自作PCユーザーにとって一番重要なのがソケット形状の変更だ。Core i7-900シリーズではLGA 1366が用いられてきたが、Core i7-3000シリーズから「LGA 2011」が採用された。チップセットもIntel X58 ExpressからIntel X79 Expressに移行する。
Core i7-3000シリーズのCPUサイズは、Core i7-2000シリーズと比べれば十分に大きいCore i7-900シリーズのさらにひとまわりも大きい。底面形状は長方形で、これまで側面に2カ所あった切欠きが、4か所に増えている。マザーボード側のソケットもピンの数が増加し、サイズも大型化している。それに加えて、リテンションレバーが上下2本になったのも特徴だ。レバーを外すときは、正しい順番でなければ外れない。
さらに、従来のソケットではクーラーユニットをプッシュピンで固定しており、その穴が4か所設けられていたが、LGA2011ではネジ穴へと変わっている。より確実に固定する、あるいは、マザーボードの反りを予防するといったメリットが考えられる一方、これまでのリテールクーラーでは不要だった工具(プラスドライバー)が必須になるので注意しよう。
Intel X79 Expressチップセットは、シングルチップ構成で、DX79SIの場合、従来サウスブリッジチップが搭載されていた位置に実装されている。Intel X58 Expressは、チップセットとCPUとの接続に25.6Gバイト/秒のQPIを用い、ノースブリッジとICH10Rとの接続に2Gバイト/秒のDMIを利用していた。Intel X79 Expressでは、チップセットとCPUの間が20Gバイト/秒のDMIで結ばれる。ちなみに、DMIの速度はIntel 6シリーズチップセットと同じで、ディスプレイ接続用のFDIがないというだけの違いだ。Intel X58 Expressと比べ帯域が減っているものの、Core i7-3000シリーズのCPUから40レーンのPCI Expressが利用できるため、例えば、SAS RAIDカードなどは、CPU側の拡張スロットに組み込めば帯域不足となるシチュエーションはそう多くないだろう。
なお、Intel X79 Expressへの移行に合わせ、チップセットレベルでSerial ATA 3.0に対応することになった。Intel X58 Expressは長らく現役であったチップセットだったが、それだけに最新トレンドに対しては追加の専用コントローラーで対応するしかなく、このため、使うレーンがPCI Express x1だったりするとSerial ATA 3.0の性能を出しきれないという状況に陥っていたが、これが解消されることになる。
今回登場するCore i7-3000シリーズのTDPは130ワットで、Core i7-900シリーズのハイエンドモデルと同じだ。ただし、より注目したいのはアイドル時の消費電力だ。Core i7-900シリーズでは、アイドル時の消費電力もかなり高かったが、Core i7-3000シリーズではSandy Bridgeアーキテクチャを採用したことで、Core i7-2000シリーズが見せたような低消費電力を示してくれるか注目するユーザーも多い。
なお、今回登場するCore i7-3000シリーズは、クーラーユニットが付属しないCPU単体での販売となる。その代わり、別売りのインテル純正クーラーユニットとして水冷と空冷の2製品がラインアップされている。今回の評価機材に付属したのは水冷ユニットの「RTS2011LC」だった。AMD FX-8150でもAMD純正水冷ユニットが発表されたが、AMDがバンドルであるのに対し、インテルは別売りになる。また、AMDのクーラーユニットがデュアルファンであるのに対し、インテルはシングルファンになる。インテルのクーラーユニットはUSB接続によるコントロール機能などもなく、そういう意味ではシンプルな構成といえる。
固定はソケット側のネジ穴をそのまま利用するので簡単だ。これまでのネジ式クーラーユニットのように、マザーボードの裏からバックプレートを取り付ける手間もない。なぜもっと早くネジ式ソケットを採用しなかったのかと思うほどだ。一方、空冷ユニットの製品名は「RTS2011AC」で、従来までのLGA 1366用リテールクーラーユニットをネジ式に変更したような外観だ。
インテルは、空冷のRTS2011ACでも十分冷えるが、RTS2011LCならもっと冷える、と説明する。ただ、CPUクーラーユニットが別売になったことで、サードパーティ製のCPUクーラーユニットの市場が活性化する可能性もある。
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