「デジタルと紙の“融合”で新たな市場を創造」――日本HP事業戦略説明会2012年のトレンド予測

» 2012年02月01日 00時00分 公開
[池田憲弘,ITmedia]

新しいコミュニケーションの形を模索

photo 日本HP取締役 執行役員の挽野元氏

 日本ヒューレットパッカード(以下、日本HP)は1月31日、同社のイメージング・プリンティング事業についての事業説明会を行った。取締役 執行役員の挽野元氏が登壇し、2012年のイメージング・プリンティング事業の指針について説明した。

 挽野氏は説明会の冒頭で、プリンティング事業の未来について「これからはデジタルと紙の融合によってユーザーのニーズを満たし、新たな市場を創造すると考える」と述べ、PCやスマートデバイスなどのデジタル媒体と、アナログ媒体となる紙の共存が今後のビジネスのキーワードになると強調した。「デジタルと紙が共存する状況では“デジタルの需要が増えれば、紙の需要が減る”というトレードオフの関係ではなく、“デジタルの需要が増えると、紙の必要性も増える”というモデルになるだろう」と挽野氏は予想する。

 近年「スマートデバイスの普及」「クラウドコンピューティングの進化」「デジタルサイネージの普及」を背景に、個人/法人/街においてデジタルデバイスを用いたコミュニケーションが急速に増えた。だがその一方で、「印刷物は古来より、世界観や文化の醸造に大きく貢献してきた」と挽野氏は、印刷物が今まで数多くのイノベーションを起こし、現在もコミュニケーションの大部分を担っていると述べた。「例えば書籍において、紙の書籍や雑誌市場は15年連続で下がっているが、いまだ2兆円規模の市場を保っている。一方で、年20%の成長を続ける電子書籍市場はまた1300億円程度。一度にすべて電子化するとは考えられない」(挽野氏)

photophoto 近年デジタルデバイスを用いたコミュニケーションが急速に増えたと挽野氏は説明(写真=左)。とはいえ、いきなりすべて電子化するわけではなく、しばらくは紙とデジタルの共存する時代になるだろうと予想している(写真=右)

 このように、デジタルと紙が共存する社会、デジタルと紙の両方でコミュニケーションを行う世の中になると推測のもと、イメージング・プリンティング事業部は2012年の事業戦略を作成した。「社会の変化に合わせて、顧客のニーズ、ひいてはプリンティング事業におけるソリューションのあり方が変化するから」だと挽野氏は述べた。

photo ソリューションにおいては、個人、法人、印刷業者それぞれにトレンドが変化しているという

 ソリューションにおいては、「利用するテクノロジーの選択」「包括的な施策」「スピード」「カスタマイズ」などがキーワードになるとした上で、「ハードウェアとソフトウェアを組み合わせたソリューションを個人個人にカスタマイズして提供する必要性があると考えている」(挽野氏)という。

 これに対応する同社の取り組みとして、PCを使わずにプリンタ単体でクラウドサービスと連携する「ePrint&Share」や、デジタル写真のWebプリントサービス「snapfish」などを紹介。加えて、HPは世界シェア第1位のPCメーカーである巨大なITカンパニーであり、ITとプリンティングの双方でソリューションを展開している点に強みがあるとアピールした。

photophoto 説明会では、日本HPのプリンティング事業を最後に紹介した。「ワントゥーワン・ドキュメントコミュニケーション」は顧客の属性によってダイレクトメールや広告のカスタマイズを行うソリューションだ(写真=左)。高速デジタル輪転機については講談社が導入を決定したとアピール(写真=右)

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