“装備チェンジ”が楽しい13.3型モバイルノートPC――「FMV LIFEBOOK SH54/G」を試す“Made in Japan”の底力(4/4 ページ)

» 2012年03月07日 12時00分 公開
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標準でも十分なスタミナを発揮

バッテリー駆動時間(BBench 1.01)のテスト結果

 バッテリー駆動時間はBBench 1.01(海人氏作)で測定した。IEEE802.11gの無線LANでインターネットに常時接続し、「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」の設定でテストしている。

 Windows 7の電源プランは、標準の「バランス」(輝度40%)に加えて、「省電力」(輝度10%)にECOボタンの省電力モードを組み合わせた場合の2パターンで試した。ECOボタンの省電力モードは、光学ドライブと有線LANが無効、音量が消音、リフレッシュレートが40Hz、CPUが低パフォーマンスの設定だ。

 この条件でバッテリー満充電の状態から、残量が約10%になって休止状態へ移行するまでの時間を計測したところ、バランス設定では6時間32分、省電力設定+ECOボタンによる省電力モードでは7時間33分だった。ネットへの常時接続環境でこのテスト結果なので、モバイルシーンでも活躍できるだろう。いざとなれば、オプションのベイバッテリーを装着することで、本体のフットプリントを変えずに、さらなる長時間駆動も行える。

静音と放熱のバランスは良好

 動作時の騒音は、13.3型モバイルノートPCとしては静かなほうだ。駆動部がないSSDの採用も静粛性に一役買っているが、低負荷時は冷却ファンがほとんど回転せず、WebブラウズやYouTubeでの動画再生は静かに行えた。負荷に応じてファンの回転速度は段階的に上がり、高負荷時では高速回転して風切り音が大きくなるものの、耳障りな高音などが発生しないため、あまり気にならない。

 ボディの放熱設計もよくできている。まだ気温が低い季節でのテスト結果だが、高い負荷を連続してかけ続けても底面の排気口付近が温まる程度で、ユーザーが直接触れるパームレストやキーボードが高温になることはなかった。通常電圧版CPUを採用していながら、静音性と放熱性がうまく両立できている印象だ。

暗騒音32デシベル/室温23度の環境で本体手前5センチに騒音計を設置し、動作音を測定した結果(グラフ=左)。3DMark Vantage Entryを3回実行した直後のボディ表面温度を放射温度計で測定した結果(グラフ=右)

“過渡期”のモバイルノートPCとして幅広く活躍できる1台

 実売価格については、2012年1月の発売時から下がってきており、家電量販店で13万円台半ば、ショップによっては12万円台と、発売直後の15万円前後に比べて求めやすくなっている。昨今はノートPCの低価格化が激しいが、高速なSSDや着脱式光学ドライブ、Office Home and Business 2010の標準搭載を考慮すると、納得感がある。

 放熱面がしっかりしたボディや長時間のバッテリー駆動など、スペックに現れない全体的なバランスのよさも魅力だ。PC本体の部品受け入れ検査、CPU組み込み、部品組み込み、最終組み立て、出荷試験(品質管理)を日本国内で実施し、富士通が“Made in Japan”として、信頼性と品質の高さをアピールしている機種であることも覚えておきたい。

 また、購入時にスペックを一部選択可能な富士通WEB MART直販のカスタムメイドモデル「SH54/GN」は、8万6756円(18%オフクーポン適用後)から購入できる点に注目だ。直販では、CPUをCore i5-2450M(2.50〜3.10GHz)にアップグレードしたり、非光沢の液晶ディスプレイを選べる。

 最近はUltrabookを筆頭に、モバイルノートPCの薄型化が世界的なトレンドになっており、利用頻度が下がっている光学ドライブは省かれる例が多い。しかし、モバイルシーンにおいても、CDやDVDで受け取った資料をその場で確認したり、移動中にDVD-Videoを見たり、といったニーズはまだまだある。その点、SH54/Gのように光学ドライブを内蔵した薄型軽量モバイルノートPCは汎用性が高い。

 とはいえ、モバイルシーンでは光学ドライブが不要という場合も多いだろう。そこで、SH54/Gは光学ドライブを着脱式とすることで、ベイカバーを付けて軽くしたり、増設バッテリーに交換して駆動時間を延ばしたりと、さまざまな状況に対応できるようにしているわけだ。

 FMV LIFEBOOK SHシリーズは以前からこの機構を採用し続けているが、モバイルノートPCの光学ドライブが本格的に省かれようとしている過渡期の今こそ、こうしたシステムの柔軟性がうまくライバルとの差異化になっている。「薄型軽量のモバイルノートPCが欲しいが、外でも光学ドライブはたまに使いたい」といったユーザーに最適な1台だ。購入時には、SH54/GNより2万円ほど高くなるが、より薄型で軽量な上位機のSH76/Gも含めて検討したい。

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