前編では様々な階層で起きた2011年前半の変動を中心に追ったが、後編は自作PC業界に視点を定めて振り返りたい。まずは、3月にSandy Bridgeマザーが復活した頃から、7月に地上アナログ放送が終了した頃までのトピックをまとめよう。
まず3月には、グラフィックスカードの現行世代最上位が立て続けにデビューしている。初旬にAMDの「Radeon HD 6990」を搭載したグラフィックスカードが8万円前後で登場し、月末からNVIDIA「GeForce GTX 590」搭載カードが9万円台前半で出回るようになった。
当時の売れ行きは「自粛ムードから高価なモデルは普段以上に売れにくくなっていますし、発熱量の大きさも電力不足の現在は大きなネックとなっています。タイミングが悪かったですね」(パソコンショップ・アーク)とのことで、好調とはいえなかったが、秋口には「バトルフィールド3など、マルチGPUに対応したゲームが人気を集めていることもあり、以前より受け入れられるようになりました」(同店)と、状況が好転していた。
ちなみにグラフィックスカードは、5月にRadeon HD 6770とGeForce GTX 560カードが登場するなど、上半期のうちにRadeon HD 6000/GeForce 500ファミリーがラインアップをひと通りそろえている。
自粛ムードが色濃い中でヒットをたたき出したのは、Sandy Brige対応チップセットの上位となる「Intel Z68 Express」を搭載したマザーボードだ。末尾にKがつくCPUのクロック倍率が変更できるP67の特徴と、CPU内蔵GPUが活かせるH67/H61の特徴を併せ持ち、SSDをHDDのキャッシュとして使える「Intel Smart Response Technology」といった独自機能も備える、いいとこ取りのチップセットだ。5月11日から複数のメーカー製品が登場し、まもなくSandy Brigeマザーの主力となった。
そして7月。24日正午に、岩手と宮城、福島の3県を除いて地上アナログ放送が終了し、それを前後してPCパーツショップでも地デジチューナーが好調に売れた。TSUKUMO eX.は「民生機用の地デジチューナーを求める人がたくさん来店されました」と語っていたが、街全体ではPC用チューナーも6月後半から好調に売れていた様子。ツートップ秋葉原本店は「正直ここまで売れるとは思いませんでした。グレード的に上位のモデルがよく出るので、焦って揃えるというより、いい機会だから環境を整えようと考えた人が多いのかも」と振り返る。
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