それでは、ENVY110のエンジン性能を見ていこう。ここでは純正写真用紙へのカラー写真印刷、普通紙へのカラーコピー、カラースキャンの結果を掲載しつつ、性能を検証している。ただし、印刷結果の掲載サンプルについては、印刷物をスキャンしたデータなので、再現性は高くない。サンプルはあくまでも参考程度で、評価は本文を確認してほしい。
写真印刷では、HPの純正写真用紙である「アドバンスフォト用紙」のL判に対して、5種の写真を最高品位の印刷設定でプリントした結果を掲載した。
細部の描写には不満はなく、像や絵画の細かな部分までも再現できた。その一方で、シャドーが浮いていることと、発色がいまひとつなことから、少々立体感に欠ける。
シャドーが浮くのは建造物と同様だが、雰囲気は損ねずに済んだ。微妙な色合いで再現が難しいサンプルだけあって、空や水のグラデーションは単調になってはいるものの、どうにか階調の推移は残せている。
ほんのわずかに黄味がかっているが、ニュートラルに近いグレーを出せたので、見た目の印象は悪くない。ただし、黒が浮いているために、メリハリに欠け、雲の描写も単調になっているのは残念だ。
人肌はきれいに再現できている。ただし、白い敷物や背景ではハイライトが白飛びしており、毛羽の質感が消失してしまった。タキシードの黒でもつぶれが目立ち、細部が描けていない。こうした白と黒にごく近い階調の再現はなかなか難しいところがある。
黒の占める部分が少ないためか、前の4枚に比べるとメリハリが感じられて印象がよくなった。調子の硬軟がしっかりと残せているため、果物のみずみずしさ、金属の硬質さを再現できている。総じて作品性を求めるような印刷には不利だが、スナップ写真を手軽に出力して配る程度ならば、十分な画質は確保している。
カラーコピーの検証では、普通紙に対してデフォルト設定と最高速の設定で出力した結果を掲載している。
写真用紙の出力とは逆に、黒が非常に締まっている。それでいて階調もかなりの部分まで残せた。昔からHPのインクジェットプリンタは普通紙印刷の品質に定評があるが、ENVY110も普通紙へのコピーでこれだけの品質が出せれば上出来だろう。
全体的に色が浅いのはまだよいが、バンディングが目立つのが難点だ。特にイラストやカタログなどをコピーする場合には、使用を避けるのが賢明だろう。
スキャン品質の検証では、反射原稿を解像度600dpiで取り込んだデータを掲載した。スキャンドライバの設定では、自動調整機能をすべてオフにしている。
シャドーに力がないため、全体的に少しぼやけたような絵になった。カラーバランスは結構整っているので、暗点を指定すれば良好な結果が得られる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.