日本HP「HP ENVY110」は、“ルックス至上派”を満足させるか?2011年末プリンタ徹底検証(3/5 ページ)

» 2011年12月29日 18時30分 公開
[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]

非常に充実したモバイル/クラウドプリント機能

 昨今のトレンドであるモバイル/クラウドプリントの流れを生み出したのは他ならぬHPのプリンタだ。それだけにENVY110は、多彩なネットワークプリント機能を盛り込んでいる。ざっと挙げるだけでも、HP純正の「HP ePrint」と「Print Apps」、そして「HP ePrint Home & Biz」、アップルの「AirPrint」、Googleの「Google Cloud Print」といった充実ぶりだ。

複合機本体に特定のメールアドレスを割り当てることで、Eメール送信によるプリントを実現している。同様の機能は今年からエプソンの複合機も用意してきた

 HP ePrintは、以前に「メールdeプリント」と呼ばれていた機能。Eメールを介して遠隔地のプリンタでワイヤレス印刷する機能だ。メール本文および添付ファイルの印刷に対応する。

 ファイルをメールに添付してプリンタのメールアドレスに送信するだけで、同社サーバでレンダリングされて印刷が行えるため、利用する端末側にアプリやドライバのインストールは不要だ。メールさえ送信できれば、古いOSのPCだろうが、フィーチャーフォンだろうが、一昔前のPDAだろうが、どんな端末でも利用できる。

 対応フォーマットはJPEG、BMP、PNG、GIF、PDF、Microsoft Office(Word、Excel、PowerPoint)と豊富だ。メールアドレスは「xxxxx@hpeprint.com」という個別のものが割り当てられているが、ユーザーが任意のアドレスに変更できる。通信環境によるかもしれないが、実際に使ってみると無線LAN接続とほとんど変わらないレスポンスで印刷できた。

メインメニューの中央には、「Print Apps」のアイコンが大きく配置されている

 Print Appsは、以前に「アプリdeプリント」と呼ばれていた機能だ。ENVY110の本体だけでHPのコンテンツパートナーのサイトに直接アクセスして、さまざまな情報をプリントできる。

 コンテンツパートナーは、天気予報(ウェザーニューズ)、地図(Bing)、ニュース(ITmedia、日経BP)、レシピやグルメ情報(ぐるなび)、タウン情報(リクルート タウンマーケット)、オンライン写真共有サービス(光みんなのポケット)、小学生向けのサンプル教材(進研ゼミ小学講座)、塗り絵(Disney)、塗り絵とペーパークラフト(DreamWorks)など、多岐に渡る。

 また、FacebookやHPのオンライン写真共有サービス「Snapfish」の写真をダウンロードして印刷できる機能、他機種にも見られる定型フォーム印刷機能(クイックフォーム)もアプリで提供されており、けい線ノート、グラフ用紙、五線紙、To DOリスト、迷路などの印刷もここから行える仕組みだ。

 実際に使ってみるとアプリの機能や使い勝手はさまざまで、レスポンスももう1つといったところ。キャラクターの塗り絵などは子どもに喜ばれそうだが、わざわざPrint Apps経由で印刷しようという気になるものは正直少ない。アプリの練り込みとパートナーの拡充によっては、面白い機能になるだろうが、まだ発展途上といったところだ。ユーザー数の多いオンラインストレージなどとの連携が増えれば、もっと価値が向上するかもしれない。

最新のニュースを手軽に印刷できる「ITmedia」のアプリ。ジャンルを選択し、プレビューしてモノクロかカラーで印刷するだけだ(写真=左/中央)。記事は自動的に2段組みにレイアウトされて印刷される(写真=右)

ノート用紙や迷路といった定型フォーム印刷にも対応する(写真=左/中央)。対応アプリが増えた場合は、本体のみでダウンロードして追加できる(写真=右)

 HP ePrint Home & Bizは従来の「iPrint Photo」の拡張版ともいうべきプリント用アプリ。iPhone、iPad、iPod touch、Android端末からワイヤレスで印刷が行える。無線LAN経由での利用はもちろん、一度設定を済ませば、3G通信で接続しているスマートフォンやタブレットからも使える。英語版で日本語対応していないのは残念だが、機能は豊富だ。

 iOS版はApp Store、Android版はAndroidマーケットから無償でダウンロードできる。印刷可能なフォーマットは、画像がJPEG、文書がPDF、テキストファイル、Microsoft Office(Word、Excel、PowerPoint)、そしてWebページ(iOSのみ)と幅広い。

 iOS版は印刷機能だけでなく、スキャン機能の利用も可能だ。取り込んだデータはJPEGやPDFで端末内に保存できるほか、少々分かりにくいが、PCからIPアドレスを指定することで端末内のスキャンデータにアクセスしてダウンロードできる機能も持つ。とはいえ、PCにデータを取り込みたいならば、最初からPC経由でスキャンしたり、スキャンデータをメモリカードに直接保存したほうが手っ取り早いだろう。

「HP ePrint Home & Biz」のプリント設定画面(画面=左/中央)。用紙サイズとイメージサイズ、用紙種別、給紙方法などの設定が可能だ。用紙サイズでは9×13センチ、10×15センチ、13×18センチ、レター、A4が選べる。イメージサイズは1コマ印刷のほかに複数コマの割付け印刷も行える。Webブラウザの機能も搭載しており、Webページの印刷が行える(画面=道)。また、HP ePrintCenterのアカウントにプリンタを登録しておけば、ここでプリンタのステータスや印刷履歴が即座に確認可能だ

 AirPrintはいわずと知れたアップル標準のワイヤレス印刷機能。iOS端末では専用アプリのインストールなしで、端末内の写真やWebページを無線LAN経由で手軽に印刷できる。ちなみに最近は各社のプリンタで採用例が増えているAirPrintだが、最初にサポートしたのはHPだ。

 Google Cloud PrintはGoogleが提供するワイヤレス印刷機能だ。スマートフォンやタブレット、あるいはPCのGoogle対応アプリケーション(GmailやGoogle Docsなど)からインターネット経由での印刷が行える。

 一方、PC用のソフトは必要最小限の構成だ。Windows用はプリンタの設定やメンテナンスなどをまとめた「HP デバイスステージ」とWebページレイアウト印刷ソフトの「HP Smart Web Printing」(要ダウンロード)、Mac用はプリンタの設定やメンテナンスを行う「HP Utility」、スキャンユーティリティの「HP Scan 3」などを用意している。

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