデルでいえば、Sandy Bridge-EはTOCKに相当する。ハイエンドセグメント向けCPUでいうと、従来の“Gulftown”からプロセスルールは変わらないが、アーキテクチャがSandy Bridgeへと更新されている。メインストリーム向けのCore i7-2000シリーズが2011年1月に登場したから、ハイエンドセグメント向けはおよそ11カ月遅れということになる。その第1弾として投入されるのがCore i7-3960XとCore i7-3930Kの2製品だ。

型番 Core i7-3960X Core i7-3930K Core i7-990X Core i7-980X Core i7-970 Core i7-2600K
コードネーム Sandy Bridge-E Sandy Bridge-E Gulftown Gulftown Gulftown Sandy Bridge
コア数 6 6 6 6 6 4
スレッド数 12 12 12 12 12 8
動作クロック(ベース) 3.3 3.2 3.46 3.33 3.2 3.4
TBT有効時最大クロック 3.9 3.8 3.73 3.6 3.46 3.8
BCLK 100 100 133 133 133 100
3次キャッシュメモリ 15 12 12 12 12 8
プロセスルール 32 32 32 32 32 32
TDP 130 130 130 130 130 95
DDR3メモリ 1600 1600 1066 1066 1066 1333
メモリチャネル数 4 4 3 3 3 2
統合グラフィックス - - - - - Intel HD 3000
PCIeグラフィック PCI Express 3.0(40レーン) PCI Express 3.0(40レーン) PCI Express 2.0(36レーン) PCI Express 2.0(36レーン) PCI Express 2.0(36レーン) PCI Express 2.0(16レーン)
ソケット LGA 2011 LGA 2011 LGA 1366 LGA 1366 LGA 1366 LGA 1155
VT-x 対応 対応 対応 対応 対応 対応
VT-d 対応 対応 対応 対応 対応 非対応
AES-NI 対応 対応 対応 対応 対応 対応
AVX 対応 対応 非対応 非対応 非対応 対応

 Core i7-3960X、Core i7-3930Kともに、Core i7-990Xと同様、6コアでHyper-Threadingに対応し12スレッドの同時実行を可能としている。動作クロックは、定格で見るとCore i7-3960Xで3.3GHzと、Core i7-990Xの3.46GHzから下がっている。しかし、第2世代Turbo Boost Technologyに対応しており、その有効時における最大クロックは3.9GHzと、Core i7-2600Kの3.8GHzを上回る。(記事掲載当初、VT-xの記載に誤りがありました。おわびして訂正いたします)

CPU-ZでCore i7-3960Xの仕様を確認する。すべてのコアに負荷をかけた状態で、定格の3.3GHzよりも300MHz高い3.6GHz駆動となっている(写真=左)。また、Sandy BridgeベースとなったことでBus Speedが100MHzであるほか、拡張命令セットではAVXもサポートした。キャッシュメモリの構成は、1次キャッシュメモリと2次キャッシュメモリの容量がCore i7-990Xと同等だが、1次キャッシュメモリのInstruction Cacheが4-wayから8-wayに変わった

 3次キャッシュメモリの容量は15Mバイトで、Sandy Bridge世代のCPUで適用されていた“1コアあたり2Mバイト”というルールから外れている。それだけでなく、3次キャッシュメモリの容量は、Core i7-3960Xで15Mバイト、Core i7-3930Kが12Mバイトと、同じ6コアモデルであるのに容量が異なる。この点についてインテルは、Core i7-3930Kは1コアあたり2Mバイト、Core i7-3960Xは2.5Mバイトを割り当てているためと説明している。それにしても、Sandy Bridgeでは、1コアあたり2Mバイトであったはずだ。

 Sandy Bridge-Eシリーズでは、1コアあたりの容量をマーケティング的(?)に変更できることになる。ただし、Sandy Bridgeというアーキテクチャ自体が1コアあたり2.5Mバイト搭載しているというわけではない。公開されたダイ写真には、6つのコアの下に何も明記されていないちょうどCPUコアと同じサイズのスペースがある。Core i7-3000シリーズの設計としては原則8コアであり、そのうち2基をDisabledしているものの、3次キャッシュメモリは有効になっていて、そこを利用しているわけだ(3次キャッシュメモリが16Mバイトでない理由が不明だが)。

インテルが公開したCore i7-3960Xのダイ(写真=左)。ダイレベルでは8コアの設計で、2コアをDisabledにしている。3次キャッシュメモリの部分は有効にしたうえで15Mバイトを確保するという変則的な構造だ。Core i7-990XなどWestmere-EPのダイ(写真=右)と比べると、レイアウトがまったく異なる。Core i7-3000シリーズがSandy Bridgeをベースとしているため、リングバスも受け継いでいるためだ

 メモリに関する仕様も大きく変わった。Core i7-2000シリーズのデュアルチャネル、Core i7-900シリーズのトリプルチャネルに対し、Core i7-3000シリーズはクアッドチャネルとなる。また、Core i7-2000シリーズのDDR3-1333、Core i7-900シリーズのDDR3-1066に対し、Core i7-3000シリーズではDDR3-1600をサポートする点も大きい。クアッドチャネルとDDR3-1600のサポートにより、メモリ帯域は大幅に増えた。

 ただし、クアッドチャネルでDDR3-1600という高速駆動を行うため、メモリモジュールの相性は厳しくなることが予想される。また、8DIMM搭載に対応したマザーボードでは、8基のスロットすべてにメモリを組み込んで安定して動くのか、という問題もある。マザーボードベンダーの関係者によると、インテルのデザインガイド(マザーボードメーカーに対して公開される基本設計書)では4DIMMだったという。8DIMM構成で安定して動かすためには、マザーボードのメモリ回路設計が確実であること、そして、メモリモジュール自体も信頼できる必要があるだろう。

 PCI Expressの仕様では、PCI Express 3.0への対応が注目される。しかし、仕様上では対応しているものの、現在の市場にPCI Express 3.0対応機器は登場していない。そこで、インテルとしても検証できる状況になく、当面はPCI Express 2.0と同様という状況にある。一方、PCI Expressレーン数は40レーンに増加した。これにより、CPUに接続するPCI Expressレーンだけで、マルチグラフィックスカードの構築が可能となる。

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