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キヤノン「PIXUS MG6230」は、“もう1つの本命”として浮上するか?2011年末プリンタ徹底検証(1/5 ページ)

» 2011年12月22日 15時30分 公開
[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]
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キヤノンの2011年モデルは意外なカラー展開

キヤノン「PIXUS MG6230」

 2011年末の個人向けプリンタ商戦でいち早く新機種を投入したのがキヤノンだ。インクジェットプリンタの「PIXUS」シリーズに7機種9モデルを用意し、9月上旬から順次販売を開始している。ラインアップは主力のA4複合機が6機種(カラバリ含めて計8モデル)、A4単機能機が1機種だ。

 A4複合機は、カラーバリエーションや無線LAN搭載機、自動両面印刷ユニット搭載機の拡充、スマートフォンやタブレット端末、クラウドサービスとの連携強化、エコ設定の搭載といった改良を施している。

 この中核となる売れ筋機種が「PIXUS MG6230」だ。新ラインアップの中ではミドルハイクラスに位置し、競合機種に対抗できるだけの豊富な機能と3色のカラバリ、そしてリーズナブルな価格を実現している。今回は新色の「ブロンズ」(型番はPIXUSMG6230BR)を選択した。


新色は大人向けのブロンズ

 MG6230でまず目を引くのはそのボディデザインだ。特にこのブロンズモデルは、これまでのプリンタでは見られなかったボディカラーを採用している。昨年(2010年)の「PIXUS MG6130」ではブラックとシルバーのカラバリを用意していたが、これが予想以上に好評だったことと、ユーザーのボディカラーに対する意識が高かったことから、今回のバリエーション強化に踏み切ったという。

 キヤノンに限らず、インクジェット複合機は数年前から「生活家電」としての道を模索している感があり、カラバリの増加は必然といえる。毎年の進化で性能や機能の差別化が難しい中、デザインやカラーで目を引くことは重要になってきており、それだけ個人向けプリンタ市場が成熟したのだろう。

印刷時には前面のカバーが自動的に開く。後部の給紙トレイと前方の排紙トレイを伸ばすと、このような状態になる

 さて、このブロンズは名前の通り、青銅のように鈍く光る落ち着いた風合いの茶色だ。もちろん、実際に銅を素材に使っているわけではなく、ボディは樹脂がベースだが、チープさはまったくない。

 競合するエプソンの「EP-804A」が女性を中心に受けそうなレッドを採用しているのに対して、MG6230は木製のテーブルや革張りのソファ、あるいは和室にも合いそうな大人向けの渋いカラーといえる。

 天面はLEDが点灯するタッチインタフェースを搭載する関係で、ほかのカラーと同じ光沢ブラックに統一されているが、ツートーンカラーとして自然な印象だ。

2Way給紙や自動両面印刷に対応しつつ、コンパクトにまとめたボディ

 それでは、実性能の部分に目を向けていこう。給紙機構はすでにおなじみとなった2Way給紙を採用し、目的に応じて使い分けることができる。給紙の内訳は、後部トレイが多目的用途で容量150枚(はがき40枚)、前面下部のカセットが普通紙専用(A4/A5/B5/レターサイズ用)で容量150枚となる。一般家庭では、前面カセットにA4普通紙をセットし、後部トレイを写真用紙やはがきで使い分けるといった運用になるだろう。合計300枚はホームユースとして十分な給紙容量といえる。

 前面に2系統の給紙機構を備えた製品と比較した場合、給紙トレイが後ろ斜め上に伸び、給紙したままの状態で収納できないが、後部トレイは用紙をUターンさせる必要がなく、用紙をあまり曲げずに搬送可能なため、安定した給排紙が期待できる。給紙容量や用紙交換のしやすさでも有利だ。また、印刷作業の効率アップや用紙の無駄削減に貢献する、自動両面印刷ユニットを標準装備しているのもうれしい。

 一方、Blu-ray/DVD/CDレーベル印刷用のトレイは別パーツを手動で着脱する必要があり、トレイを本体に内蔵した製品よりスマートさに欠ける。

150枚給紙できる前面カセットは普通紙専用で、A4/A5/B5/レターサイズに対応する(写真=左)。後部トレイにはさまざまな種類やサイズの用紙を給紙できる(写真=中央)。Blu-ray/DVD/CDレーベル印刷用のトレイは手動で着脱する必要がある(写真=右)

前面のカバー裏側が排紙トレイになっている

 排紙は前面に集約される。ボディのフロントパネルが手前に倒れこんで排紙トレイになる機構だが、いちいちユーザーが開く必要はない。MG6230の排紙トレイは印刷が開始されると自動的に開口するように設計されている。

 さすがにペーパーサポートは手動で引き出さなければならないが、「トレイが開いていません」といったエラーやペーパージャムの煩わしさからは解放される。この辺りはネットワークプリントをサポートしているがゆえの工夫だろう。

 快適な運用には設置面積が大事な要素だが、MG6230のボディサイズは470(幅)×367(奥行き)×173(高さ)ミリとコンパクトにまとまっている。先代のMG6130が470(幅)×368(奥行き)×173(高さ)ミリだから、ほぼ同じボディサイズだ。前面2系統給紙の製品より高さはかさむが、自動両面印刷ユニットを標準装備してこの奥行きは短い。

 使用時には排紙トレイを倒す必要が生じるため、17〜18センチ程度(排紙トレイ全開時)の奥行きが追加されるが、前方に伸びるならばさして邪魔にもならないだろう。後部トレイを使用する場合には背面のスペースも増すが、こちらはトレイが鋭角に切り立っているので5センチ程度のスペースがあればよい。総じて、設置がしやすく、給排紙もよく考えられたボディといえる。

左からボディの前面、背面、側面。使用時は前面に排紙トレイが伸びる。後部トレイを利用する場合は、高さと背後のスペースが増す

充実のインタフェース、簡単無線LAN接続もサポート

 PCとの接続インタフェースはUSB 2.0、100BASE-TXの有線LAN、IEEE802.11b/g/nの無線LANを標準装備。プリンタドライバの対応OSは、Windows XP/Vista/7、Mac OS X 10.4.11以降となっている。簡単に無線LAN接続が可能なAOSS、らくらく無線スタート、WPS、WCNもサポートする。

 そのほか、USBメモリやPictBridge用のUSBポート、コンパクトフラッシュ、メモリースティックPRO、メモリースティックPRO デュオ、SDHC対応SDメモリーカード/MMCに対応したカードスロットも備える。

背面の少し下がった位置にUSBと有線LANのコネクタがあり、使用時に出っ張らないよう工夫している(写真=左)。前面右下の小さなカバーを開けると、各種カードスロットが現れる(写真=右)。この下にUSBポートも備えている

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