以上のように、Metroスタイルアプリの「休止」と「再開」動作において、次のような特徴がある。
「フォアグラウンド」で起動したメインのアプリ以外は、極力その動作を停止して、必要最低限のシチュエーションでのみ「サスペンド」から自動復帰、一定のタスクをこなした後に再び「サスペンド」になる。Metroスタイルアプリにはこのような一連の“ライフサイクル”がある。
共通するのは「極力マシンリソースを浪費しない」という点で、その思想はモバイルOSに近い。バッテリー駆動のデバイスにおいて、CPUやネットワークリソースの浪費はバッテリー駆動時間の減少につながるため、最低限の動作まで落とし込む仕組みが重要だ。これには、マルチタスク動作の時間を短くするのが肝要になる。これが、従来までのデスクトップ中心だったWindowsとの大きな違いといえるだろう。
タスクマネージャーで名前横に三角マークが表示される従来型のWindowsアプリケーションでは「サスペンド」状態になることはないため、こうしたリソースの浪費保護について担保できない。Microsoftが「極力Metroスタイルでのアプリ開発をデベロッパーに推奨」するのも、こうした理由が一端にある。
このことを象徴するのが、タスクマネージャーの「App History」タブだ。ここにはデバイス起動から現在までにいたる各アプリの累積起動時間を表示する。「Suspended」だった時間は除外するため、「バックグラウンド」動作を含めて、純粋にアプリが起動していた時間を示す。メインで利用しているアプリ以外で、起動時間や消費するリソースが大きければ、それだけデバイスにかける負担が大きいことになる。アプリ開発者のデバッグ用途だけでなく、ユーザーが利用アプリの「デバイスに対する優しさ」を判定する基準にもなるだろう。
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