PCパーツの価格は一般的に下がりやすいといわれるが、特に顕著だったのはDDR3メモリだ。そして、最も変化が激しかったのはHDDだろう。この2種類のパーツの変化が、ある意味で下半期のアキバの主役だったと思う。最後にこの動きを振り返りたい。
DDR3メモリが最初に盛り上がったのは8月。当時の円高の影響もあり、DDR3-1066/1333の4Gバイト×2枚セット(8Gバイトセット)が急激に安くなり、1月ごろに安くても6000円程度だったのが3000円を切り、8月末には限定特価で2500円を切る様子も見られるようになった。
パソコンハウス東映は「この辺りが底値になって若干値を戻すと思います。それでも、このあたりの水準が終着駅でしょうね」と話していた。実際、年末には2000円を切るDDR3-1600の8Gバイトセットもみられたが、8月前後のほどの急降下は起こっていない。
そして冬には、メモリの特価の主役もシフトチェンジしている。9月にコンシューマー向けとして初登場した1枚8GバイトのDDR3-1333/1600メモリが、年末に向けて急激な値下がりを記録。1枚2万5000円を超えていた最大容量メモリは、3カ月経った12月初旬には2枚セットで1万円を割るセットすら出回るようになっていた。
最終的に12月末には16Gバイトセットが7000円台にまで達したが、PC DIY SHOP FreeTは「自然な下落だけでなく、HDDに代わるセールの主役にするために、ウチを含めて各ショップが値下げした動きも無視できない要因になっていると思います」と内情を吐露している。
HDDが特価の主役になり得なくなったのは、10月中旬からだ。同月初旬に発生したタイの大規模洪水で、HDDやHDD部品の工場が致命的なダメージを受け、世界的にHDDの供給不足が発生。8月には当時最大容量だった3TバイトHDDが1万円割れするなど、それまで順調に値下がりしていたHDDは、突然の入荷不足とともに大幅な価格高騰に見舞われた。
クレバリー1号店は「最初はちょっと上がる程度で済む期待もありましたが、10月後半は1日に何回も価格表を書き換える異常事態に陥っていました。我々もHDDの在庫がなくなるとマズイので、仕入れ値が上がってもとらざえるを得ないという状態になっていたんですよ。誰も全容を把握していませんでしたし」と、当時の混乱ぶりを振り返る。
9000円以下まで下がっていた3TバイトHDDは、10月末までに1万5000円前後、11月中旬には2万円超まで高騰。最低ラインが6000円以下だった2TバイトHDDも2万円近くまで達した。その後は、HDDの買い控えにより、店舗が在庫を確保しやすくなったことで、無茶な仕入れ値で入荷することもなくなって沈静化に向かっているが、9月に水準には戻っていない。
元建設現場監督&元葬儀業者&現古銭マニア&毎週仕事で秋葉原と都内量販店に足繁く通う毎日を送る現デジタルライター。新年は、2007年の「5年後の秋葉原を歩く」で探った、5年後のアキバ像をしっかりウォッチしたいと思います。
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