10月初旬に発生したタイ洪水由来のHDDショックは、11月末も続いている。ただし、11月中旬頃をピークに品薄傾向と価格高騰が落ち着いた感がある。1TバイトHDDの最安クラスは一時期1万6000円前後となっていたが、月末には1万3000円前後まで値を戻したほか、ほかのパーツとのセットで1万円切りで販売するセールもみられるようになっている。また、スポット入荷で2Tバイトの外付けHDDを9000円台で売る光景もたびたび目にするようになった。
ツートップ秋葉原本店は「数カ月前の印象があるので、2Tバイトで1万円切りでも、まだ高いと感じる人は少なくないですね。それでも、マシン一式組むのに無理して回避するほどの状況ではなくなっているかもしれません。まあ、まだ油断はできませんが」と話していた。
そうしたなか、大容量HDDの新製品も若干数登場するようになっている。11月中旬には、1Tバイトプラッタを1枚使ったシーゲートの1Tバイトモデル「Barracuda ST1000DM003」が、1万円弱から1万5000円弱で出回った。その翌週には、1Tバイトプラッタ3枚で構成した3Tバイトモデル「Barracuda ST3000DM001」も2万6000円前後で登場。入荷数が少なめということもあり、入荷後すぐに売り切るショップが相次いだ。
どちらも入荷したPC DIY SHOP FreeTは「プラッタ枚数が少ないほど壊れにくいですし、実効速度が上がりますからね。時勢的にも安くはないですが、買うならよいものがほしいという人のニーズには応えてくれるモデルだと思います。反響の大きさも含めて、ある程度予想どおりですかね」と話していた。
一方で、長引くHDDショックからSSDに注目するユーザーも増えているようだ。特に最近はアキバ全体で120〜128Gバイトの高速SSDが人気を集めているという。ドスパラ パーツ館は「HDDとは対照的に、現在はフラッシュ系パーツが安くなっています。120Gバイト級のSSDはSATA 3.0対応モデルでも1万円台前半で買えるんですよ。RAIDを組まなくても高速ですし、ブートドライブとして使うなら容量も十分あるということで、初めてのSSDに買われていく人は多いです」と話していた。
前述のとおり、フラッシュ系パーツのメモリも低価格化が進んでいる。月末時点で、DDR3-1600 4Gバイト2枚セットの最安価格が各ショップで3000円を割っており、期日限定で2000円すら切るショップも見られるようになった。パソコンショップ・アークは「X79マザーが登場したこともありますが、メモリの増設はパフォーマンスの向上を体感しやすいこともあり、手軽な強化パーツとして買う人も多いですね。何せ有名ブランドのチップを使っていても3000円切りだったりしますから」と話していた。
そのほか、人気ゲームの新作「バトルフィールド3」(以下、BF3)が11月2日に発売され、10月から続いている特需も加速した。11月に入ってから、リードテックやZOTACなどの複数メーカーがBF3パッケージのラインアップを投入している。PC DIY SHOP FreeTは「手軽に楽しむならGeForce GTX 560 Ti、フルHD一画面でバリバリやるならGeForce GTX 580やRadeon HD 6970あたりが人気です」と話していた。
ほかにもいくつかのショップで、10月以降はミドルレンジ以上のグラフィックスカードが好調に売れているというコメントを聞いた。ある仕入担当の店員氏は「エントリークラスは、AMD AシリーズやSandy BridgeのようにGPUを内蔵するCPUが評価されている流れで、以前よりあまり動かなくなっています。どうせ買うなら、1万円前後から選べるGeForce GTX 550やRadeon HD 6770あたりが定番といえますね。ただ、年末にかけてはよりハイエンドを積極的に売っていきたいという気持ちはあります」という。
11月26日に開かれたリンクスインターナショナル主催のユーザーイベント「リンクス感謝祭2011」でも、同社スタッフが「BF3以外にも、年末にかけて『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア3』や『The Elder Scrolls V スカイリム』などが盛り上げてくれますから、ハイエンド系パーツに期待しています」と語っており、年末に向けてゲームの人気タイトルに注目が集まっているようだ。
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