“X79ハイエンド構成”から「エンコ向けマシン」に最適化してくれショップのダメ出し!(2/3 ページ)

» 2011年12月14日 11時45分 公開
[古田雄介(ぜせ),ITmedia]

「いまこの現状でも、エンコマシンならHDDを導入すべき」

ASUSteKのX79マザー「P9X79 DELUXE」。内蔵用のSATA 3.0とSATA 2.0ポートがともに4基そろっている。メモリも最大64Gバイトまで載せられる仕様だ

 構成全体をみて、森田氏はCPUとメモリ、マザーの基幹部分はこのままでいくと言ってくれた。「マザーは売れ筋の定番モデルですし、ASUSTeKだけにBIOSアップデートを含めた数年後のサポートも安心できますからね。メモリも8本埋めるなら、4本で動作検証したクアッドチャンネル対応セットを選ぶのが無難でしょう。CPUはコストパフォーマンスの高い3930K(4万7000円前後)に代えるという手もありますが、エンコマシンでこそハイエンドCPUの意味があるというのはあるので、このままでいきましょう」と頷く。

 ただし、CPUクーラーは、インテル純正の水冷キット「BXRTS2011LC」から、コルセアの水冷キット上位「CWCH100」へのグレードアップをすすめられた。森田氏はインテル純正のままでいいとしながらも、「現実的に品薄で入手しづらいという問題があります。なので、せっかくだからより冷却性能の高いCWCH100に代えるものありだと思います。ファンを取り付けて冷却性を高められますし、モード切り替えボタンもありますから、ノイズや消費電力のバランスをみながら臨機応変に調整するといったつきあい方もできます」とプッシュする。価格は1万4800円だった。

 視線はコンセプトの核となるキャプチャーボードに移動。悩みながらも森田氏は「どの程度のエンコードをするかで最適なカードは違ってくるので難しいですが……MonsterXXほどの性能を求める使い方する人は、すべて“分かった”うえで相談なく買われますし、今回のケース(知人に構成を依頼するケース)ではオーバースペックかなと思います」と変更を決断。そして、ピックアップしたのが同じエスケイネットの「MonsterX2」だった。「1080iまでしかキャプチャできませんが、D端子から入力できるのがポイントです。少し古めの機器とも連携できますし、アナログ映像なら720pもあれば十分ですから、汎用性の意味からもベターだと思います」と語る。価格も1万2980円で、MonsterXXから3万円以上もダウンした。

 チェックは実験的な意味合いを込めたSSDに及んだ。RAID 5のよさは認めてもらえたが、やはりブート用のSSDは1台でいくことになった。「なるべくSATAポートを開けておいたほうがいいですし、ブートドライブの転送速度はエンコード速度に多大な影響を与えるわけでもないので、ここは256Gバイト1台にまとめてしまいましょう。この容量帯なら、クルーシャルがもっとも安価ですね」とのことで、RealSSD C300シリーズの256Gバイトモデルに変更した。価格は2万9980円だ。

 そして、あえて構成から外していたHDDも、2Tバイトモデルを購入することにした。「確かに価格が高騰していますし、在庫的にも買いやすい状況とはいえませんが、このコンセプトならどうしてもHDDは必要だと思います。せっかく組んでも、エンコした動画を残す器がまだないとなると、大きな損失ですからね。年末に向けてある程度は価格が落ち着いていることもありますから」ということで、2台プラス。取材当時(11月25日)は2TバイトHDDの最安モデルが1万2800円だったので、メーカーと型番問わずとしている。

コルセアの水冷キット。より高い冷却性能が期待できる「CWCH100」(左)をチョイス(写真=左)。エスケイネット「MonsterX2」(写真=中央)。クルーシャル「RealSSD C300シリーズ 256Gバイト」(写真=右)

「水冷なら通常のデザインのケースがいいですね」

パイオニア「BDR-S06J」

 HDDを最初に導入する流れで、光学ドライブもBDXL対応の「BDR-206MBK」から、パイオニアのBD-Rドライブ「BDR-S06J」に代えた。「HDDが高騰しているにしても、BDXLはメディアが入手ししづらくて高いですから、現時点ではボリューム保管用には現実的なツールとはいえないです。使わない規格でドライブを高価にすることはないので、ここは普通のBD-Rの最高級に留めるのがいいでしょう」とアドバイス。価格は1万9980円だ。

 グラフィックスカードは、ELSAのGeForce GTX 570が選ばれた。森田氏は「CUDAもどこまで威力を発揮できるか分からないところがあるので、動画エンコードならGeForce GTX 580まではいらないかなと判断しました。ある程度ゲームもやるという想定で、バランスをとってGTX 570ですかね。ELSAを選んだのは、2年間と長いメーカー保証があるのと、モノ自体の作り込みのよさからです」と解説する。価格は3万5950円だった。

 OSもベース通りだったので、残るは電源とケースだ。電源は同じXシリーズの大容量モデルに変更となった。「760ワットでも十分なのですが、将来HDDを複数台増設することを考えて、シリーズ最上位の850ワットモデルがいいと思います。価格もそれほど上がりませんし」とのことで、2万5580円の「SS-850KM」に決定。

 PCケースは、背面ブラケットを上面に固定する煙突型モデル「SST-RV02B-EW USB3.0」から、通常配置のコルセア「CC650DW-1」への変更をすすめられた。CPUを水冷キットで冷却するためだ。「煙突型はグラフィックスカードの熱が上に抜けるという空冷ならではの利点がありますが、水冷だと無関係どころかラジエーターの位置どりも困りますし、ヒートパイプの熱の流れもおかしくなる可能性があるなど、懸案事項が出てきます。なので、水冷と空冷を併用するなら、一般的なケースのほうがいいでしょう。水冷キットと同じコルセアのハイグレードモデルということでCC650DW-1がオススメですね。メンテナンス性が高く、HDDも6台組み込めるので、エンコマシンにも最適でしょう」という。価格は1万9980円。

ELSA「GLADIAC GTX 570 V2」(写真=左)。シーソニック「Xシリーズ SS-850KM」(写真=中央)。コルセア「CC650DW-1」(写真=右)

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