HP Z1 Workstationは、液晶一体型の省スペース性とハイパフォーマンス、そしてメンテナンス性を兼ね備えたワークステーションだ。煩雑だったケーブルを整理できる取り回しのしやすさや、省スペース性が建築デザイン業界で最適だと、同社プロダクトマーケティングディレクターのJosh Peterson氏は説明する。「いわばZ1は作業空間を再定義するわけだ」(同氏)。
建築デザイン業界は少人数で運営されている会社も多く、顧客と打ち合わせを行う事務所と実際の作業場が同じ場所にあることが一般的であり、そうした空間ではよりデザイン性が求められる。「アームにマウントすればデスクを整理できるし、足元に本体もない。Z1は小規模なデザインオフィスに最適な製品になるだろう」とPeterson氏。一方、デザイン業界でMacの利用率が高いことを指摘すると、Zシリーズが持つパフォーマンスの優位性を強調し、「より高い性能を求めるプロのグラフィックス製作現場ではWindowsユーザーが増えている。このZ1によってその流れはさらに加速するだろう」と自信を見せた。
GPCで披露された新製品のうち、同社が最も力を入れているのは「HP Z1 Workstation」だが、イベント初日にシンクライアント製品の新モデルも発表されているので紹介しよう。
同社シンクライアント製品の上位モデルとして、新ブランドである「Flexible Series」シリーズの「t610 Thin Client」と「t610 PLUS Thin Client」、およびその廉価版で「HP t510 Thin Client」が加わった。
いずれもデュアルコアCPUを搭載し、パフォーマンスを向上したほか、同社がHP Smart Zero Technologyと呼ぶ仕組みにより、端末の管理がしやすく、かつ高いセキュリティを実現しているのが特徴だ。Smart Zero Technologyでは、起動に必要な最低限の機能のみをROMに書き込んであり、OSをはじめとするソフトウェアはすべてネットワークを通じてロードされる。このため電源をシャットダウンすればデータは一切残らず、OSを変更するなどの大規模な環境変更でもサーバ側で一元管理できる。
製品説明を担当したJim Howell氏は、シンクライアントの市場トレンドとして、マルチプルディスプレイソリューションを構築できる高い性能や、拡張性、より強固なセキュリティがエンドポイントでも求められるようになると指摘。今回投入する新製品はそうしたニーズに対応する。例えば、マルチプルディスプレイ環境を必要とする金融機関、セキュリティ要件が高い政府機関や医療現場、またSmart Zero Technologyを採用する“ゼロクライアント”端末はHDDやファンといった可動部分がないために壊れにくく、過酷な環境での使用が想定される製造現場などもターゲットになる。
主なスペックは、t610とt610 PLUSがAMD Fusion T56N(1.65GHz)を採用し、グラフィックスにDirect X11世代のRadeon HD 6320、メモリがDDR3-1600で最大4Gバイトまで拡張可能。本体内部にはmini PCI Expressスロットがあり、 IEEE802.11 a/b/g/n対応の無線LANモジュールを内蔵できるほか、t610 PLUSはDual-head AMD FirePro 2270のオプションにより、本体側の出力とあわせて最大6画面まで表示できる。なお、下位モデルのCPUにはVIAのEden X2 U4200(1GHz)が採用されている。本体サイズは58.4(幅)×21.5(奥行き)×21.9ミリ(高さ)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.