小さくたって高性能! Core i7を搭載した小型PC「AeroMini MI5J-D33/S」を試すコンパクト&パワフル、しかも安い(1/2 ページ)

» 2011年12月16日 11時30分 公開
[小川夏樹(撮影:矢野渉),ITmedia]

パワフルなPCは大きなサイズであることが多い

ツクモの「AeroMini MI5J-D33/S」

 デスクトップPCでもノートPCでも、ハイスペックでパワフルなPCは、たいてい本体が大柄だ。デスクトップPCでハイスペックなモデルといえば、特別あつらえのミドルタワーケースにハイエンドマザーや高クロックCPU、やたらと冷えるCPUクーラーを搭載し、複数台のHDD/SSDを使ったRAID構成にハイエンドグラフィックスカードの2枚差しと超豪華。もちろん、サイズが大きいだけでなく、値段もそれなりにする。

 一方、ハイエンドノートPCでは、17型ワイド以上のフルHD液晶を搭載し、高速なCPUと大容量メモリを備え、モデルによっては複数のHDDを搭載できたり、外部グラフィックスによって最新の3Dゲームや3D映像も楽しめたりする。ただ、デスクトップPCに引けを取らない高性能なノートPCは、そのほとんどがキーボードにテンキーまで備えたA4フルサイズである。

 必ずしも本体の大きいものがハイスペックであるとは言い切れないが、高いパフォーマンスは各パーツの実装面積や排熱設計が前提となるため、「ハイスペックなPCは大きい」という傾向はある。逆に「本体のサイズが小さいとパフォーマンスが低い傾向にある」と言い換えることもできる。もちろん、こうした傾向の逆を行く、いわゆる「小さいけどパワフル」というモデルもあるが、その手のモデルはたいてい「技術の結晶=価格が高い」と相場が決まっている。

 今回紹介するツクモの「AeroMini」シリーズは、小型ケースにSandy Bridge世代のCPU(Core i3/i5/i7)を搭載できるマシンだ。高クロックなCore i7-2600S(2.8GHz)搭載モデルの標準構成でも価格は7万円を切っており、小型でパワフルながら“手頃な価格”に収まっているのが魅力だ。ここではメインメモリを8Gバイトに変更し、OSを64ビット版Windows 7 Professionalにしたモデルを試用してみた(価格は7万7129円。送料込みでも8万円を切る)。

高クロックCPUが搭載されているとは思えないコンパクトさ

 AeroMiniシリーズの魅力は、そのコンパクトさにある。本体サイズは、112(幅)×260(奥行き)×264(高さ)ミリと、少し大きめのNASやネットワーク対応の外付けHDDといった印象だ。むしろHDDを4基搭載できるNASのほうが大きいかもしれない。NetTopのように超小型というほどでもないが、それでもかなりコンパクトだ。「B5ノートよりも設置面積が小さい」というメーカーのうたい文句も頷ける。

112(幅)×260(奥行き)×264(高さ)ミリのコンパクトなケースにCore i7-2600S(2.8GHz)を搭載する

電源ユニットが本体前面側にある変則的なレイアウトだ。エアフローは背面からケース上方に向かっている

 また、タテ置き/ヨコ置きの両方に対応しており、本体底面のゴム足は、ヨコ置き時には側面に付け替えて使うことができる。標準では5インチベイにLG電子のDVDスーパーマルチ「GH24NS70」を搭載するが、カスタマイズで書き込み対応のBD-REドライブに変更することも可能だ。

 ここまで小さいと、内部に熱がこもらないよう熱対策がきちんとされているか気になるところ。本機に搭載されたCore i7-2600Sは、TDPが65ワットと省電力版ではあるものの、それでも熱対策は必要だ。この点はきちんと考えられており、ケース背面から空気を吸い込んで本体上部に設けたファンから排出するエアフローになっている。実際、システムに高い負荷をかけるベンチマークテスト時には、かなりの勢いでファンが回っており、温かい空気が上面に排出されていた。本体がコンパクトなので机上に置いてもじゃまにならないが、その際にはPCの上部に何かを乗せて排気口をふさぐようなことのないように注意したい。

ASUSTeK製Mini-ITXマザーでチップセットはIntel H61 Express

 小型ゆえにマザーボードはMini-ITX仕様で、評価機はIntel H61 ExpressチップセットマザーのASUSTeK製「P8H61-I R3」を搭載していた。2基のメモリスロットを備え、最大16Gバイト(8Gバイト×2)まで拡張できる。ちなみに標準モデルのメインメモリは4Gバイトモジュール(PC3-10600)×1のシングルチャンネル動作となっている。64ビット版のWindows 7を利用するなら、デュアルチャンネルで8Gバイト以上は積んでおきたいところだ。

 前述したように、搭載するCPUはSandy BridgeコアのCore i7-2600S(2.8GHz)だ。コア数は4つで、Hyper-Threadingにより8スレッドの同時実行が行える、動作クロックは標準で2.8GHz駆動だが、TurboBoost時は最大3.8GHzまで跳ね上がる。TDPは65ワットと低いものの、最大動作クロックがほかのCore i7-2600シリーズと同様に3.8GHzとなっている。

 グラフィックスはCPU内蔵のIntel HD Graphics 2000を使う。パフォーマンス的にはあまり期待できないものの、CPU性能によって処理速度の底上げが可能なゲームなら、強引に動かしてしまうことも可能と思われる。その辺りについてはベンチマークテストで検証した。

CPU-Zの表示でCPUがSandyBridgeのCore i7-2600S(2.80GHz)であるのが分かる。CPUソケットはLGA 1155、製造プロセスは32ナノでコア数は4、Hyper-Threadingによって同時実行可能なスレッドは8だ。なお、TurboBoost動作時は1GHzもクロックが高い3.8GHz駆動となる。TDPが65ワットと低いのもポイント(画面=左)。チップセットはIntel H61 Expressだ。マザーボードはASUSTeKの「P8H61-I R3」と表示されている。SATA 3.0やRAID非対応といった点はあるが、ギガビットLAN、USB 3.0対応、PCI Express x16スロットが1スロットあるなど、最低限必要なポイントは押さえている(画面=右)。

 なお、PCI Express x16スロットが空いているのでLowProfile仕様のグラフィックスカードを装着することは可能だ。ただし、電源ユニットの容量が160ワットなので、消費電力の大きなグラフィックスカードを装着することはできないことに注意したい。

 インタフェースは、本体前面に2基のUSB 2.0ポートとサウンド関連端子を用意し、背面側にマウス&キーボード供用のPS/2ポート、USB 2.0ポート×4、USB 3.0ポート×2、アナログRGB出力とDVI-D出力、HDMI出力、ギガビットLAN、そしてサウンド関連の端子×3をそろえる。コンパクトなケースを考えれば十分な内容だ。本体内部での増設は無理なので、将来的な拡張はUSBポートを利用することになるが、マウスとキーボードでUSBを2ポートを使うとしても、残り6ポートあれば不足することはないだろう。

 なお、AeroMini MI5J-D33/SのHDD容量は標準で1Tバイトだが、12月16日現在は2テラバイトへ無料でアップグレードが可能になっており、評価機にも2Tバイトが搭載されていた。なお、BTOメニューには、より高速なSSDのオプションも用意されている。

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