スペシャルな“合体変形”Androidタブレット――「Eee Pad TF201」を徹底検証するTegra 3×薄型軽量×着脱キーボードで無双(3/5 ページ)

» 2012年02月07日 11時30分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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性能は先代機の2倍以上? 最新のNVIDIA Tegra 3をいち早く採用

 TF201のスペックにおいて最大の特徴といえるのが、他社に先駆けて、CPUにNVIDIA Tegra 3(開発コードネーム:Kal-El)を採用していることだ。

 2つのARM Cortex A9コアとGeForce GPUコアを8基内蔵する従来のTegra 2に対し、Tegra 3では4基のARM Cortex A9コアとGeForce GPUコアを12基内蔵する。A9コアのクロックも従来の1.0GHzから最大1.4GHz(4コア同時動作時1.3GHz)へとアップし、OS操作のレスポンスを高速化しているほか、顔認識、画像処理、ゲーム関連処理(特殊効果、物理演算)を高速に処理することができるようになっている。

NVIDIAではTegra 3に関して、ゲームでの優位性を大きくアピールしている。デモゲーム「Glowball」ではダイナミックなライティング効果、精細なテクスチャ描画、物理演算による旗の動き、反射や影の効果など、旧世代(Tegra 2)では実現できない多数の技術が使われているという。それらの特殊効果をフルに利用したリアリティある場面(画面=左)に対し、すべてオフにした場面(画面=中央)はなんとも貧相だ。画面を分割して効果を確認することもできる(画面=右)

「Eee Pad TF201」でデモゲームの「Glowball」を実行した様子。画面の左半分が特殊効果オン(Tegra 3世代の描画)、画面の右半分が特殊効果オフ(Tegra 2世代の描画)だ。Tegra 3の搭載により、ライティングや精細なテクスチャといった表現が可能になっている
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 さて、Tegra 3の実力はどのくらいなのかをAndroid定番のベンチマークテストで見てみよう。

 AnTuTu Benchmarkのスコアはトータルで先代機であるTF101(Tegra 2搭載)の2倍以上、Quadrant Professional EditionでもTF101からトータルスコアで60%以上の高速化を果たした。細かい項目での注目点としては、AnTuTu BenchmarkのCPUスコアはinteger(整数演算)で約2.7倍、floating point(浮動小数点演算)で約2.6倍、3D graphicsでも約36%のスコアアップを見せている。

 QuadrantではCPUスコアの上昇は約30%、3Dスコアは約49%の上昇だった。また、QuadrantのMemoryスコアで57%、AnTuTuのRAMでは約2.6倍もの上昇を見せているように、メモリ性能も大幅にアップしていることが分かる。

 処理内容によって上昇幅にはバラつきがあるものの、Tegra 2搭載のTF101に比べて大幅なパフォーマンスアップを果たしているのは明らかだ。体感的にもTF101と比べると、画面やアプリケーションの切り替えにおけるサクサク感が増している印象は感じられる。

AnTuTu Benchmarkの総合スコア(グラフ=左)と、各項目のスコア(グラフ=右)

Quadrant Professional Editionの総合スコア(グラフ=左)と、各項目のスコア(グラフ=右)

実働で16時間以上のバッテリー駆動時間を記録

Tegra 3は、4つのA9コアのほかに5番目の省電力な「コンパニオンコア」(最大500MHz)を内蔵している

 Tegra 3では高速なパフォーマンスと長時間のバッテリー駆動時間を実現するため、「vSMP」(Variable Symmetric Multiprocessing)という技術を導入している点も注目だ。

 4つのA9コアのほかに5番目の省電力な「コンパニオンコア」(最大500MHz)を内蔵しており、アプリケーションや状況に応じて5つのコアを使い分けることで、パフォーマンスを損なわずに消費電力を最小限に抑えられる。

 また、省電力関連では「PRISM Display Technology」という技術も搭載する。これは液晶ディスプレイのバックライト輝度を下げても視認性が確保できるよう、ドット単位で表示色を解析し、色を明るく補正するというもので、NVIDIAによると液晶ディスプレイの消費電力を最大40%削減できるという。

 TF201では、電源設定も「ノーマル」(ゲームや写真編集などのパワー優先の処理向け)、「バランス」(Flash利用Webブラウズ中心のマルチタスク作業など一般のバッテリー駆動時向け)、「省電力」(バッテリー駆動優先のモードで、音楽/動画鑑賞、電子書籍閲覧など一定以上のパワーを必要としない用途向け)と3種類が用意されており、これを切り替えて使うことで、さらにパフォーマンスおよびバッテリー駆動時間を最適化することができる。

 本体に内蔵されたリチウムイオンバッテリーの容量は24.4ワットアワーで、公称の駆動時間は約12時間だ。さらにモバイルキーボードドックにも22ワットアワーのバッテリーが内蔵されており、装着時には最大で約18時間(公称値)もの長時間駆動が可能になっている。いずれもバッテリーパックはユーザーが着脱できない仕様だ。

ホーム画面の右上には、標準でタブレット本体とモバイルキーボードドックのバッテリー残量を示すウィジェットが常駐している(画面=左/中央)。前述した「ASUSクイック設定」から、3種類の電源設定を切り替ることが可能だ(画面=右)

 ここでは実際にバッテリー動作時間を計測してみた。テスト時の環境は、電源設定が「バランス」モード、ディスプレイの輝度が50%(SuperIPSモードオフ)、Wi-Fi/GPSがオン、Bluetoothがオフ、音量が50%(ヘッドフォン出力)という条件で、「mVideo Player」(開発者:afzkl氏)を使い、MPEG-4 AVC/H.264(Baseline Profile)形式の1080p動画ファイルをリピート再生させて行った。

バッテリー駆動時間のテスト結果

 テスト結果は、9時間1分を経過しても4%の残量があった。また、モバイルキーボードドック装着時は、16時間10分経過しても4%の残量があった。それぞれ公称値よりは短いものの、画面をまったく消灯させず、ディスプレイ輝度50%の常時ネット接続環境でこれだけ長時間のバッテリー駆動ができれば満足だ。

 ちなみに、付属のACアダプタはTF101や「Eee Pad Slider SL101」などと共通のコンパクトなもので、アダプタ本体のみのサイズは40(幅)×53(奥行き)×28(高さ)ミリ、重量85グラムだった(いずれも実測値)。ただし、プラグ部分は折りたためず、プラグの突起部で奥行きはさらに約16ミリ張り出す。もっとも、長時間のバッテリー駆動を実現しているので、ACアダプタまで持ち出す場面は少なそうだ。

 ACアダプタはUSBケーブルを分離でき、USBコネクタにほかのUSB機器をつないで充電することもできる。付属のUSBケーブルでPCとUSB接続すると、PC上でタブレットとデータのやり取りができるが、タブレットへの充電は行えず、充電にはACアダプタが必要だ。

小型軽量のACアダプタはUSBケーブルと分離する仕様だ。タブレット本体とモバイルキーボードドックのそれぞれにACアダプタとUSBケーブル経由で接続できる40ピンのドッキングコネクタが設けられている

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